H8マイコンは、ルネサスエレクトロニクス㈱製のマイコン。もともとはルネサスエレクトロニクスが合併前の㈱日立製作所の時代に開発した。以下に、本実習で使用するH8マイコン(H8/3052F)について、その特徴を説明する。
(新規製品の設計には非推奨とされてしまった。... ああっ ... 20年来の長い付き合いだったのに。)

・CPU H8/300H (※見る人が見ればすぐにわかる、某
秋月電子通商販売のボードである。)
- 16ビット(バス幅)、レジスタは32ビット幅
- ROM(Flash) ~ 512KByte / RAM ~ 8KByte
- 動作周波数 25MHz
- CISC (Complex Instruction Set Computer)
■周辺機能(色々ある)
- 16bitインテグレーテッドタイマユニット(ITU)
時間を計ったり、パルスを出力したり、PWM(別に詳述)を出力したり、一定間隔で割り込みを発生したりする機能がある。
- プログラマブルタイミングパターンコントローラ(TPC)
ITUを時間の基準として使うことで、4系統(各16bit長)のパルスを出力する。
- ウオッチドックタイマ(WDT)
ウオッチドックとは番犬の事。システムがバグや不具合などで暴走していないか自己診断するために使用。
- シリアルコミュニケーションインターフェース(SCI)
シリアル通信ポート(俗に言うRS232C。3本:GNDを含む..
の信号線を使ってデータのやり取りを行う。やり取りするデータが8ビットなら、各ビットを1つの信号線に時分割して順番に送るため、シリアル通信と呼ばれ
る。)が2チャンネル独立して使用可能。調歩同期モード、クロック同期モードが使用可能
- A/D変換器
アナログ to
デジタル変換器(のちに詳述)。アナログ入力電圧を数値に変換する。10bitの分解能(0~1023の数値を返す)で、8チャンネルの入力端子を持つ。(同時には使えない) 最短変換速度5.4uS
- D/A変換器
デジタル to
アナログ変換器(のちに詳述)。数値をアナログ電圧に変換する。2チャンネル独立して使用可能。分解能は8bit。変換時間は最短で10uS
- I/Oポート
入出力ポート 10本(x8 bit)、入力専用ポート 1本(x8 bit) ただし、すべて同時に使えるわけではない。
- DMAコントローラ(DMAC)
DMAとは、Direct Memory
Accessのことで、CPUを使わずにメモリtoメモリ、メモリtoハードウエア、ハードウエアtoハードウエアでデータの転送を行う。CPUが転送処
理から解放されて有効活用できるというメリットがある。また、CPUを介するより、高速な転送が出来る。
- リフレッシュコントローラ
外部メモリに、DRAM(Dynamic
RAM)を接続する際は、DRAMの内容が消滅しないように定期的にリフレッシュを行う必要がある。この機能が実装されている。
- その他
割り込みコントローラ、省電力機能、クロック発振器など
この様な機能が、いつのチップに集約されている。 詳しい事は、後述する。
H8マイコンが、現在のように普及・一般化した背景には、秋月電子通商の存在が欠かせない。20年近く前、入手しやすく、安価で、かつ、色々遊べる(使え
る)マイコンがあのようなキットの形で登場した事に、当時は少なからぬ衝撃を受けた。H8マイコンを使うことで、組み込みの道を志した方も、案外、多いの
ではなかろうか。 以上、まったくの私見ではあるが。
最終更新:2015年03月06日 13:53