秋、衣の誕生日(略してころたん)

メイド「京太郎くーん、次こっちお願ーい」

京太郎「あいよー」

メイド「国広さんはこっちお願いねー」

一「は、はいっ」

メイド「あ、二人共それ終わったら向こうの大部屋の掃除お願いしまーす」

京太郎「りょーかい」

一「わ、わかりました!」



一「つ、疲れた……」

京太郎「大丈夫か?」

一「どうして君は平然としてるのさ。一時的なアルバイトなんでしょ?」

京太郎「だから、夏休みの時に一週間ぐらいバイトしてたんだって」

一「たった一週間であんな動きを身につけたの!?」

京太郎「まぁ、初日に厳しい修行があったからな……」

一「わ、遠い目してる」

京太郎「でも俺なんてまだまだだ。ハギヨシさんには遠く及ばないよ」

一「すごいんだね、萩原さんって」

京太郎「ああ、俺は道具を使ってやっとだけど、あの人は素手で岩を割れるからな」

一「ちょっと待って、今なんて言ったのかな?」

京太郎「だから、岩を割る――」

一「や、やっぱいいよ」

京太郎「そうか?」

一「ボクはまだ常識を手放したくないからね……」


ハギヨシ「京太郎くん、ここにいましたか」


京太郎「あ、ハギヨシさん」

一「お疲れ様です」

ハギヨシ「二人共、そろそろ準備をお願いします」

京太郎「わかりました。じゃあ着替えてきますね」

一「え、準備って……」

京太郎「パーティーだよ。国広も参加するんだろ?」

一「ボクも? いいのかな」

ハギヨシ「あなたにも早く馴染んでもらえればと、お嬢様はそう仰っていました」

京太郎「まあ、そんな堅苦しいもんじゃないから安心しろよ」

一「うん、そうだね」



衣「きょうたろー、待ちわびたぞ!」

京太郎「悪い悪い、ちょっと仕事してたからさ」

衣「まったく……衣は早く会いたかったのに」

京太郎「そう言うな。ちゃんとプレゼント買ってきたから」

衣「ほんと!?」

京太郎「ほら、中身は開けてみてのお楽しみだ」

衣「今開けちゃダメ?」

京太郎「いいぜ」

衣「なんだろなー……あ、エビフライと麻雀牌?」

京太郎「ストラップな。携帯に付けれると思ってさ」

衣「じゃあ早速……どうかな?」

京太郎「うん、我ながらいいチョイスだ」

衣「透華にも見せてくるっ」


一「仲、いいんだね」

京太郎「まぁな。なんの因果かめっちゃ好かれちゃってさ」

一「そうなんだ」

京太郎「あいつと打ったんだろ」

一「もしかして、須賀くんも?」

京太郎「夜通しぶっ続けでの耐久コースだ」

一「うわ……」

京太郎「見た目はああなのに麻雀に関してはどぎついからな」

一「うん、それは身にしみてる」

京太郎「でも一皮剥けばただの寂しがり屋だからさ」

一「仲良くできるのかな……」

京太郎「今、国広がここにいる……俺はそれが答えのように思えるけどな」

一「……うん、そうかも」


衣「きょうたろー! 透華が麻雀やろうって」


京太郎「だってさ。やるか?」

一「ボクもやるの?」

京太郎「いい機会だし、俺の実力を見せてやるよ」

一「それは楽しみだね」



京太郎「」

透華「相変わらず弱すぎですわね」

衣「うん、まるで進歩がない」

一「あはは……」
最終更新:2015年06月01日 00:38