その後の美穂子

華菜「先輩! 今年のインターハイも頑張ってください!」

美穂子「ありがとう、池田さん」

華菜「私、先輩の麻雀見てすっごく感動しました。ここにはこんなすごい人がいるんだって!」

美穂子「そ、そう? 自分じゃちょっとわからないから」

華菜「もちろんですよ。人望もあって雑用も進んでやるし、なにより麻雀が強い!」

美穂子「そこまで言われるとさすがに恥ずかしいわ……」

華菜「あー、憧れちゃうなぁ。私も先輩みたいになりたいです」

美穂子「でも、私だって最初っから上手くいってたわけじゃないの。同級生からは少し距離を置かれてたし」

華菜「先輩が、ですか?」

美穂子「ええ、本当になんでもないことですぐに仲良くなれたんだけど……」





「ねぇ、知ってる?」

「なにがよ」

「福路のことだけどさ」

「はぁ? あのいい子ちゃんがなにかやったわけ?」

「そうそう、私も驚いたんだけど……」

「もったいつけてないで言えよー」

「なんと、男と会ってたらしいのよね」

「マジ? あの福路が?」

「しかも大会直前の大事な時期に!」

「あーこれはもう」

「一言言ってやらなきゃね」



美穂子「全国大会……気を引き締めないと」

「福路ー」

美穂子「……なんでしょうか?」

「大会前に男と会ってたらしいじゃん」

「うちら驚いちゃった。あれ、本当なの?」

美穂子「それは……本当です」

「それ、良くないんじゃないの?」

「やっぱまずいよねー。大会前の大事な時期に」

美穂子「……その通りだと、思います」


「あんたさ……やるじゃん」


美穂子「はい?」

「いい子ちゃんだって思って正直気に食わなかったけどさ、あんなことやらかすなんてね」

美穂子「えっと……」

「いいじゃん隠すなって」

「そうそう、話聞かせてよ。ご飯でも食べながらさ」

美穂子「あの、それは――」

「さー行こー」

「今日は帰さないぞー」





美穂子「きっかけは……恋バナ、かしら?」

華菜「恋バナ……先輩、彼氏いるんですか!?」

美穂子「そうではないんだけれど……」

華菜「……先輩?」


「そこの一年! うるせぇぞっ!」


華菜「ひっ、鬼コーチのお出ましだしっ」

「ほう、人を鬼呼ばわりとはいい度胸だなぁ?」

華菜「聞こえてた!? あわわわわっ」

「お前、たしか池田だったな。特別指導してやるからちょっと来い」

華菜「あっ、急にお腹が……ほ、保健室行ってきます!」ダッ

「コラ待て池田ァァッ!」

華菜「ひいいぃぃぃっ!」


美穂子「……お腹痛いのにあんなに走って大丈夫なのかしら?」
最終更新:2015年03月10日 00:28