回路図の読み方1

 回路図と言うと、ハードウエアっぽい感じがするが、組み込み系のソフトウエア開発では、回路図が読めないと仕事ができない。(ことがある)...
 なので、基本的な回路図の読み方を説明する。

 回路図とは、部品と部品の接続関係を図面で表したものである。表現されているのは接続関係だけで、位置関係は含まれていない。
 部品の位置関係を表す図面は、実装図と呼ばれる。

 様々な電子部品の記号と外観は、以下の通り。

(1)電池

  一般に使われている電池は、回路図中では、以上のように表現される。電極の長い方がプラスになる事に注意。
2つの記号が書かれているが、どちらを用いてもよい。

(2)スイッチ
 電源のON/OFFや、状態の入力などに用いる。

  スイッチにも様々な種類があり、用途も広い。ここで例示したのはトグルスイッチ(写真の右2つ、回路シンボルは左側)と押しボタンスイッチ(写真の左から2番目、回路シンボルは右側)である。押しボタンスイッチには、押すとONになるものと、OFFになるものがある。

(3)抵抗
  抵抗は、電流の流れる量を制限する場合(オームの法則で計算できる)に用いる。

  抵抗には様々なものが市販されている。記号の左側は(固定)抵抗で、抵抗値が固定されているもの。可変抵抗は、つまみなどを回転させたりすることで、抵抗値を変化させることができる。外観写真は一般的な固定抵抗。

(4)コンデンサ
 コンデンサは、電荷(電気)を蓄える素子。電荷を蓄える特性を利用して、フィルタや電源など、様々な電子回路で利用されている。

  コンデンサにも様々なものがある。コンデンサは極性(プラス・マイナス)があるものと、無いものがある。極性があるものを逆向きに接続すると、破壊する事があるので注意。

(5)コイル(インダクタ)
 コイルはデジタル回路では電源周りで利用されている。一般的にはアナログ回路で利用される事が多い。

 写真のようにフェライトコアに導線を巻きつけたものや、中空のもの、一見すると抵抗と同じような外観をしたものなど、これも様々なものが市販されている。

(6)ダイオード
 用途的には、発光を目的にした発光ダイオードと整流(電流を一方向にしか流さない)などを目的にした、通常のダイオードがある。

 写真の左側(回路シンボルも左側)が発光ダイオード(LED)で、右側が通常のダイオード。ダイオードも用途に応じて様々なものが市販されている。ここでは、ごく一般的なものを例示した。

(7)トランジスタ
 トランジスタには、用途に応じて様々な構造のものがあり、ここに示したのはバイポーラ型トランジスタである。バイポーラとはN型半導体、P型半導体の2種類を組み合わせて作ってあるということ。また、組み合わせ方でNPN型、PNP型の2種類があり、+電源の場合はNPN、-電源の場合はPNPなどの使い方をする。
 主に電流の増幅やスイッチングなどに用いる。

  小信号の増幅・スイッチングは写真左、右に行くに従って大電力用途になる。

(8) FET
 FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)とは、トランジスタの一種で、(7)のバイポーラ型トランジスタは、電流で電流を制御するのに対し、電圧で電流を制御するところが異なる。FETにもNチャンネル型、Pチャンネル型があるが、一般的にはNチャンネル型が用いられる。


(9) MOS-FET
 FETの一種で、ゲート電極を金属酸化物の絶縁体で分離することで、入力抵抗を大きくし製造を簡単にすることができる。現在のデジタルICに最も一般的に用いられている構造である。電圧で電流を制御する事は、全てのFETで共通である。
 MOS-FETにもNチャンネルMOSとPチャンネルMOSがあり、ソースに加える基準電圧で使い分ける。


(10) IC(集積回路)
 トランジスタや抵抗、コンデンサなどを組み合わせて、ある特定の回路を一つにパッケージ化したものをIC(Integrated Circut)と呼ぶ。デジタルICはMOS-FETで構成されている事が多い。また、集積されている回路の規模によってLSI(Large Scale Integration)と呼ぶこともある。

 特定の機能を実現するための複雑な回路を実現したものであるため、非常に多くの製品が出荷されている。また、実装方法(プリント基板へのはんだ付けの方法)によっても、様々なパッケージの製品が出荷されている。

続く

 

最終更新:2015年03月06日 13:26