統合開発環境(HEW~High-performance Embedded Workshop)

 昨今のプログラミング環境は、gcc(CUIベース)などのオープンソースによるものを除けば、GUI(Graphical User Interface)ベースになっているものがほとんどである。CUIとGUIのどちらが扱いやすいかは、議論が分かれるところであるが、とっつきの良さでは、GUIに軍配が上がるのは間違いない。

 H8の開発環境についても、GUIベースのHEWというソフトウエアが、開発元のルネサスエレクトロニクス㈱から提供されている。本稿では、HEWを使う事を前提に、解説を進める。
 HEWの特徴として、

  • コンパイラ、ソースコードのエディタ、プログラムのシミュレータ、デバッガが統合されている。
  • プロジェクト管理機能がある。
  • windows上で動作するクロス開発環境である。
  • インストール後、60日間は製品版と同等、それ以降は実行形式が64KByteに制限

  などがある。
 
 HEW上で作成したプログラム(実行形式)は、HEWのシミュレータで実行することも可能だが、通常は、マイコンボードにダウンロードして、実機上で動作確認(デバッグ)を行う必要がある。ダウンロードを行う方法には、以下の2つの方法がある。

  1. FDT(Flash Development Tool)などのツールを使って、Flashメモリ(ROM)上に実行形式を書き込む方法
  2. デバッグモニタを使って、実行形式をRAM上に書き込む方法

 それぞれ、利点・欠点がある。

  • Flashメモリに書き込む方法では、FDTなどの専用ツールを使ってプログラムを修正する度に、Flashメモリに書き込むが、Flashメモリには書き換え回数の制限(1000回程度)これを超えると、マイコンが使い物にならなくなる。しかし、Flashメモリは不揮発性なので、電源を切っても(リセットしても)消えることは無い。また、容量も、H8/3052Fの場合、512KByte(ただし、HEWの制限がある場合は64KByte)まで使用可能。
     
  • デバッグモニタを使う方法では、オンチップRAM(もしくは外部RAM)にプログラムを書き込むため、書き換え回数に制限は無い。ただし、電源を切れば(リセットでも初期化される事がある)プログラムは消去される。また、容量も、オンチップRAMの場合、8KByteと小さい。

 以上の様な特徴がある。本稿では、それほど大きなプログラムは作らない(...であろう)と、書き換え回数の制限の問題から、デバッグモニタを使う方法を選択するものとする。
 


 

最終更新:2014年04月07日 15:04