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「ほな、今日の授業はこれで終わりや」
ガヤガヤ――
「それと、男。後で研究室までに課題集めて持ってきといてや」
「また俺っすか」
「名ばかりの学級長じゃあかんやろ、まぁこれも仕事や」
「へーい」

嘘や、ウチが男を呼ぶんは男がすきやから。
けど、それは許されへん恋。絶対に実らへん恋なんや。
不毛な恋愛。

一回りも年が違う上に教師と生徒
自分が後10年後に生まれていたら
男が後10年早く生まれていたら

―――

「ほな、今日の授業はこれで終わりや」
あぁ、終わっちまった。これで今日はSHRまでななこ先生に会えない
「それと、男。後で研究室までに課題集めて持ってきといてや」
「また俺っすか」
自分の気持ちに気づかれたくない。気づかれたら学校に通えない。
「名ばかりの学級長じゃあかんやろ、まぁこれも仕事や」
「へーい」
本当はずっと研究室にいたい。ずっとななこ先生のそばにいたい。
でもそれは叶わない恋。だから今日こそ決着をつける。
当たって砕けて失恋する。

そう思っていた。

コンコン
「失礼しまーす、3年の男ですけど」
「おー、こっちや!」
ちょうど昼休み、社会科研究室にはななこ先生しか居なかった
大方他の先生は昼飯を取りに行ってるのだろう
「あ、コレ課題です。」
「さんきゅ♪助かったわ。」
ななこ先生が軽く俺に微笑んだ。
正直、たまりません。
今、ここには俺と先生だけ、言うなら今しかない!
「あ、あの……先生!」
「なんや?急に声はりあげて、」
「あの……俺………せ…」
ダメだ、舌が乾いてうまくしゃべれない。
なんか頭もボーッとしてきた。
もう耳まで熱くなってきたし、これじゃ顔真っ赤かな、かっこわりぃ。
「先生のことが好きです!」
「………え?」
ななこ先生が一瞬あっけにとられた顔をして、すぐさま赤くなっていった。
「そ……それは…ウチの事を女としてってことか?」
「もちろんです!」
「からかったりしてへん?」
「俺の本気の思いです」
「ウチら教師と生徒なんやで?」
「かまいません!先生と一緒なら!」
俺はこれ以上無いほど強い口調で言った。


「そうか、そこまで本気なんか。実はな、ウチも男のこと好きなんや」
「へ?」
今、ななこ先生はなんていった?俺を好き?え?マジで?
これもしかしてドッキリなのか?
「だから、ウチもアンタの事ずっと思っとったんよ」
間違い?じゃないよな、明らかに聞こえたぜ
「ってことは?」
「両思いってことやろ///」
胸の熱くなった。涙が溢れそうになった。
ななこ先生も恥ずかしそうに微笑んでくれた。

「でもな、やっぱり教師と生徒はダメなんや、許されへんことなんよ」
「じ、じゃあさっきなんで両思いなんて言ったんですか!」
「男が真剣に自分の思いを伝えてきた、それに正直に答えるんが教師ってことや」
そういうと先生は少し凛々しい顔付きになった。

「それにな、恋愛が始まった時点で教師の公正な立場は失われる。それに社会的信用も失われる。」
「…………」
「男は将来にたくさん希望がある。それを追求するときに不必要な枷を背負わせる事になってしまう」
「…………」
「だから、ウチにはそんな事出来ん。だから……」
「………」
「……卒業まで男の気持ちが変わらんかったらウチは男を受け入れる。」
「……え?」
いま、なんて…?
「もしも、互いにこのままの気持ちで卒業を迎えたら、あんたの女になるって言ったんや」
「はい!わかりました!」
俺は思い切り大声で返事をした。
「おし、ならこの話はもう終わりや、次の授業遅れんようにな」
「ななこ先生もね、じゃ、失礼しました」



俺は毎日、研究室に行った
質問という名目で先生のそばに居たかったからだ

朝は早く起き、学校で先生と雑談
昼は研究室で一緒に食事
放課後も残って、先生と過ごす

そんな毎日がデフォになっていたある日

おれは信じられない噂を聞いた

“かがみと俺がつきあっている?”


一体誰の仕業かはわからない。だいたい俺は妹のつかさの方となら多少親しいが…
姉のかがみとはほぼ面識も無い。
だが噂は一気に広まっていた。当然それはななこ先生の耳にも

その日の昼休み、いつも通り研究室に行くと、普段よりテンションが高めの先生がいた。
「なんや、男か。まだココで昼喰うんか?」
「ダメですか?」
「いや~ダメっちゅうことは無いんやけど、お前の彼女が悲しむんかなぁってな」
「…俺、彼女いないですよ」
「いまさら隠さんでもええって、柊姉と付き合うてるんやろ?噂になってんで」
そういって先生はニカッっと笑った。
「なんにせよ、これで良かったやん。ウチも男がまっとうな高校生になってくれて安心したわ」
「え?それって一体……?」
「この前は男を傷つけるんが忍びなくて演技しとったけど、ウチは年上の包容力の有る人がタイプなんやww」
俺には意味が分からなかった。先生は俺のことを何とも思ってない?
そんな、じゃあこの前のあれは?嘘だった?そんな・・・

「男もウチから卒業できてよk」
ガタッ
「ちょっ、男!急にどうs……いってしもた。」

俺は走った、この気持ちのやり場が分からなかった。
ただ、先生にふられたことは分かった。
先生は俺のことが好きだと思った。思っていた。
でも、先生は違った。こんなことならあの時ふってくれれば良かった。


