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702 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:54:37 ID:c7ZqU1IX
京「嬉しいっすよ~♪たぶん何もいらなかった~♪でも今は頑張るっす~♪」
一(ん?あれは須賀京太郎……会場で何度か見かけたけど、部員なのに、いつも雑用をやらされていたな………………。
とりあえず追いかけてみよう)

一「しまった、デパートの中で見失った……外で待ち伏せるかな」
店員「お客さん、ちょっと鞄の中を見せてもらおうか」
一「え?……ちょっ、ボクの鞄を勝手に」
店員「ん?これは、まだ会計が済んでない商品だね」
野次馬「あらやだ、万引きよ」
店員「とりあえず、話はこっちで」
一「まってよ、ボクはなにもしてない、離してよ!」
透華「見損ないましたわ」
一「!!」
透華「……例の手品を使って盗ったのですね」
一「透華、違うんだこれは」
透華「……もう、龍門淵には来なくて結構ですわ」
一「待ってよ、透華、誤解なんだ。ボ、ボクは」
透華「失礼しますわ」
一「透華……」
店員「手品?……キミ、さっきの子が手品とか言ってたが、さては常習犯だな?」
一「そんな……」
京「あの~、ちょっといいですか?」

一「助かったよ、ありがとう」
京「いや、子供が鞄に入れてるのが見えたから。でもよかった~監視カメラにちゃんと写ってて」
一「うん。……あのさ、お礼をしたいから、今日は龍門淵でご飯を食べていってよ」
京「え、マジで!?……でも今日は早く帰らなきゃいけないんだよな。くそ~、龍門淵のご飯、食べたかったなぁ」
一「ははは。じゃあ、お礼は今度にするよ。でも、とりあえず今日も龍門淵についてきてよ、キミはボクの証人なんだし。透華に説明してほしいんだ」

ハギヨシ「お引き取り下さい」
京「ちょっと待ってください。実はガキのいたずらで、国広さんは悪くないんですよ」
ハギヨシ「透華お嬢様のご命令ですので」
一「そんな……」

京「はい、コーヒー」
一「ありがとう」
京「まさか門前払いだなんて」
一「もういいよ。実際、透華が大切に思ってるのは衣だけなんだから……。そもそもボクは衣の遊び相手として龍門淵に雇われただけなんだ。でも今の衣には、遊び相手が必要なくなった……。つまり、ボクはもう、龍門淵には必要ないってことなんだ」
京「大会の会場では、あんなに仲が良さそうだったのに……」
一「君の目にはそう見えただけだよ。でも、違うんだ。今日ボクにもわかったよ。………鎖だって、ボクが好きでつけたんじゃない。透華がつけたんだ。これってさ……透華はボクのことを信用していないってことなんだよね?」
京「……」
一「もう龍門淵には居られなくなったみたいだし、ボクは久々に家に帰ることにするよ」
京「……そうですか」
ポタ、ポタ
一「(あれ……………おかしいな。龍門淵に来た頃は、あんなに嫌だったのに、なんで、涙が……)」
京「国広さん、やっぱりそんなのだめですよ!明日もう一度話しにいけば、きっとわかって」
一「い、いや……もういいんだ。もう、いいんだ。………でも、ボクと透華のことなんてキミには関係ないのに、心配してくれてありがとう」グス
京「か、関係ありますよ!………国広さんが帰ったら」
一「………ボクが帰ったら?」
京「りゅ、龍門淵のご飯が、食べられなくなるじゃないですか!」
一「………プッ、クスクス………はははは。わかったよ、ボクの負けだよ」

一(ボクが落ち込んでるから、わざと笑わせてくれたんだ………優しいんだな)




京(あの後、話の流れで国広さんを泊めることになってしまったが……)

京「ただいま~」
モ「おかえりっす」
一「え!?なんで鶴賀の」
京「(国広さん静かに!家族にバレるから)」
一「(う、うん、ごめん。でも、なんで鶴賀の)」
京「(いいから早く、俺の部屋に行ってて下さい。足音を立てないように)」
モ「(国広さん、こっちっす)」

一「え、えーと、押しかけるように来ちゃったけど、ボクは、お邪魔だったのかな?……なんだか二人の時間を邪魔しちゃったみたいで」
モ「そんなんじゃないっすよ」
一「じゃあ、なんで須賀くんの家にキミが……」



昨晩、公園で
京「あの~、こんな時間に、こんなところでどうしたんですか?」
モ「!!……わ、わたしのことが見えるっすか?」
京「見えるとか見えないとか、なに言って……?」

