健夜「……もう私たちも四捨五入で30かぁ」
「私は違う!」プンスコッ
「えー、どうしたの? もしかして結婚願望出てきちゃった?」
健夜「そんなんじゃないけど……この前、なんでかアラフォー呼ばわりされたんだよね」
「えぇっ!?」
「万死に値する!」プンスコッ
健夜「私ってそんな老けて見えるのかなーって」
「うーん、肌はスベスベだね」
「童顔!」プンスコッ
「もうそんな失礼なこと言う輩は制裁だね☆」
「賛成!」プンスコッ
健夜「ちょ、ちょっと待ってよ。彼はそんな悪い子じゃ……」
「……彼?」
「男の影!」プンスコッ
健夜「いや、全然そんなんじゃないんだけど……」
「さーて、これは話を聞かないといけないかなー」
「尋問!」プンスコッ
健夜「えぇー」
「いいから話しちゃいなよー」
「きょ、興味津々」
健夜「仕方ないなぁ」
健夜「っていうことが夏にあったわけです」
「ふーん、金髪イケメン高身長の須賀京太郎くんかぁ」
「優良物件!」プンスコッ
「でもでも、聞いた話ではすっごいプレイボーイなんだよね?」
健夜「そんなことは……そんなことは……」
「そんなことは?」
健夜「……ノーコメントで」
「怪しいっ」
「さてはぁ、まだ話してないことあるでしょ」
健夜「いやいやいや、もう叩いても出るものなんて……」
「本当に?」
「じー」
健夜「うっ」
「実はね、さっき飲んだドリンク、ちょーっとだけアルコール入ってるんだよね☆」
健夜「えっ……そういえば頭がぽわぽわしてきたような」
「ふふふ、たっぷり聞かせてもらうからね」
「せ、赤裸々っ」
健夜「いやぁ……」
京太郎「あれ、小鍛冶プロ?」
健夜「京太郎くん? どしたの、こんなところで」
京太郎「こんなところって……俺、長野県民なんで」
健夜「あぁ、そういえば」
京太郎「ところで、小鍛冶プロは長野に用事ですか?」
健夜「ちょっとお仕事でね。夜には帰るんだけど」
京太郎「今はもう暇なんですか?」
健夜「そうだね。もう用事も終わっちゃったし」
京太郎「今は四時ぐらいか……よし」
京太郎「せっかくだし、ちょっと一緒に歩きません?」
京太郎「あー、店の中はあったけーな」
健夜「そ、そうだね」
京太郎「小鍛冶プロは何頼みます?」
健夜「えっと……」
健夜(なにこれなにこれなにこれ!)
健夜(お、男の人と喫茶店って……デートってやつだよね!?)
健夜(どうしよどうしよどうしよ!)
健夜「正直言って初めてなんですけどっ!」
京太郎「もしもーし」
健夜「……はっ」
京太郎「決まりました?」
健夜「こう見えても私のほうが年上なんだからね!?」
京太郎「はい?」
健夜「あれ?」
京太郎「あの、注文決まりました?」
健夜「あ……ちゅ、注文ねっ」
健夜(相手のペースに呑まれちゃダメよ)
健夜(ここはビシッと大人の女ってことを示さないと……!)
健夜「コーヒー……ブラックで!」
健夜「……」
京太郎「飲まないんですか?」
健夜「もちろん飲むよ?」
健夜(うぅ……そういえばブラック飲めないんだった)
健夜「……」プルプル
京太郎「……」フゥ
京太郎(ブラック苦手なら頼まなきゃいいのに)
京太郎(見栄張ってるのバレバレなんだよな……)
京太郎「ふわぁ……」
健夜「眠いの?」
京太郎「ちょっと寝不足気味で……そうだ。そのコーヒー、少しもらってもいいですかね?」
健夜「こ、これを?」
京太郎「眠気覚ましになるかなって」
健夜「あーうん、それだったら仕方ないよね。どうぞ」
京太郎「そんじゃ……」グイッ
健夜「一気飲み!?」
京太郎「――っ、眠気覚めたー」
健夜「だ、大丈夫?」
京太郎「コーヒー一杯程度でどうにかなるわけないでしょ」
健夜「それは、そうだけど……」
京太郎「それより、コーヒー全部飲んじゃったんで、こっちどうぞ」
健夜「えっ、これ京太郎くんのぶんだよ!?」
京太郎「まだ口つけてないから心配無用ですよ。それともミルクティーは嫌いでした?」
健夜「ううんっ、それじゃあいただきます」
京太郎「もう真っ暗ですね」
健夜「冬はすぐ暗くなるからね」
京太郎「電車の時間、大丈夫ですか?」
健夜「うーん、もうそろそろ駅に向かったほうがいい時間かな?」
京太郎「じゃあここらで解散ですかね」
健夜「うん」
京太郎「……なら、最後にこれどうぞ」
健夜「これは……帽子?」
京太郎「長野じゃよく雪が降りますからね……ってもう帰っちゃうのか」
健夜「ううん……よいしょっと」
健夜「どうかな?」
京太郎「うんうん、俺の見立てはやっぱりバッチリだな」
健夜「ここは普通似合ってるとか言うものだと思うんだけど」
京太郎「それは経験則?」
健夜「……」ジトッ
京太郎「冗談ですって冗談」
健夜「はぁ……さっきだって私がブラック飲めないことに気づいてたんでしょ?」
京太郎「さぁ、どうですかね」
健夜「もう、あまりお姉さんをからかわないの」
京太郎「いやいや、滅相もない」
健夜「素直にはいと言えないかなっ」
京太郎「はいはい」
健夜「はいは一回!」
京太郎「はーい」
健夜「伸ばさないの!」
京太郎「あんたは俺のおふくろかっ」
健夜「ふにゃあ……」
「あらら、寝ちゃった」
「これ、ノンアルコール!」
「そうなんだよねぇ」
「場酔い!」
「でも、須賀京太郎くんかぁ……」
「ちょっと、興味沸いちゃったかな?」
最終更新:2015年06月05日 22:22