「思ったより、片付いてるわね」
「まあ、物があんまりないからな」
「確かに殺風景ね」
「親父の仕事の都合で小さい頃から引っ越すことが多かったからな。余計なものは持たない主義だ」
「ふ~ん……大変だったんだ?」
「まあ、ね」
かがみはおもむろにベッドに座った。
俺は自分のイスに座った。
「ねえ、男」
「ん?」
かがみがこっちをじっと見る。
が、何も言わない。
「なんだよ?」
よく見ると、手でベッドをポフポフと叩いている。
「ベッドが汚れてるのか?」
「んもう!鈍いわね!」
ご機嫌斜めだ。
「そうじゃなくて!えっと……その……こっちに座りなさいよ」
「あ、ああ……」
そういうことか。
「め、目線の高さが違うから話しづらいのよ!」
「はいはい」
かがみと並んで座った。
「……明日、」
「うん?」
「……明日、男に選ばれなかったら、こんな風に並んで座ることももうできないのかな?」
「……並んで座るくらいはいいんじゃない?」
「私は嫌だな。男が私を選んでくれたあとで、みゆきと並んで座ってたら」
「なんとわがままな」
「うるさい!」
一蹴された。
「ねえ……?このままさあ、……」
かがみが俺に体をくっつけてきた。
「お、おい。かがみ?」
「明日まで、男をこの部屋に閉じ込めちゃったら……」
俺の肩に顔をくっつけているかがみ。
顔は見えない。
「……明日みゆきに返事できないよね?」
「……おいおい、そんなことしたって――」
ドサッ!
ふいに天井が見えた。
どうやら、
かがみに押し倒されたらしい。
……って!?
「ちょ!?かがみ!?」
「ふふ、そんなことしたって意味ないってことはわかってる。けど――」
かがみは俺に覆いかぶさるようにして抱きついている。
「じゃあ、明日も、明後日も、しあさっても、その次の日も、そのまた次の日も、
ず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと、
閉じ込めちゃったら?うふふ、ずっと私たち二人で。この部屋で……うふふ」
「お、おい!?」
かがみは何とも蠱惑的な笑みをこっちに向けている。
「ねえ、男……?」
「な、なに?」
「しよ?」
「………!?」
「[禁則事項です]しよ?」
「…!?」
俺は、
即答できなかった。
ベッドの上で、俺に抱きつくかがみに、
『だめだ』と即答することは、
できなかった……
か、下半身は……正直だ……
「私、男となら……ね?」
かがみの顔が、
唇が、
ゆっくりと俺のほうに近づいてくる。
――そして、
俺とかがみの唇がゆっくりと重ね合わされた。
それは、やわらかく、やわらかく、そして、やわらかい……感触だった。
最終更新:2008年07月08日 21:31