うつろのもり *公式 2012年6月にPlayStation Vitaにて発売されたアッパーバージョン『[[ペルソナ4 ザ・ゴールデン>Persona4 the Golden]](以下、P4Gと略)』において[[テレビの世界]]にて新たに追加されたダンジョンで、同じく『P4G』にて新たに登場した「ベルベットルームの見習い住人」[[マリー]]が生み出した迷宮。 テレビの世界の管理者たる[[アメノサギリ]]を退けた後、ベルベットルームから姿を消したマリーが自らの意思でテレビの世界の奥部に作り上げた「閉ざされた世界」である。 なお、マリーや[[マーガレット]]はこの場所を「虚ろの森」と言っているが、アメノサギリが[[主人公]]たちに話したように「虚ろの森」とはテレビの世界の正式名称であり、マリーたちは固有名詞としてではなく「テレビの世界」と同じ意味で「虚ろの森」の呼称を使っている。 入り口の名称からして、この場所の固有名称は「&bold(){虚ろな記録の墳墓}」と見られる。以降の階層も1階や2階などではなく、「&bold(){虚ろな○○の記憶}」とマリーの心情を表したような形式になっている。 地形は「幻想的」の一言に尽きる、地を覆うほどの花びらが舞い散る竹林と無数の埴輪に囲まれ佇む墳墓が入口で、奥には「勾玉と注連縄で仕切られた扉」「不規則に並び敷き詰められた石畳」といった、古き神社の風景を彷彿とさせる景色が広がっている。 しかし、その他にマリーがベルベットルームから外に出て[[主人公]]と共に見聞きした景色、例えば[[ジュネス]]や[[惣菜大学]]の看板等が、瓦礫の如くダンジョンの各地に点在しており、[[白鐘直斗]]の言葉を借りるなら「死への覚悟と、それすら忘れたいという思い(虚ろの森の基本風景となる墓所)」と「新しく得た大切な記憶(マリーとして訪れた稲羽市の光景)」という、失われた記憶を取り戻したマリーの心の奥底に在る「矛盾した思い」が結実したものである。戦闘の際の背景もよく見ると、逆さになったジュネスが見られる。 その存在は強固でありながら非常に不安定で、実質このダンジョンを探索出来る時間は1日しかなく、その機会を逃すとダンジョン自体が消失する。 テレビの世界は人の心の最深部に広がる無意識の海と等価であり、&bold(){ここが消失する=「中にいるマリーという存在の人々の記憶からの消滅」を意味する。} [[自称特別捜査隊]]が普段探索に用いる[[ジュネス]]の家電売り場のテレビからは距離的にかなり離れた場所に存在している為、そこから入り込んでの探索は不可能。 #region(辿り着くために必要な条件) 虚ろの森を探索するには、マリーとの交流を経て発生する「[[永劫]]」コミュをMAXにすることが求められる。 そして、虚ろの森に至るにはマーガレットの協力が不可欠となる。 1月2日に行う新年の挨拶回りで、マーガレットにマリーの捜索を依頼する必要があり、これをしないと一連のイベント自体が発生しない。 捜索を依頼した後は、スキー2日目に誰かと滑るイベントを経て、虚ろの森に辿り着く。因みに誰と滑っても展開は同じ。 #endregion 本ダンジョンの特徴として、不可避な上に厭らしい仕掛けが多数仕組まれていることが挙げられる。 具体的に言うと、シャドウが一切いない階層がある代わりに、その階層では&bold(){勾玉で封じられた注連縄を開けた瞬間にシャドウが襲って来る}(箱からシャドウが飛び出してきた場合と同じ、強制エンカウント) 本ダンジョン探索時には&bold(){所持しているアイテムを持ち込めず、手に入れたアイテムの持ち出しも不可} &bold(){武器と防具が最低ランクの性能に固定される、アクセサリもSP自動回復のみで状態異常の防御や自動復活といった強力な装備が身に付けられない}…といったもの。 そして、何より本ダンジョンの探索を困難にしているのは&bold(){戦闘終了後、探索メンバーのSPが半減すること}である。 このSP半減の仕様は武器の効果として付与されており、付け替えられない。「勝利の息吹」や「勝利の雄たけび」、[[シャッフルタイム]]のカップによる回復や[[久慈川りせ]]のサポートスキルを有していても例外なく作用する為、何も考えずに探索を進めていると回復はおろか戦闘すらおぼつかなくなってしまう。 一連の回復処理が発生してから半減処理が最後に発生するため、どうあがいても戦闘後にSPを全快させることは出来ず、非常にタチが悪い仕様である。 なお、アイテムの持ち込み制限はダンジョン内でのみ適用されるため、入り口に戻れば消耗したHPやSPは通常のアイテムや[[キツネ]]で回復可能。 ただし、&bold(){帰還する場合も専用のアイテム「帰還の玉串」が必要であり、帰還スキルの「トラエスト」は使えない}とこちらも隙がない。 #region(出現する[[シャドウ]]) このダンジョン自体が和風だからか、出現するシャドウも肩書きや姿が和風なものが多い。当然ながらすべて新規追加である。 このダンジョンはアイテムの持ち込みが不可能なため、どのシャドウも様々なアイテムをドロップする。 ただし、中ボスは&bold(){「>この先に進みますか?」の選択肢による予告がない}ため、初見殺し気味。 -『ペルソナ3』から続投のタイプ ガントレットハンド(魔術師):恐らくデザインから中世甲冑の籠手である「gauntlet」が元か。そのせいか、手が仮面のサイズに合わないぐらいゴツい見た目になっている。 祀るテーブル(魔術師):祀るとは、亡くなった神霊への慰めや、亡くなった人を神として崇め、安置すること。祭るとも。 回天の彫像(女帝):回天とは、時勢を一変させること。衰えた勢いを盛り返すこと。 執行の剣(正義):執行とはその行為を実行すること。マリーを救出しなかった場合、マリー自身は霧と共に自ら消えることを本当に実行してしまう。 融和の巨人(正義):融和とは融けて混ざり合うことや調和すること。打ち解けて仲良くなること。マリーのその後のことを考えると、救出の成否で様々な意味合いが取れる。 因みにこのダンジョンでは出現しないが、巨人のシャドウには「調和の巨人」もいる。 スペクトルレイヴン(隠者):スペクトルの語源は「見る」。スペクターと同語源。ストーリーを進めると、マリーも主人公たち及び稲羽市のことを見ていたことが分かる。 新雪の武者、雪晴れの武者(剛毅):いずれも攻略時期に合った肩書き。 孤高の手(魔術師、レアシャドウ):[[雪子姫の城]]で現れるようになった「幸福の手」と共に新規追加されたレアシャドウ。 レアシャドウらしく唯一お金を落とすが、残念なことにこのお金は持ち出せないため、ありがたみが少々薄れている。 孤高とは自ら1人になって苦労を必要以上に背負うこと。記憶を取り戻したマリーは、その目的と自責の念から主人公たちに迷惑をかけたくないがためにこの虚ろの森に閉じ籠もってしまった。 -『ペルソナ4』から新規登場のタイプ 空言のアブルリー(魔術師):空言とは嘘や偽り、実現することも出来ない言葉。 マリーが記憶を思い出した時や救出する時の提案に対して、マリー自身は出来ないだの無理だのとにかく否定的。 デザインは色白で唇もある。 呪い女の壺(女教皇):呪いは一般的には「のろい」と読まれるが、「まじない」にもこの漢字が充てられており、送り仮名も同じである。 大輪のバンビーノ(女帝) 無法のファズ(法王):無法とは、法のないことや道理に外れたこと。この春に発生した連続殺人事件は、道理を外れた[[ズッコケデカ>足立透]]が無法地帯である[[テレビの世界]]を悪用していた。 マリー自身も実質的に自殺という道理を外したことを行おうとしている。 祈願のパピヨン(恋愛):祈願とは、願掛けや神仏へのお祈りのこと。主人公たちも[[辰姫神社]]での夏祭りで行っている。 自由行動のひとつでもあるおみくじも祈願の一種。デザインは舞っている蝶が折り鶴になっている。 石楼のパンツァー(戦車):石楼とは石造りの建造物全般を指す。神社や寺でよく見る灯籠も石造りであり、デザインもそれを意識した見た目になっている。 沈静の巨兵、憤激の巨兵(正義) 俗信の翁(隠者):俗信とは主として近代以前の信仰や呪術、まじないが退化、残存して生じた信仰的心性、慣行をいう。 祈祷の女御(剛毅):祈祷(きとう)とは、神仏へのお祈りのこと。神社の巫女は祈祷師とも言われる。 がりがりガーシー(刑死者):他の人形型シャドウと同様、特定の死因に掛けており、これは餓死(がし)に掛けている。 中ボス1、ごーじゃすキング(皇帝):他のキング型シャドウと同様、肩書きはひらがな。ゴージャスは英語で「gorgeous」と書く。 中ボス2、天空の巨人(正義):[[マガツマンダラ>禍津稲羽市]]にいた羨望の巨人を色違いにしたような見た目。 #endregion 奥には失われた記憶の全てを取り戻すとともに現実世界の[[霧]]を取り込んだマリーが佇んでおり、彼女を追いかけて最深部の霊室のような場所に辿り着く。 最終的には主人公たちの説得に応じて霧だけを消滅させるべく、マリーとしての心を封じて霧と融合した[[クスミノオオカミ]]の神性のみを顕著化した彼女との戦いとなる。 このダンジョンでは深部に進むたびにマリーが作ったポエムが聞こえる。 そのため、主人公以外の自称特別捜査隊一同にも内容がバレてしまうが、その後のイベントでは誰も口にしない。みんな「そっとしておいた」のだろうか…? BGMは道中とボス戦で新規に追加されており、道中は不安と切なさを表した「記憶」、ボス戦は「[[I'll Face Myself -Battle->I'll Face Myself]]」が新たにアレンジされている。