モ「こんなこと初めてで……困ったっす」
京「ふーん、影が薄くて人に気づかれづらい。でも気づいてもらおうとすれば、気づいてもらえた。今までは」
モ「そうっす」
京「だけど今日は部活に行っても、誰も気づいてくれなかった」
モ「そうっす」
京「家族は?両親は気づいてくれたの?」
モ「二人とも朝早いから、今日はまだ会ってないっす」
京「そうか、両親なら気づいてくれるかも知れないし、早く帰った方がいいな。もう暗いし、送っていくよ」
モ「あ、ありがとうっす」

京(なんか今日の俺めちゃくちゃいいことしたな!今日送ったから、ひょっとしたらこれがキッカケで///)

今朝、公園で
京「おわっ!」
モ「!!……わ、わたしのことが見えるっすか?……………って、須賀くんっすか」
京「えっ、どうしたの!?こんな朝早くに」
モ「両親も気づいてくれなかったっす」



モ「――ということがあったっす」
一「ふうん、ステルスか……どうりで透華と智紀があんな振り込みをしたわけだ」
モ「なんか、言いたいことが伝わってない気がするっす……」



ガチャ
京「おまたせ、家族にはバレてないみたいだった」
一「あ、あのさ、須賀くん。今日はありがとう。ボク、龍門淵で働いてたから、家事全般はできるんだ。ボクに出来ることがあれば、なんでもするから」
京「え!?じゃあ俺の代わりに毎日の風呂掃除を!……よし、これで俺はあの面倒な作業から解放される!」
一「任せてよ」
京「あれ、でも匿ってる人が風呂掃除なんかしたらいつ家族にばれるか……やっぱり俺がやるしかないのか、とほほ」
モ「す……」
京「?」
モ「須賀くん。その、風呂なんすけど、私、風呂に入りたいっす。一日中、公園にいたから……///」
京「(『風呂に入りたい』だって!?………これって、ものすごい役得じゃないか!!巨乳の女子が、我が家で風呂を!!)」
モ「……どうしたっすか?」
京「3人が別々に入ると匿ってることが家族にバレるから、3人一緒に入ろう!」
モ「え!?」
一「……ボ、ボクは別に構わないよ、何でもするって言っちゃったし///」
モ「そ、そんなのダメっす!わ、わたしは入らないっす///」
京「え、そんなこと言わずに」
モ「ぜ、絶対に入らないっす///」
一「///………そ、そうだね。じゃあボクも入るのやめようかな」
京「そ、そんなぁ~、2人とも入りましょうよ」
一「///……ボクたちは銭湯にでも行ってくるよ。須賀くん、近くに知らないかな?」
京「はぁ、わかりましたよ。かなり遠いですから、送っていきますよ」

ザパァ
一「ふ~、いいお湯だね」
モ「鎖さん、鎖さんは、なんであんな事言ったんすか///」
一「あんなこと?」
モ「須賀くんと、いっしょに………………お風呂に入るなんて///」
一「///(…………そうだよ、いっしょにお風呂なんて、なんでボクはあんなことを言ったんだろう///)」
モ「///(答えないって事は…………まさか、本気で入るつもりだったっすか///)」
一「じょ、冗談、あれは冗談だから。……と、ところでさ、どうしてボクのこと“鎖さん”って呼ぶの?今は鎖つけてないよ?」
モ「麻雀するときにつけてたからっす」
一「じゃあ、なんで“須賀くん”なのかな?」
モ「し、知らないっす///」
一「(あ、そういえば、なんで須賀くんだけ…)」

一「ふう、いいお湯だったね」
京「か、帰りは国広さんと東横さん、逆になったらどうかな?」
モ「どうしてっすか?」
京「ふ、二人に挟まれて乗るバイクも、気持ちいいよ」
一「モモちゃんはボクよりおっぱい大きいからね」
京「(国広さん余計なことを!)」
モ「///……ダ、ダメっす。帰りも私が一番後ろっす」

ブロロロロロ
京(はぁ、銭湯って結構高いんだなぁ。毎日入るとなると、どんどん懐が寒くなるな。こりゃあアルバイトをする必要があるな~)
モ(まさか、鎖さんは気づいてるっすか///。…………わたしが須賀くんを///)
一(お風呂での反応…………モモちゃんは、須賀くんのことが……)




数日後
バスターミナル

ワ「ゆみちん、最近モモを見かけないけど」
ゆ「ああ、そうだな」
ワ「なんか、ゆみちんのそばにモモがいないと、変な感じだなぁ」
ゆ「わたしは受験生で、モモは麻雀部員だ。今のわたしたちが一緒にいる理由は、どこにもないだろう」
ワ「まさかゆみちんの口からそんなセリフを聞くことになるとは……喧嘩でもしたのか?」
ゆ「いや、違う。私達は喧嘩などしていない」
ワ「じゃあなんで最近モモがいないんだ?」
ゆ「……いつだったか、私達が街を歩いていたら、清澄の生徒がいただろう」
ワ「ん、そういえば……」




