二年、秋、こどな――if

えり「私はそろそろ……着物を返さないといけませんから」

京太郎「気をつけて」

咏「じゃあ、後でねー」

えり「三尋木プロ、あなたはハメを外し過ぎないように」

咏「わかってるっての」

えり「それでは……」


咏「で、これからど-すんのさ?」

京太郎「さぁな……最大の目的はほぼ果たしちゃったし」

咏「ってことは暇人ってわけだ」

京太郎「噛み砕くとそうなる」

咏「じゃあ、暇人同士ご一緒にどーですか?」

京太郎「まぁ、一人よりも二人の方が楽しいか」


京太郎「というわけで、しばらくよろしくな」


咏「しょうがない、面倒見てやっかねぃ」

京太郎「むしろ逆のような気もしてくるな……」

咏「よーし、雀荘行くかー」

京太郎「それは勘弁してください」



咏「さ、ここここ」

京太郎「これからどこ行くかってときに忘れ物ってどういうことなんだよ」

咏「細かいこと気にしてたら負けだぜぃ?」

京太郎「わかったから、さっさと取ってきてくれよ」

咏「えー? 時間かかるかもしれないし、部屋の中で待っててもいーよ?」

京太郎「いや、探すのに時間かかるのかよ……」

咏「んー、それもこれもお兄さんしだいじゃね? 知らんけど」

京太郎「はぁ? 俺にも探させる気かよ」

咏「いいから入った入った」グイグイ



咏「ま、そこら辺に座って楽にしててよ」

京太郎「手伝わせるんじゃないのか?」

咏「いや、そんなこと一言も言ってないし」

京太郎「じゃあ早くしてくれ。座って待ってるからよ」

咏「飲み物いる?」

京太郎「別に喉は乾いてないから」

咏「ふーん、じゃあさ……んぐっ」

京太郎「近い近い、ふざけてないで――んっ!?」

咏「ん――ぷはっ……こんなのはどうかねぃ?」

京太郎「ちょっ、いきなりなにす――」ドクン


京太郎「――っ……なに、飲ませた……?」

咏「ちょっとムラムラするお薬じゃね? 知らんけど」

京太郎「なんだってそんなものを……」

咏「本格的に婿養子になってもらおうと思って」

京太郎「あれ、本気だったのかよ……」

咏「もたもたしてっと誰かに取られそうだし、ちゃっちゃとあたしのものになってもらおうかねぃ」ゴソゴソ

京太郎「あんたのもの? ……ふざけんなっ」ガバッ

咏「うわっ」


京太郎「普通逆だろ……あんたが俺のものになれよ」

咏「あっれー? 想像してた流れと違うねぃ」

京太郎「脱がしにくいな……ま、着たままでもできるか」

咏「いや、しわになっちゃうし――」

京太郎「いいから黙ってろ」グイッ

咏「んむっ」


咏「せ、せめて優しく……その、初めてだし」

京太郎「悪いけど無理だわ」



京太郎「うあー……」

咏「なーに情けない声出してんのさ」

京太郎「いや、だって薬を盛られてたとはいえこんな」

咏「ホント酷い話だよねぃ。人があんなにもう無理って言ってんのにさ」

京太郎「どう考えても半分以上あんたが悪いだろっ」

咏「いや、知らんし」

京太郎「そこは知っといてくれよ……」


咏「……でさ、これからどーするわけ?」

京太郎「どうって、普通に帰るよ」

咏「そうじゃなくて、あたしらの話」

京太郎「……」

咏「無理に責任とれとは言わないけど、あたしだって一応プロ生命かけてんだよね」

京太郎「プロ生命?」

咏「ま、そこはおいおい話すとして……どーすんの?」

京太郎「……あんた卑怯すぎだろ」


京太郎「ふぅ……わかったよ。取ればいいんだろ、責任」


咏「なんか投げやりだねぃ」

京太郎「人をはめといてなに言ってんだこら」

咏「ハメられたのはこっちだっての」

京太郎「うまいこと言ったつもりか」


咏「とにかくこれでうちの婿養子確定ってことで」

京太郎「何言ってんだ? んなわけないだろ」

咏「へ?」

京太郎「言っただろ、俺のものになれって」

咏「……年上のお姉さん相手に自分のものになれとは、またいい度胸だねぃ」

京太郎「だろ?」

咏「でも、それであたしが納得すると思ったら――」

京太郎「ああもう、うるせぇな」グイッ

咏「――んんっ」


京太郎「これで納得しとけ」

咏「ふぁ、ふぁい……」


咏(これはこれで悪くないかも……)




つづ……かない
最終更新:2016年04月12日 09:04