三年、夏、暴風――if

京太郎「……」コソコソ


ネリー「あ、不審者発見」


京太郎「いや、俺は怪しいものじゃ――ってお前か」

ネリー「今度は本当に不審者っぽかったよ?」

京太郎「いやまぁ、色々気になってな」

ネリー「キョウタロウのとこの先鋒? 頑張ってると思うよ?」

京太郎「お前はナチュラルに上から目線だな」

ネリー「あの子とネリーじゃネリーの方が格上だし」

京太郎「そりゃまた……」

ネリー「もう休憩時間も終わっちゃうし、行こうよ」

京太郎「そうだな……」


京太郎(結局、照ちゃんの顔は見れなかったし)


ネリー「じゃあこっちね」グイッ

京太郎「待て、どこに連れてく気だ」

ネリー「ネリーたちの控室」

京太郎「行かないぞ?」

ネリー「さっき同意したじゃん」

京太郎「ここから移動することにな」

ネリー「むっ、詐欺だね」

京太郎「アホか。これで詐欺なら世の中詐欺だらけだよ」

ネリー「なにさ、もう……」

京太郎「んー、じゃあ俺の部屋来るか?」



ネリー「ここが……」

京太郎「ボーッとしてないで入れよ」

ネリー「あ、うん」


ネリー「和風だね」

京太郎「そりゃ旅館だからな」

ネリー「このお菓子食べていい?」

京太郎「お好きにどうぞ」

ネリー「それで、部屋に連れ込んで何する気なのかな?」

京太郎「そんなの決まってるだろ」

ネリー「まさか……」ドキドキ

京太郎「そのまさかだ。逃げようとしても逃がさないからな」


ネリー(女の子と部屋に二人きりですることって、アレしかないよね)

ネリー(意外と大胆なんだ……)


京太郎「お前にもう一回タコスを食べてもらおうと思ってな」

ネリー「……帰る」

京太郎「その反応は予想済みだ。この前は失敗したからな」

ネリー「そうだけどそうじゃないの!」

京太郎「なんにしても食べてもらうぞ。俺のタコスをな!」

ネリー「バカっ、キョウタロウのバカっ!」


京太郎「さあ食え、食ってみせろ!」

ネリー「だからやだってば!」ドン

京太郎「うおっ」


京太郎(まずい、タコスが……!)

京太郎(でもここで確保しに行ったら盛大にすっ転ぶ)

京太郎(……食べ物を粗末にするよりはマシか)

京太郎(なに、背中を打ち付ける程度だ。大したことは――)


――ガツン!


京太郎「よ、予想外……」ガクッ

ネリー「キョウタロウ?」


ネリー「……し、死んでないよね?」ツンツン

京太郎「うぅ~ん……」

ネリー「……良かったぁ」ホッ

京太郎「おもちぃ……胸は大きいに限る……」ムニャムニャ

ネリー「……」プチッ


ネリー「ネリーの方がイイって、絶対にわからせてやるんだから……!」



京太郎「うっ……」


京太郎(なんだこれ、手が自由に動かせない……)

京太郎(それに、上がやけにスースーするような)


ネリー「あ、起きた」


ネリー「ちょっと待っててね、もうちょっとで準備終わるから」

京太郎「準備……って、なんで上半身裸なんだ、俺?」

ネリー「なんでって、ネリーが脱がせたからだけど」

京太郎「なんか動かせないと思ったら……ご丁寧に手まで縛りやがって。どういうつもりだ?」

ネリー「キョウタロウが煮え切らないから、もうネリーのものにしちゃおうかなって」

京太郎「これはお前風に言うと慰謝料が発生する展開じゃないのか?」

ネリー「こっちもちょっと脱いでるし、イーブンじゃないかな?」

京太郎「どうやったら等号で結べるんだよ……」


京太郎(しかし、縛りが甘いな)

京太郎(これなら……)


ネリー「思ったより余裕なんだ」

京太郎「慌てる必要がないからな」

ネリー「ふぅん、じゃあ……んっ――」チュッ


ネリー「こ、これでも?」

京太郎「明らかにお前の方が余裕ないよな」

ネリー「~~っ、余裕ぶっていられるのも今のうちなんだからっ」

京太郎「そうだな……それなら」シュル


京太郎「ここらで反撃開始と行くか」グイッ

ネリー「え……きゃっ」


ネリー「ど、どうして……」

京太郎「縛り方が甘いんだよ。もっとガッチリやんなきゃ抜けられるぞ?」

ネリー「そんなぁ……」

京太郎「さて、どう落とし前つける?」ギシッ

ネリー「ひっ」ビクッ

京太郎「……」


京太郎(やばい、なんかムラッときた)

京太郎(欲求不満か? 俺、貧乳属性はないんだけど)


ネリー「……ネリーをどうするの?」

京太郎「今考え中」

ネリー「ひどいことはしないよね? だってキョウタロウは――」

京太郎「ったく、どいつもこいつも好き放題言いやがって……俺を聖人かなんかと勘違いしてんのか?」


京太郎「決めた。多少痛くて苦しいかもしれないけど、我慢してもらう」

ネリー「な、なにする気? 痛いのはヤダ――んむっ」

京太郎「――ちょっと黙ってろよ。お前も俺にしようとしてたんだから、それこそイーブンだろ?」

ネリー「う、うん……」


ネリー(これはこれで結果オーライかも……)



ネリー「ただいまぁ……」

「おかえり、遅かったね」

ネリー「うん、ちょっとね……」

メグ「サトハの試合ももうすぐ終わりマスネ」

ネリー「もうそんな時間経ったんだ……」

明華「足、怪我しました? 歩きにくそうですけど」

ネリー「足は大丈夫だけど、まだ残ってるような感じで」

ハオ「残ってる? なにが?」

ネリー「それは……も、もうっ、ノーコメント!」




つづ……かない
最終更新:2017年12月02日 23:13