久「あら、向こうにいるのって、鶴賀の生徒ね」
京「鶴賀っていいよなぁ、胸の大きい子が4人も並んで……」
久「須賀くん、思ってることが声に出ちゃってるわよ」
京「うわっ、しまった!」
まこ「今のを咲たちが聞いたら、どうなるのかのぉ」
京「染谷先輩、このことは咲には言わないで下さい!」
まこ「どうしようかのぉ~」
久「(ん?……胸の大きい子が4人?おかしいわね、蒲原さんは別に大きくないのに……)」

ワ「ワハハ、私達に聞こえちゃってるの、あれは気づいてなさそうだなぁ」
睦月「困りましたね///」
妹尾「あれ?4人?でも蒲原さんの胸は……」
モ「たぶん、4人目はわたしのことっす///」
ゆ「モモ、いたのか」
妹尾「なるほど、これで蒲原さんの事じゃないってわかりましたね」
ワ「なんだと~、かおりん!」



ワ「なんか、思い出したら腹が立ってきたな」
ゆ「まぁ落ち着け」
ワ「で、ゆみちん、今の話がなんなんだ?」
ゆ「私達鶴賀のメンバーですら、モモがそこにいることに自信が持てないのに、あの青年は気づいたんだ。モモがいることに」
ワ「ワハハ、そんなまさか。ゆみちんですら、よく見失ってるのに」
ゆ「最近、モモを見かけないのは、青年に自分が見えるのかどうか確かめに行ってるからだろう」
ワ「いいのか?ゆみちん」
ゆ「別にいいさ、」

ゆ(あのとき、モモは
『こんなこと初めてで……困ったっす///』
と言っていた。あの表情で、わたしにはモモに芽生えた感情が、わかったから……)

ゆ「モモが決めたことだからな、わたしは応援するつもりだ」
ワ「ゆみちんは大人だなぁ。あ、バスが来た」
ゆ「ん、あのバスか…………あれ、なぁ蒲原、なんであのバス、ここじゃなくて、あっちのバス停に……」
ワ「あ!ごめんゆみちん!ここじゃなくてあっちだ!」
ゆ「ちょ、蒲原!待ってくれ」
ワ「ワハハハハ、間違えた~」タッタッタッ
ゆ「か、蒲原~……はぁ…はぁ…」
ワ「ワハハハハ」タッタッタッ


ゆ「はぁ…はぁ…」
ブロロロロロ、キキーッ
京「どうしたんですか?」
ゆ「と、友達の大学見学につきあおうと思ったのだが…はぁ…はぁ…私だけ、バスに乗り損ねてしまったんだ」
京「えっ、大変じゃないですか!」
ゆ「いや、わたしも迂闊だった……だが、バス停を間違えたのは蒲原だから…はぁ…はぁ」
京「大学の名前わかりますか?送っていきますよ。乗って下さい」
ゆ「そうか、すまない」
ゆ「(って、よく見れば、須賀京太郎じゃないか!)」


京「加治木さん、自転車じゃないんだから、そんなつかまり方じゃ落っこちちゃいますよ。ちゃんとつかまって下さい」
ゆ「わ、わかった」
京「肩につかまるんじゃ危ないですって、腰につかまって下さい」
ゆ「(モ、モモの思い人に、そんなこと出来るわけないだろう///)」
京「なにやってるんですか、もっとこう、両手を腰に回して」
グーーーーッ
ゆ「こ、こんなに密着するものなのか///」
京「走りますよ、手、離さないで下さいね」
ブロロロロロ
ゆ「す、凄い加速するんだな。た、確かに、さっきのつかまり方では振り落とされていたな」
京「えっ?今なんて?」
ゆ「いいんだ!何でもない!気にしないでくれ!」
ゆ「(…………男の背中って、大きいんだな……はっ、何を考えているんだわたしは!モモの思い人に抱きついて///)」


ワ「ん!?ゆみちん、まさか走ってきたのか?」
ゆ「そ、そんなわけないだろう///」
ワ「ワハハ、冗談冗談。でも、なんでそんなに顔が赤いんだ?」
ゆ「さ、さあな///」

ゆ(だめだ、胸が熱い…………な、なんなんだ、これは///)


