Claim CB601.2:
Various aspects of the change in frequencies of the varieties of peppered moth and their geographical distribution are inconsistent with its proposed explanation in terms of natural selection resulting from differential predation.

多様なオオシモフリエダシャクの頻度の変化の様々な側面と、それらの地理的分布は、被捕食差異による自然選択という提唱された説明と矛盾している。

Source:
Wells, Jonathan, 1999. Second thoughts about peppered moths. , OtherURL
Wells, Jonathan, 2000. Icons of Evolution, Washington DC: Regnery Publishing Inc., pp. 144-149.


Response:
1. この主張は、被捕食差異の局所的観察だけで、十分にオオシモフリエダシャクの異なる変種の相対頻度について正確な予測ができるというナイーブな仮定に基づいている。さらに、視覚的な選択的捕食のみに依存して、その他のすべての要因を除外して、この現象を説明しようとした初期の試みを誤って、あてこすっている。

被捕食差異はもともと、オオシモフリエダシャクの変種の観察された相対頻度の差に影響する、尤もらしい、おそらく最も重要な要因として、提唱された[Tutt 1896, as reported by Berry 1990, 317]。しかし、Kettlewellの有名な実験の前から、Ford[1937, 484-498]は既に、工業暗化の広まりに関連する事実をすべて説明できるわけではなく、視覚以外の選択(ie. 視覚選択捕食以外の何らかの要因による選択)が重要な要因たりうると書いている。事実、オオシモフリエダシャクの変種の地理的分布あるいは相対頻度の変化のすべての詳細を、被捕食差異による自然選択で説明できると言っている進化生物学者の存在を私は知らない。

上述のナイーブな仮定に基づく予測は、非常にラフなレベルの近似以上に、観測データとマッチするとは期待できない。したがって、既にFordが指摘していた、予測と観察データの差異[Haldane 1956]に、多くの人々は驚くことはなかった。これらの差異の大半には、全く自然で、かつ科学文献でこの問題が論じられるときはいつでも、すぐに指摘される、ありうべき説明がついている。

Fordが既に提唱していた、視覚以外の選択の他に、遺伝子流動やヘテロ接合の優位性[Haldane 1956]や頻度依存選択[Bishop et al. 1978, 505]などが考えられる説明として示唆されている。Mani [1990]は、遺伝子流動と視覚以外の選択の効果を
取り込んだ、Haldaneが使ったものよりも、より包括的な数理モデルの結果を記述した。そのモデルはまだ粗いが、しかし、Haldaneが説明できなかった差異の大半に説明を付けた。そして、「工業暗化頻度の変化の全体的なパターンの一貫した、合理的な描像」を与えた。したがって、被捕食差異が英国のオオシモフリエダシャクの相対頻度に影響する最重要な単一要因であるという、初期の探究の結論は、もちろん、後の研究で問われることとなった。そして、その逆に、後の研究によって、補完され強化された。

References:
  1. Berry, R. J., 1990. Industrial melanism and peppered moths (Biston betularia (L.)), Biological Journal of the Linnean Society, 39: 301-322.
  2. Bishop, J. A., L. M. Cook and J. Muggleton, 1978. The response of two species of moths to industrialization in northwest England, I Polymorphisms for melanism, Phil. Trans. R. Soc. Lond. (B), 281: 489-515
  3. Ford, E. B., 1937. Problems of heredity in the lepidoptera, Biol. Rev., 12: 461-503.
  4. Haldane, J. B. S., 1956. The theory of selection for melanism in Lepidoptera, Proceedings of the Royal Society of London, Series B 145: 303-306.
  5. Mani, G. S., 1990. Theoretical models of melanism in Biston betularia -- a review, Biological Journal of the Linnean Society, 39: 355-371.

Further Readings:
  1. Grant, Bruce S., 1999. Fine tuning the peppered moth paradigm. Evolution 53(3): 980-984.







最終更新:2013年05月01日 21:55