これだけは知っておいて欲しい。 ..てか、知らないと怪我するかも。
■その① ~ 極性
極性とは、平たく言うとプラスとマイナスの事。電池にプラス(+)とマイナス(-)がある様に、様々な電子部品には極性がある。
プラスはプラス同士、マイナスはマイナス同士を接続する事。間違っても逆に繋いではならない。
逆に繋ぐと動かない.... だけなら良いのだが最悪の場合、部品の永久破壊 → 発熱 → 発火 →
火事(火傷)となる可能性もあるので、くれぐれも注意する事。
(プラスを+5Vとか、Vccと表記したり、マイナスをGND、グランドと表現する事もある。)
■その② ~ 電圧と電流と電力
(1)ところで、電圧って?
電流を流そうとする電気の圧力と考えると分かりやすい。水道管の水の流れは、水圧が高いほどたくさん流れるのと同じように、電圧が高いほど、電流は沢山流れる。従って、同じ装置(回路)であっても、その装置に加える電圧が高ければ、その分たくさん電流が流れる事になる。
※重要なのは、「ある2点の間の差=電圧」であるという事。電圧の絶対値は意味を持たない。
電子回路では、基準となる電圧をGND(グランド)と呼ぶ事が一般的。電源に電池を使っている場合はマイナス側の電極が、GNDになる。単位はV(ボルト)
(2)電流ってなに?
電気の流れ。先程の水道管の例でいえば、管の中を流れる水流が、電流に相当する。
(3)電気抵抗(単に抵抗とも)って、どういうこと
電流を流そうとする力(=電圧)に抵抗する力の事。水道管の例でいえば、水道管の太さや、水車による抵抗とほぼ同義。
水道管が太ければ抵抗が少ないので水は沢山流れる。逆に細ければ少ししか流れない。細い水道管で水を沢山流そうとすれば、それだけ圧力(=電圧)が必要になる。また、抵抗が大きいところに無理やり水を流そうとすれば、発熱したりする。
(1)から(3)までの議論で、電流・電圧・抵抗にはお互いに関係があることが分かった。それぞれの関係は中学あたりの理科でやったオームの法則で表現できる。オームの法則とは、
E = R ・ I E: 電圧[V ~ ボルト] R: 抵抗値[Ω~ オーム] I: 電流[A ~ アンペア] |
の関係式で表現される、電流・電圧・抵抗値の関係式である。ついでに電力[W ~ ワット]の関係式は、
W = E ・ I (電力) 先のE = R ・ I を上式に代入すると、 W = R ・ I ・ I = R ・ I2 |
となる。つまり電力(ワット)とは、装置(回路)に流れる電流の2乗に比例する、という事になる。
圧力が高すぎて、水車が壊れては困るような場合に、水流の流れ(=電流)を調整する用途に、抵抗器を用いることもある。
(4)絶対(最大)定格
超えてはならない限界の事。これを超えると部品の永久破壊を引き起こす。通常は、部品などのデータシートにこれらの値が記載されているので、必ず参照して値を超えないように設計する事。
・最大電圧 これ以上の電圧は装置・回路・部品には加えてはならない。
・最大電流 これ以上の電流は装置・回路・部品には流してはならない。
世の中、なんでもそうであるが、何かする時の加減というか基準を知っておく事は重要なことである。
(例えばカップラーメン1個の値段が1000円であったら、余程、特別な物でない限り買う人はいないであろう。電流、電圧についても同じことが言える。)
現在、マイコン関係の電子回路で一般的に使われている電圧は、3.3V、5Vである。(多少のばらつきはある)
状況によっては6Vや9V、12Vも使われているが、これ以上の電圧が使われる事は少ない。これらの電圧(通常は電源電圧)は、一定値に保たれた(=安定化された)状態で使われることが多い。
それでは、電流はというと、これは使われる部品などによって様々という事になる。なぜなら、電流が流れる事によって装置や回路や部品はエネルギーを供給されて動作するので、部品の性質によって消費するエネルギーは様々だからである。
(それなら電圧だってそうじゃんと言われるかもしれないが、それはそうなのだが、色々な電源を用意するというのはコストがかかるという大人の事情により、多電源回路は排除されるのであった)
一般的な傾向として、図体の大きな部品は電流消費(or コントロール可能な電流値)も大きく、小さければ小さいという事が言える。
破壊実験 過電流で発火
■その③ ~ 短絡(いわゆるショート)
ショートという言葉は聞いた事のある人があると思う。(短絡は知らないか...)
例えば、電池のプラスとマイナスを導線で直接、接続する事(及びそのような状態)をショートと呼ぶ。なにが起こるかは、やってみればわかる。
破壊実験 ショートでスパーク
■その④ ~ ノイズ
一般的なプログラミングで、ノイズとか雑音を意識する事は、無くはないかもしれないが、かなり少ないと思われる。
(ノイズによってアプリが変な動きをしたとか、コーディングの際のノイズで(殆ど意味不明であるが)バグったという話はあまり聞かないし)
しかし、実世界はノイズに溢れていて、コンピュータの様な電子回路がノイズに影響されずに正常に動いているのは、ノイズ対策をしっかりと施しているからに他ならない。
組み込みシステムの開発での最大の困難(になることもある)は、このノイズ対策であるかもしれない。本実習は、既に対策を施した状態で進めてゆくので、学生諸君が意味不明の現象に悩まされる事は少ない(おそらく...そうであってほしい)であろうが、現実はそうではない事は良く知っておいていただきたい。
逆に言うと、このあたりの、アナログ的な事象を扱うには、きわめて職人芸的な経験が物を言うところであり、エンジニアの腕の見せ所でもあると言える。(やっぱ、そうでなくっちゃね。新卒のペーペーがいっぱしの技術者気どりされちゃかなわんぜ)