京(やべ~、加治木さんを送ったら、すっかりバイトに遅れちまった。……でもまさか、特に考えずに日給のよさだけで選んだバイト先が、龍門淵だったとは)
久「あら、須賀くん」
透「ぶ、部長!?なんでこんなところに?」
久「たまに集まって、情報交換をしてるのよ」
透「“こんなところ”で悪かったですわね!あなたかしら、新しいメイド、もとい雑用係というのは」
京「あ、はい、清澄高校一年、須賀京太郎です」
透「初日から遅刻とはいい度胸ですわね?龍門淵家の雑用は、並大抵の覚悟じゃ出来ませんわよ?」
久「龍門淵さん心配いらないわ。須賀くんは雑用が趣味みたいなものだから、じゃんじゃんこき使ってね」
透「望むところですわ!」
京「ぶ、部長、余計なこと言わないで下さいよ~」

透「次はあれをお願いしますわ」
京「は、はい」
透「次はあれを」
京「は、はい~」
透「(……この男をこき使うのって、なかなか爽快ですわね)」


透(須賀京太郎、あの量の雑用を…すぐに音を上げるかと思ったら、けっこう根性ありますわね)
京「お、終わりました~」
透「須賀京太郎、わたくし今週末に買い物をするので、荷物持ちをお願いしますわ」
京「今週末……ですか。わかりました」
透「じゃ、週末に呼びますので」
京「…………あ、ちょっと待って下さい」
透「なにかしら?」
京「この前の、国広さんの万引きなんですけど、あれ、違うんです。あれは子供のいたずらで」
透「……」
京「……龍門淵さん?」
透「……知っていますわ。(わたくし、あのとき一にひどいことを……そのせいで龍門淵内に一が帰って来づらい状況を作ってしまいましたわ。もっと一を信用していれば……)」
京「(え、知ってたのか。しかも後悔してるなんて)」
透「……今日はもう失礼しますわ」



週末

透「今日は買いたいものがたくさんありますので、荷物持ち、しっかり頼みますわ!」
京「ひぇ~、じゃその前に、何か食べていいですか~。朝飯食べてなくて」

たこ焼き店員「お、彼氏!彼女べっぴんさんだね!何個かサービスするよ」
京「え、本当ですか!やった~」
透「か、彼女じゃないですわ///」

京「いや~、ここのたこ焼き上手いな~」
透「(さっきの店員、彼女だなんて……でも、こうしてると、彼女みたいに見えるのかしら///)」
京太郎「あ、すいません俺ばっかり食べて。龍門淵さんのおかげでサービスしてもらったのに」
透「い、いいから早く食べて、荷物持ちをお願いしたいんですけど///」
京「そんなにすぐに食えませんよ。あ、そうだ、龍門淵さんもいくつか食べて下さい」
透「い、いりませんわ///」
グ~~~~
透「///」
京「あ、龍門淵さんも朝飯食べてないんじゃないですか、はい、どうぞ」
透「仕方ないですわね///、じゃ一つだけ」
パク
透「!!※?♯$%!!」
京「あ、ダメですよ!冷ましてから食べないと!」
透「~~~~~~~み、水!!早く」
京「み、水ですね、はい!」

京「龍門淵さん、たこ焼き食べたことないんですか?」
透「あんなに熱いなら、教えてくだされば……」
京「あ!そうですね、すいません。ま、でも腹もふくれたんで、買い物始めましょうか」
透「(あ、水///……こ、これって、か、間接キス///)」

店員「いらっしゃいませ、彼女へのプレゼントでしょうか?」
店員「いらっしゃいませ、カップルでしたら、こちらの」
透「(わたくしたち、そんなにカップルに見えるのかしら///)」

京「ひぇ~、今日も疲れた~。もうクタクタだ~」
透「ご苦労様でしたわ///、今日は車でお宅まで送っていって差し上げます。あなたのバイクは、後でハギヨシに届けさせますわ」

ブロロロロロ
透「彼氏だの彼女だの言われたせいで、なんだか今日一日、とても落ち着きませんでしたわ///」
京「zzZ」
透「……でも、こんなにぐっすり眠って、けっこう寝顔、かわいいんですのね」

透(はっ……わ、わたくし、なにときめいていますの///………須賀京太郎なんて、わたくしのイメージに会わないのに///)


ブロロロロロ、キキーッ、ガチャ
京「送ってもらっちゃって、ありがとうございました」
透「(ここが須賀京太郎の家ですのね…………ん、今、2階の窓から見えたのは!)」
京「どうしたんですか!?龍門淵さん」
透「ちょっと、おじゃましますわ!」ガチャ

