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「はむっ……」

「む、むぐっ……」

 抵抗できない。

 かがみの唇が、ますます強く押し付けられ、

 かがみの腕は、ますます俺を強く抱こうとしてくる。

 まるで……しがみつくように。

 俺は、かがみの背中に手を回して、その華奢な体を抱きしめ返す、




 のを、理性の最後のひとかけらの力で踏みとどまった。


「むぐっ……ぷは……か、かがみ…」

 俺は優しくかがみの肩を掴み、ゆっくりとかがみの体を俺の体から離した。

「……やめようぜ?」

「……どうしてよ?」

 恨めしそうな目をこちらに向ける。

 おもちゃを買ってもらえない子供みたいだ。

 かがみは俺に馬乗りなるような格好で身体を起こす。

 俺を見下ろすツリ目。

 身体を起こしたことで俺の怒張した[ピーーー]がかがみの太もものあたりに押し付けられる格好になった。

 痛てて……!

 あ、でも、ちょっと気持ちいいかも……

 って!!!俺!!!!自重しろ!!!!


「何よ、男のココはこんなになっちゃってるじゃない……が、我慢しなくていいのよ!」

 ちょっ!?おまっ!!

 そんな痴女っぽいセリフを、顔を赤らめてちょっとテレながら言うなよぉッ!!

 そのギャップがまt

 って!!!俺!!!!自重しろ!!!!


 ……俺は崩壊寸前の自制心で最後の抵抗を試みた。

「こ、これは生理現象だっつーの!」

「なんでよ!!我慢しなくていいのよ?私……その……はじめて……だけど……でも!男のこと気持ちよくさせてあげられると思うわっ!」

「初めてなら、なおさら今はよせって!自分を大事にしろッ!」

 半分は本心だ。

 もはや半分しか本心じゃない。

「なによ……そこまで拒むなんて……やっぱり、やっぱり男はみゆきを選ぶつもりなのね?」

「いや、まだ答えは出てない!これはマジだッ!」

「じゃあ、いいじゃない!私は男と……」

「まだ……答えが出てないんだ。頼む、考えさせてくれ。頼むから。俺だって、これ以上は……理性が持たないって……」

「そんなもの、私が吹っ飛ばして――」

「……頼むから」

「………っ!」

 俺の搾り出すような言葉にかがみは少し考えてから、

「抱いて」

 と答えた。

「……!?だから、頼むから……!」

「待ちなさいよ!今のは変な意味じゃないわ!私の体に腕を回して、ぎゅって……それだけでいいから」

「………」

「そうしてくれたら今日はおとなしく帰るから……」

「……わかった。ごめん、かがみ」

「謝んないでよ。謝るくらいなら――」

 ぎゅっ……

「……!」

「かがみ……」

「……男」

 ………

 シャンプーのいい匂い。

 どれくらいそうしていたかはわからないが、

 俺たちはずいぶん長い間、抱き合っていた気がする。






「じゃあ、私はこれで」

「お、おう!あの……お見舞いありがとな」

「うん……どういたしまして。ねえ……男?」

「どした?」

「……男がもともとはみゆきのこと好きだったのは知ってる。けど、私のキスを受け入れたってことは……まあ、最後は拒まれちゃったけど……でもそれって、私にもチャンスがあるってことだよね?」

「うん、多分……」

「……まあ、いいわ。私、信じてるから。きっと男は私のこと選んでくれるって」

「……ははは、プレッシャーかけるなよ」

「プレッシャーに弱い人間は成功しないわよ」

 悪戯っぽく笑うかがみ。

「なあ、かがみ」

「なに?」

「虫のいいこと言うようなんだけど……明日、俺が出す答えがどんなでも、今まで通り4人友達同士でいてくれないかな?こなたとかつかさちゃんがかわいそうだし……」

「あんた、さらっと難しいこと言うわね」

「ダメか?」

「男が私を選んでくれれば……でも、そうじゃなかったら……自信ないわ。だって……こなたはともかく……」

「………」

「いや、なんでもない。とりあえず明日の返事、待ってるから。信じて……待ってるから!」

「おう……」

「じゃ」

「うん」

 バタン。






 その夜。

 俺は、考えた。

 考えて、考えて、考えた。

 でも、考えれば考えるほど、こんなことはいくら考えたところで答えが出るような問題じゃないと気がしてくる……

 シンプルにいくんだ、シンプルに!

 ……そして、そろそろ眠気と戦い始めた頃、

 俺は結論に達した。





 時計の針は25時。

 運命が、加速し始めた――

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最終更新:2008年07月09日 03:54