四国、金比羅神社――
エリザ
「炬詠……寂零? それはいったい何者なのだ?」
相模
「はっ、何でも太古に封ぜられた国津の大神とか」
エリザ
「太古?」
相模
「文献によれば、初代上天君がその神体を5つの鏡と1本の柱に封じたとあります」
エリザ
「その国津の大神がいまさら復活して国の乗っ取りか。まるで御伽噺だな」
相模
「どうやら笑い事ではなさそうですぞ。復活した
炬詠寂零の目標はおそらく5つの鏡。これが揃えばあるいは……」
エリザ
「それで早いうちに叩きたいということか」
相模
「殿、どうなされます?」
エリザ
「どうもこうも、上天君からの下命であれば行くしかないだろう。さっさと片付けてくるよ」
相模
「用心なさいませ」
エリザ
「なに、いかに太古の神だろうが復活したばかりでまだ神体もないのだろう? 心配には及ばんよ」
相模
「それもなのですが、もう一つ」
エリザ
「何だ?」
相模
「今回殿の出陣を推挙した人物です」
エリザ
「確か加藤闇人とか言ったな」
相模
「真相は定かではありませんが、良くない噂がいくつかある人物と」
エリザ
「はは、それなら私も同じようなものだろう」
エリザ
「私はかつて上天君に逆らった荒御霊と異国の神の血を受け継いでいるのだ。悪い噂など山のように流れている」
相模
「殿……」
エリザ
「その炬詠寂零とやらの首級を上げれば多少の功にはなるだろう。代々守ってきた崇徳院の誇りのためにも」
エリザ
「そして、こんな私を奉ってくれる民草のためにも……」
エリザ
「…………」
エリザ
「……相模」
相模
「はっ」
エリザ
「留守を頼む」
相模
「はっ」
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最終更新:2009年07月16日 05:04