2階 ガチャ
透「一!一ですのね!……あれ、誰もいない」
京「ちょ、龍門淵さん!勝手にひとん家」
透「一はどこですの!早く連れてきてください。わたくし、昨日お父様を説得しましたから、これでいっしょに龍門淵に帰れますわ!」
京「あ、そうなんですか!よかった~。今(呼んできま…………待てよ……龍門淵さんの声、聞こえてるはずなのに、国広さん、なんでここに出て来ないんだ?)」
透「ん?『今』なんですの?」
京「(とりあえずごまかそう)……あ、え~と、『あ、そうなんですか!よかった~、今からでも仲直りできて』」
透「当然ですわ!わたくし、あのときのことを早く謝りたいんです。どこですの?一は」
京「えええ!?国広さんが、ウチなんかに???」
透「匿ってるんじゃありませんわね?」
京「……は、ははは」
透「ジーーーーッ」
京「はははまさか……」
透「怪しいですわ」
京「……(バ、バレたか!?)」
透「///」
京「?(ん、龍門淵さん、どうしたんだろ?)」
透「(か、顔を近づけすぎてしまいましたわ///)」
京「?」
透「そ、そうですわね。ここに一がいるなんて、ありえませんわね……。(私が近づきすぎたことは、特に気にしてないみたいですわね///)」
京「どこにいったんでしょうかね?国広さん」
透「それが、実家にも帰っていないようですの、ハギヨシ達に探させてはいるんですけど……」
京「し、心配ですよね」
透「そうだ!あなたも龍門淵の住み込みになって、いっしょに一を探して下さらないかしら!?そのほうがわたくしとしても(はっ///、わたくし、今なんて///)」
京「あれ、口ごもって、どうかしたんですか?」
透「と、とにかく、明日も雑用をお願いしたいので、お呼びします。し、失礼しますわ///」
京「あ、はい。明日ですね。わかりました」

京(ふぅ、ごまかしたけど、よかったのかな?ま、嘘はついてないからいいだろう……でも、なんで出てこなかったんだ?国広さん)


隠れていた二人
モ(あの距離は危険っす///。こっちがドキドキしたっす///。)
一(と、透華が須賀くんに近づいただけで、あんなに胸が苦しくなるなんて、ボクは。……そうか、ボクも須賀くんのことを///)
モ(……ん!?なんで表に加治木先輩までいるっすか!?)


ゆ(バイクで送ってもらったお礼に、ご飯に誘うなんて、出過ぎた行為じゃなかっただろうか……。これでは、まるで、デートでは///)

ガチャ、タッタッタッ
透華「(あんなに近づいてしまって、その上、住み込みで働いてくれなんて///)はぁ、わたくしったら、なんて大胆なことを///」
ガチャ、バタン、
透華「ハギヨシ!車を出して」
ブロロロロロ

ゆ「あれは、龍門淵透華……」
ガチャ
京「おまたせ、加治木さん。で、飯って、何食わせてくれるんですか?」
ゆ「……あ、ああ、少し遠くだが、上手いラーメン屋を知ってるんだ」


ブロロロロロ
ゆ「(ずるいな、私は。またバイクの後ろに乗りたくて、わざわざ遠いラーメン屋を調べるなんて……でも、今は///)」
ギュ
京「ん?加治木さん?」


ラーメン屋前
京「ラーメン屋が、閉まってる……」
ゆ「す、すまない。私としたことが……」


ゆ「本当にすまない……」
京「加治木さん、もう謝るのやめてください。ほら、ハンバーガーもうまいですよ」
ゆ「いや、でも……ハンバーガーなら遠出なんてしなくても食べられたのに……」
京「わ、わざわざ俺にご馳走するために調べてくれたんですよね!そ、それだけで嬉しいですよ!」
ゆ「///……そ、そうか。なら、よかった」
京「(……でも、ラーメンも喰いたかったな)」
ゆ「な、なら、今度また、二人で来ないか///」
京「えっ、聞、聞こえちゃいましたか」
ゆ「きょ、今日の埋め合わせとして、ご馳走させてくれ///」


京「あ、加治木さん、帰りのバイク、俺の上着着てください。行きのバイク、寒かったんですよね?」
ゆ「ん?………………あ、ああ!さ、寒かった///」

ブロロロロロ
ゆ「(次の約束を無理矢理取り付けて、嘘をついて上着まで借りて……)」
京「どうですか?寒くないですか?」
ゆ「(……ずるいな、私は///)」
ギュ
京「ん、加治木さん?まだ寒いんですか?」

ゆ(でも、結局聞くことが出来なかったな……。家から出てきた龍門淵透華のことも、2階に見えたモモのことも……)


