エピローグ

京太郎「久ちゃーん、準備できたかー?」

久「飲み物とかの用意はオッケーよ」

京太郎「料理はもうすぐだから部長の方頼む」

久「そろそろ時間だっけ?」

京太郎「後ちょっとしたら解放されるはず」

久「部長が卒業か……なんだか早かったわね」

京太郎「そうだよな。具体的には夏あたりからいきなり時間が飛んだ感じだ」

久「不思議ねぇ」

京太郎「まったくだな」

久「とまぁ、くだらないこと言ってないで行ってくるわ」

京太郎「いってらー」



京太郎「てなわけで、卒業おめでとうございます!」

久「おめでとうございます」

部長「あはは、麻雀部でこんなことができるとはね。あの頃は思ってもみなかったよ」

京太郎「つっても三人ですけどね」

久「結局部員は増えなかったのよね」

京太郎「まぁ、やっぱ実績がないときついのかね」

久「それはいかんともしがたいのよね」

部長「でも、ぼくは二人がこうしてくれるだけで嬉しいよ」

京太郎「部長……」

部長「ぼくもそこまで麻雀に打ち込んでたわけじゃないけどさ。部長って立場ってだけだったから」


部長「実はね、麻雀部をやめるかどうか迷ってたんだ」

部長「誰一人まともに出ない部活なんて残しておく意味もないし」

部長「やっぱり、須賀くんが来てくれたからなんだよ」

部長「君が来て、竹井さんが来た」

部長「この部にも意味ができたってことなんだ」

部長「お礼を言わせてほしい……ありがとう」


京太郎「ぶ、部長……」ジーン

久「……お礼を言わなきゃならないのはこっちもです」

京太郎「……だな」

久「今までお世話になりました」

京太郎「あの時、俺のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」


部長「さ、そろそろ食べようか。せっかくの料理が冷めちゃうし」

京太郎「俺が執事の修行で身につけた料理、よく味わって食べてくださいよ」

部長「思ったんだけどさ、執事ってそんな料理とかするものなのかな?」

京太郎「もちろん。炊事洗濯掃除、それに戦闘までどんと来い、ですよ」

部長「執事って一体……」

久「考えたら負けですよね」



京太郎「今日から俺ら二人かー」

久「名前だけの幽霊だったらいるわよ」

京太郎「いないのと同じだな」

久「ま、部の存続に役立つからまだマシね」

京太郎「わお、すっげー上から目線」

久「それよりも部活動紹介のことよ」

京太郎「それってまだ一月以上先だろ」

久「準備は早いほうがいいの。なんたって、来年度はやることが山ほどあるんだから……」

京太郎「……久ちゃん」

久「もちろん手伝ってくれるわよね?」

京太郎「当たり前だろ」

久「でも……よいしょっと」


久「しばらくは二人きりも、悪くないかもね」


京太郎「いきなり人の膝の上に乗ってなんだよ」

久「ちょっと小学校の頃思い出したからさ」

京太郎「ああ、罰ゲームで椅子になるってやつか」

久「そうよ」

京太郎「懐かしいなー、いっつも負けてた覚えしかないけど」

久「得意分野だったらそうそう負けないってことよ」

京太郎「……そういや勝負の中身はそっちが決めてたんだっけ」

久「そういうこと」

京太郎「ずるいな」

久「女の子の特権よ?」

京太郎「じゃあ……これでどうだっ」

久「ひゃっ」

京太郎「くすぐりに弱いことだって覚えてるんだからな!」

久「ちょっ、やめっ、あひっ――」



久「……よくもやってくれたわね」

京太郎「たまにはいいだろ」

久「覚えてなさいよ。絶対仕返ししてやるから」

京太郎「おーこわっ」

久「まぁ、仕返しは今度ね。帰りましょ」

京太郎「はいよ」


久「……全国、行けるかな?」

京太郎「……」


久『責任、とってよね……』


京太郎「俺が、つれていくよ」

久「……うん」

京太郎「さあ、せっかくだし飯でも食いに行こうぜ」

久「じゃあラーメンね」

京太郎「仮にも女子高生のチョイスとは思えないな」

久「あんた相手に今更でしょ」

京太郎「だな」




一年編――完
最終更新:2015年03月11日 07:10