初夏、美穂子との特訓

京太郎「お、来た来た」

美穂子「すいませんっ、ちょっと練習が長引いて」

京太郎「いいよ、俺も今来たところだったし。それより、今日も待ちの読み方?」

美穂子「いえ、今日は次の段階に進もうと思います。あまり時間もありませんし」

京太郎「そうだな……約束の日は週明けだからな」

美穂子「あと五日間、頑張りましょう」

京太郎「よろしく頼む。で、今日も差し向かいでやるのか?」

美穂子「ネットカフェに行きましょうか……身の危険も感じますし」

京太郎「……もしかしなくても俺、すごい警戒されてる?」

美穂子「お、女の人の胸に視線を向けるのはちょっと……」

京太郎「……ぉう」



京太郎「それじゃ、お願いします」

美穂子「はい」

京太郎「今日はネト麻で?」

美穂子「対局相手に困らないと聞いたので。昨日教えたことを踏まえて対局してみてください」

京太郎「それはいいけど、どこのサイトで?」

美穂子「えっと、先輩から教えてもらったアドレスが……えいち、てぃー、てぃー……きゃっ」

京太郎「ちょっと待て、画面が真っ青なんですけど」

美穂子「どうしましょう……」

京太郎「……とりあえず店員呼ぶか」



京太郎「いやー良かった良かった」

美穂子「大丈夫なんですか?」

京太郎「ちょうど調子が悪かったみたいで、たまたま壊れたんじゃないかって言ってた」

美穂子「そうなんですか……私てっきり」

京太郎「そんなわけないって。キーボード押してるだけで壊れるなんてありえないよ」

美穂子「そうですよねっ」

京太郎「……でもアドレスは俺が打とうか」

美穂子「……お願いします」



京太郎「登録完了っと。これであとは打ちまくればいいのかな」

美穂子「私は後ろから見てますから、自由に打ってみてください」

京太郎「ん、そんじゃやりますか」



美穂子「あ、そこはこっちを切ったほうが」

京太郎「え? ってもう捨てちゃったよ……」ロン!


美穂子「河をよく見てください。その牌だと通りません」

京太郎「じゃあこっちかな……よし、通った」


美穂子「その字牌はまだ持っていたほうが……」ポン

京太郎「うおっ、鳴かれた」



美穂子「そこはそうじゃなくて……」フニョン

京太郎「……」


京太郎(ヒートアップしてるのか距離が近い……)

京太郎(というか、背中に当たる感触で集中できない)


美穂子「あの、聞いてます?」

京太郎「はいっ、もちろん!」

美穂子「なら説明を続けますね」


京太郎(はっきり言って感無量だ……でも)


京太郎「……ちょっといいか?」

美穂子「どこかわからないところ、ありました?」

京太郎「そうじゃないんだけど……その」

美穂子「気になることがあったらなんでも言ってくださいね」

京太郎「……背中」

美穂子「背中がどうかしたんですか?」

京太郎「いや、当たってるんだよ」

美穂子「当たってる……あっ」

京太郎「……」

美穂子「……」カァァ


美穂子「へ、変態っ」パッ

京太郎「なんで!?」
最終更新:2015年03月10日 00:51