京「ただいま~」
一「……おかえり」
京「あ、国広さん!どこに行ってたんですか!今日、龍門淵さんが来てましたよ」
一「……須賀くん、龍門淵に行っちゃうの?」
京「き、聞いてたんすか!?なんだ、あのとき家にいたなら出てくればよかったのに」
一「……須賀くん、キミが龍門淵の住み込みになったら……ボクとモモちゃんは、(どこに行けばいいのさ……)」
京「!!(そうか、俺が龍門淵に行ってしまったら、二人は……)」
ガチャ
モ「す……須賀くん、お風呂に入りたいっす」
京「ん?……ああ!、もうこんな時間か!まずい!急がないと銭湯が閉まる!」


ザパァ
一「ふぅ、いいお湯だね」
モ「……鎖さん、話があるっす」
一「……うん」

モ「……鎖さんが龍門淵に帰れば、須賀くんが龍門淵に行く理由なんてなくなるっす」
一「………………うん。ボクが帰れば、済む事なんだよね。……だけど、そのことに須賀くんが気づかなかったから、さ」
モ「……私は鎖さんに、龍門淵に帰ってほしいっす」
一「……」
モ「……龍門淵に帰らないのは、なんでっすか」
一「///(そ、そんなの…………///)」
モ「……(その反応……そうっすか、やっぱり鎖さんも……)」

一(……でも、なんでモモちゃん、ボクが帰れば済む事を、須賀くんに教えなかったんだろう……。)
モ(私が須賀くんに教えたら……きっと、ヤケになった鎖さんは須賀くんに告白するっす……。もし、それを須賀くんがOKしたら……わたしは……。
 ……そうならないためには、鎖さんが告白するより先に、私が告白するしかないっす。……でも、私が告白して、もしフラれたら、結局)
一(そうか、ボクが告白すると思って……。ボクが告白、か……。)


京「いや~いい湯でしたね~」
モ「そうっすね…………」
京「ん、東横さん、どうかしたんですか?……あっ!とうとう真ん中に乗ってくれる気になったんですね!!」
モ「///ダ、ダメっす。帰りも私が一番後ろっす」
一「(須賀くん……真ん中にはボクじゃなくて、モモちゃんに座ってほしいんだな……)」

ブロロロロロ
一(……告白なんて出来ないよ。だって、須賀くんが見てるのは、ボクなんかじゃなくて……)
モ(ダメっす……私を見失わなかった初めての人っす。須賀くんと離れるなんて怖くて、告白なんてできないっす……)
京(二人とも黙り込んで、いったいどうしたんだ?)




京「(昨日の雑用の疲れがまだ残ってるけど、銭湯代のためだ。京も雑用がんばるぞ)」
透「お待ちしてましたわ///」

透「次はあれをお願いしますわ///」
京「は、はい」
透「次はあれを///」
京「は、はい~」
透「///…………ちょっと外しますわ」


透「(昨日から、どうも意識してしまって///。はぁ、わたくし、なんでこんな男のことを好きになってしまったのかしら……///)」
久「あら、意外ね」
透「!!…………なんで竹井さんがここに」
久「なんでって、今日は元々、麻雀の情報交換で約束していた日じゃない」
透「ああ、そういえばそうでしたわね……ところで、『意外ね』とは?」
久「龍門淵さんって、恋愛とかにはあまり興味なさそうに見えたから」
透「な、なんのことですの?」
久「『こんな男』っていうのは須賀くんのこと?」
透「(き、聞こえてましたの!?)」
久「ふうん……龍門淵さんが、須賀くんを」
透「///ち、違いますわ」
久「そうよねぇ、まさか、あの龍門淵家のお嬢様が、須賀くんなんかを、ねぇ」
透「/////そ、そうですわ、ありえませんわ///」
久「……プッ、クスクス……はははは!」
透「だ、だから違うと/////」
久「龍門淵さん、鏡見てきたほうがいいわ」

久「別に気にすることないわ。私は人の恋愛にとやかく言う気はないから」
透「///……人をからかうのも、大概にしてほしいですわ」
久「このことに、須賀くんは気づいてるの?」
透「たぶん、気づいてませんわ///」
久「そう、じゃあきっと、龍門淵さんから告白しないとダメね。(須賀くんは胸の大きい子しか見てないし)」
透「こ、告白!?わたくしから!?」


透「作業を続けながらでいいから、聞いてください///」
京「あ、はい」
透「(こ、告白って何を言ったらいいのかしら!?)」
――わたくし、あなたのことが、好きですわ。
透(こ、こんなストレートなセリフは、恥ずかしくて、とても言えませんわ///)
――わたくしの彼氏にして差し上げますわ!!
透(……うん、これなら恥ずかしくないし、雑用に向けて言うセリフっぽいですわ)

――まさか、あの龍門淵家のお嬢様が、須賀くんなんかを、ねぇ。

ズキッ
透「!!(ダメですわ、わたくし///……須賀京太郎に告白なんて、恥ずかしくて、出来ませんわ///)」
京「(ずっと黙ってるけど、どうしたんだろ?)」

久(ん?……告白するって言ってたのに、龍門淵さん、どうしたのかしら?)