そう思って、昼休みの喧騒を俺は走り続けた。



―――――

はぁ。ウチもアホや。男に彼女が出来た事でこんな傷つくなんて
やっぱ、年取ってもこういうとこは変わらんなぁ。
何にきたいしてたんやろ、アホやなぁ。
この年齢の男は年上に憧れ抱くなんて普通のことやん。
ソレを恋と勘違いしても普通のこと。
何でこないに悲しい気持ちになるんやろうか。
男は相応の相手見つけて、幸せなんやから。
祝福しなきゃ、でもこの気持ちは……
ダメや、死ぬほど悲しい。胸が張り裂けそうや。
男に今すぐ、噂はデマって言って欲しい。
それで抱きしめて欲しい。
男。ウチは。本気で………

――――――

気が付くと俺は元の研究室に戻っていた。
中をそっとのぞくと、ななこ先生が咽び泣いてるのが見えた。
「ぐすっ…えぐっ…男…」
先生の嗚咽がドアの隙間から零れている。
「すきゃ…おとこ……ぐすっ…」

え?聞き間違いか?

いや、違う
確かに俺のこと好きって。やっぱり、嘘じゃなかった!

俺はそのまま研究室に入り、先生を抱きしめた。
「ふぇ…お…とこ…?な…んで…?」
「先生、俺は先生が好きです!噂は誰かが流したデまです!」
「!!」
「俺はずっと先生を思ってます、卒業式に迎えに行く約束も果たします」
「ぐすっ……・・・」
「だから、俺を信じてください!」
先生は体重を俺にあずけてきた。そして泣きはらした瞳でじっと見つめ
「ほんとに…信じていいん?」
小さな声で尋ねてきた。

「はい。先生は俺が幸せにします」
俺ははっきり言い放った。
「わかったわ、ウチも男を信じる」

そういって先生は俺の唇を盗んだ。

余談だが、先生の唇はすごく柔らかかった。

――――

昼休み、誤解が解けた俺と先生。結果的には良かったが、まだ一つ解決しなければいけないことがある。
そう、柊かがみだ。
俺は、かがみを放課後呼び出し話をつけることにした。




「ごめんねー、遅れちゃって。話ってやっぱあのこと?」
かがみが自慢のお下げを揺らしながらこっちに近づいてきた。
「やっぱり、お前も耳にしてるか。俺とお前が付き合ってるとかって噂」
「まぁね、まぁそろそろ呼び出しが来るとは思ってたけどね」
「どういうことだ?」

「あの噂はね、私が流したの」

「なんでだ?お前はそんなことをして何の得になる?」
「あんた分かんないの?好きな男の子を振り向かせるための一つの手段ってこと」
「はあ?何言ってんだ?」
「だから、私はあんたが好きなの!」
そういってかがみは俺を押し倒し、キスをしてきた。

「ヤメロ!」
思わず俺はかがみにビンタをしてしまった。
かがみは口を切ったらしい。少し血が流れていた。
「いったぁ、、」
「お前の勝手な妄想で、俺の大切な人が傷ついた!お前は最低だよ!」
「え!?」
「それと、俺のことは諦めてくれ。俺には将来を約束した人がいるんだから…」
「………あ、あは、あはは」
急にかがみの目が虚ろになり、甲高い声で笑い始めた。

「そう、そうなの、じゃあ、もう、ようは、ない、じゃあね」
そういうとかがみは走り去って行った。
あいつの目に少しばかり涙がにじんでたのは気のせいだよな、うん。


「疲れた、ちょっと休憩だ」
俺はフェンスに寄りかかった。

少したつと、同じクラスの泉がその場に現れた。
「お、泉じゃないか、どうした?」
「どうした?じゃないよ!!アンタかがみの彼氏でしょ!何かがみを傷つけてるんだよ!!」
なんだ?この展開は。俺がアイツの彼氏?When、いつ?
「はぁ?彼氏でもないし、傷つけた覚えも無い。」
「ふざけんな!アンタがかがみんを傷つけた!かがみんがアンタとなら幸せになれると思ったから私は身を引いた!」
おいおい、何言ってんだこいつ?いみわかんねぇ
「アンタはかがみんを殺した!かがみんは今死にそうな顔してる!アンタがそうしたんだ!」
アイツが死にそう?大体なんで俺のせいなんだ?分かるやつは今からココで俺に説明しろ。
「やっぱり、男なんてそんなもんだよ!アンタが居なければかがみんは傷つかなかった!!」
「おい、さっきから意味が分からない、しっかり説明しろ」
「アンタが居なければ、居なければ、居なければ、」
「おい、泉!!」

アンタノセイダ――アンタガイナケレバ―――
かがみんハワタシノモノダッタノニ――――
―アンタガスベテワルイ――――
――アクハ―ホロブベキ―――ウンメイ――
―――ワタシガアンタヲコロシテアゲル!!!!

ぐさっ!

「ぎゃあああああああああ!!!!」
痛ぇ、何だこれ、腹が熱い!何か出てるよ、痛い痛い、助けてくれ!!
先生!痛い!助けて!先生!先生!!

「アンタガワルイノサ、ソノミデツミノオオキサヲシレ、コノゲドウガッ!!」

そういうと泉は倒れている俺の頭にナイフを突き刺したらしい。



俺は先生との約束を守れずにこの世を去った。


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最終更新:2008年07月02日 21:35