巨人小笠原、普通の人間として人生を送る

1 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2012/03/27(火) 16:06:50.43 ID:9S9LIBj+
私は昨日までカッスと呼ばれていた男。今日から私は普通の一般人としての人生がはじまる。
スーツを着て、朝の地下鉄に乗り込む私。車内は満員で、押し寿司のように詰められた身体が軋んでいる。
ただでさえ不快なシチュエーション。追い打ちをかけるように「あっキンタマだ」「通報しろ」と乗客が囁くのが聞こえる。
たしかに私の顔は相変わらずキンタマのままだ。しかし、何も後ろ指をさされるようなことはしていない。
そのとき、車内に切り裂くような悲鳴が鳴り響く。「ちっ痴漢です!」声の主は私の隣にいる女子高生。
女子高生は犯人を告発するように、私の手を掴みあげた。しかし私はやっていない。これが俗に言う冤罪なのか。
私は必死に弁明したが口下手なせいかかえって疑いが深まる。必死になる余り汗だくとなった左手もフィストファックをした証拠となってしまった。
車内は「ファッキューカッス」の大合唱。私は気付いた。世間はどこまでも私を畜生としか見てくれないことを。
しかし気が付くと私に浴びせられる罵声は、熱い声援に変わっていた。巨人帽をかぶった男たちが、魂をこめて絶唱する。
「飛び立とう高く 絆共にして 明日を照らす道広げ 放て君よ今」
私は泣いていた。涙をこぼしながら女子高生を押し倒す。その後のことは少し割愛しよう。いつも通りお務めをすまして来たのだから。
間に合った私はタツノリに頭を下げた。チャンスが欲しいと。タツノリはニッコリ頷き、杉内の手は濡れていた。


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最終更新:2012年04月10日 18:22
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