数日後

ドンッ
通行人「痛てっ」
モ「痛いっす」
ドンッ
通行人「痛てっ」
モ「痛いっす」
京「東横さん、大丈夫?」
モ「ひ、人混みは苦手っす」
京「危ないから、手をつなごう」
モ「は、はいっす///」
一「……」
京「なにやってんですか。国広さんも、ほら」
一「……えっ」
京「国広さん小さいから、はぐれないように」
一「…………う、うん///」

ドンッ
京「痛っ。ご、ごめんなさい。よそ見してて」
透「痛いですわね!ちゃんと前を見て………………あっ///」
京「あ、龍門淵さんじゃないですか」
一「と、透華!」
透「一!…………はっ!(な、なんで須賀京太郎と手をつないでますの!?し、しかも、反対側にもう一人……いったいなんなんですの!?わけがわかりませんわ)」
一「透華、説明するからこっちに…………須賀くんモモちゃん、ちょっと待ってて」
京「あ、ああ」


モ「ん?あれは、加治木先輩…………。須賀くん、ちょっと私も外すっす!」
京「ちょ、モモちゃんまで!」


透「一!今までどこへ行ってたんですの!」
一「龍門淵を出てから、今までずっと、須賀くんの家でお世話になってたんだ」
透「え、わたくしが訪ねたとき、須賀京太郎は、一のことは知らないって……」
一「あのときは、ボクが須賀くんに頼んで、ごまかしてもらったんだ」
透「(え、なんで一がわたくしを避けるようなことを?…………あ、わたくしのせいですわ……)」
透「一、ごめんなさい。わたくしが悪かったですわ。あのときは言い過ぎました。本当はわたくし、あんなこと……」
一「うん、わかってるよ透華。透華に悪気はなかったんだよね」
透「一!!…………じゃあ、一緒に龍門淵に帰りましょう!!」
一「……ごめん、透華。ボクは帰らない」
透「え!?なんでですの?」
一「うん、透華にだけは、ちゃんと理由を言っておくね。ボクは…………須賀京太郎のことが、好きなんだ」
透「!!」



一(モモちゃんには勝てない。でも須賀くんはボクのことも見てくれてる。なら、ボクはそれだけでいいから)

透(そんな、一も須賀京太郎のことを好きだなんて……。わたくしだって須賀京太郎のことを……。わたくしは、どうしたら……)





モ「先輩、聞きたいことがあるっす。この前二人で、どこ行ってたっすか」
ゆ「な、なんのことだ、モモ」
モ「しらばっくれてもダメっす。夜、たまに須賀くんが出かけるっす。私にはわかるっす」
ゆ「……すまない、モモ。須賀くんには助けてもらったお礼に、ご馳走をしようとしたんだが、いつも上手くいかなくて」
モ「いくらなんでも多すぎっす!何回お礼してるっすか!」
ゆ「すまない……。モモの気持ちは薄々気づいていたんだが、…………私もいつの間にか、彼を、好きになってしまったんだ」
モ「!!」


モ(せ、先輩もっすか。そんな……須賀くんは、私を見失わない人なのに……)

ゆ(だが、モモの思い人を、横取りなんてできない。わたしは、どうすれば……)








最終話


透「お父様と喧嘩をしてしまって、行くところがありませんの///」
ゆ「わ、私もなんだ///」
京「えっ!?今度は龍門淵さんと加治木さんですか?」

京(話の流れで二人を泊めることになってしまったが……)




モ「二人とも、親と喧嘩したなんて、嘘に決まってるっす!」
透「そ、そんなことないですわ」
ゆ「あ、ああ。私達も行くところがないんだ」
モ「そんなの信じられないっす。そもそも鎖さんだって、龍門淵に帰れるのに、ズルいっす!」
一「あれ?モモちゃんはステルスが解除できなくなったから、ここに来たんだよね?」
モ「……うっ」
一「解除できないキミの姿、なんでボクたちに見えてるのかな?」
透「(東横さん、最初っからズルしてたんですわね……)」
ゆ「(モモ……)」

ガチャ
京「おまたせ、家族にはバレてないみたいだった。さあ5人で寝よう!川の字になって寝よう!」
ゆ「///(す、須賀くんといっしょに)」
透「///(寝るんですの!?)」
一「そ、そうだね。寝ようか。ボクはここに来たとき、何でもするって言っちゃったし///」
ゆ「///(私も居候の身だし、文句は言えないな)」
透「///(し、仕方ありませんわね)」
京「よし、5人で川の字だ!」
モ「///ダ、ダメっす!……男女一緒に寝るなんて、そんなのあり得ないっす///」
ゆ「(モモ……)」
モ「いくら3人が5人になったからって、ダメっすよ///」
一「(モモちゃん……)」
京「え~、一緒に寝ましょうよ~」





京太郎(こんな夜中に俺の部屋に女の子が4人も、それも、たいして広くもない俺の部屋に……。
俺がこんなぶっ飛んだ状況で寝ることになるなんて、最初に公園で東横さんに声をかけた時には思ってもみなかった。
「4人の女の子と川の字になって寝る」という俺が抱いたささやかな願い。
この余りにささやかな願いが、儚く崩れ去った今、言えることはひとつ……。
ベランダは、寒い。
はぁ、家族にバレずに俺一人が寝られる空き部屋が一つもない事が、本当に恨めしくて仕方ない。
いや、ネガティブはいけないな。何事も楽しむべきだ。前向きに考えよう。
女の子が4人も寝てる部屋のベランダで夜を明かす。これは普通は体験できない、貴重なことじゃないか。
感じるんだ!!固い床を、冷たい夜風を、自室のベランダの感覚を……この体全体で!
……はぁ、でも寒いな。ベランダデビュー初日の俺には、さすがにこの状況は応える。

ん、昨日までの俺はどこで寝ていたか?それは、中で寝てる二人に聞いてくれ)

おわり








エピローグ


京太郎(いや、まて……あまりの寒さにうっかりこの理不尽を受け入れようとしてしまったが、龍門淵さんと加治木さんが来るまで、俺はベランダに閉め出されることもなく3人で川の字になっていたんだ!
何故だ!?何故俺ははじき出された!……そうだ、5人で川の字になる空気だったのに、東横さんが余計なことを言ったからだ!
なんで東横さんは、いきなりあんな事を!!
そうか……さては、みんなグルだったんだな!始めから、俺の部屋を、4人の愛の巣にするつもりだったんだな!
くそ~、灯りを消してカーテンまで閉めやがって!中で何をやっているんだ!?見えん!全く見えん!!)



?「須賀くん」
京「!?」
?「なにをおどろいてるっすか、わたしっす」
京「えっ、東横さん!?、どうしてベランダに……」
モ「こんなところで、ひとりで……風邪引くっすよ」
京「……『風邪引くっすよ』って、そもそも俺が閉め出されたのは東横さんのせいじゃ」
モ「悪かったっす」
京「じゃあ、俺を部屋に入れてくれるんですか!?……ありがとう、俺は、俺は……う、うう……」
モ「なに泣いてるっすか、別に、部屋には入れてあげないっすよ」
京「そんな、こんなに寒いのに…………俺、風邪引いちゃいますよ!!」
モ「だからっす」
京「?」
モ「だから私が出てきたっす。こうして……」
ガバ
京「!?」
モ「……二人でくるまれば、暖かいっす」
京「東横さん!?」
モ「これで……風邪引かないっす」

ドクンッ
京(なぜか、このとき、全てがつながった気がした。いままで確かにそこにあったのに、俺が気づかなかった感情が、向けられていた想いが、全て、見えた気がした。)

京「(東横さん、もしかして、いままで、ずっと……///)」
モ「///」
京「もしかして、わざと俺を閉め出し…」
ギュ
モ「須賀くん……こんなに冷えるまで、外でほったらかして、悪かったっす……」
京「と、東横さん///」


モ「朝まで、長いっすね」
京「モモちゃん、おっぱい揉まして~」
モ「と、突然なに言ってるっすか!?ダメっす///」
京「ええ~、いいじゃん、むにゃむにゃ……zzZ」
モ(寝言っすか……。)
京「zzZ」
モ(びっくりしたっす……///)
京「あ、部屋の3人が起きちゃう……むにゃむにゃ」
モ「心配しなくても、大丈夫っすよ」
京「でも、モモちゃんがここにいるのがバレちゃう……むにゃむにゃ……zzZ」
モ(もう、あの3人には、私のことは見えないっす)
京「zzZ」
モ(ステルスモモの、独壇場っす)

おわり





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最終更新:2010年10月28日 22:12
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