徹底マークとはまさにこのことだろう。
サッカーやってた頃でも、ここまでのマークは受けたことがなかった。
ったく……マンツーマンディフェンスは現代サッカーには合わないんだぜ?
っと、そんなことを言ってる場合じゃない。
4月30日。
4月最後のその日、俺はかつてないほどの緊張感と共に、あえて遅刻ギリギリに登校した。
「おっす、男!」
昇降口でこなたに会った。
「お前も遅刻ギリギリかよ……」
「遅刻してないからいいのだよ」
「無い胸を張るな」
「(=ω=.#)……それより男、CLANNADはやったかい?」
「あ、いや……まだ……」
「なんだ~まだか……例の悩み事のせい?」
「ああ……」
「CLANNADに早く進出するためにも、私に相談してみたまえ!」
「ん……サンキュ。でも、もうすぐカタがつく予定だからさ……」
そう、今日の放課後に二人に伝える。
俺の出した答えを。
もうすぐ……カタがつく。
「ふ~ん。なんにせよ、私の布教活動にこれ以上支障をきたしてもらっちゃ困るからね。ちゃっちゃとかたつけてよ?」
「……お前は、師匠から教祖に格上げになったのかよ?」
らんらんるー!
「ま、とにかく――」
キーンコーンカーンコーン――
「あ……!(ハモリ)」
「お前ら、仲良く二人揃って遅刻かいな!」
「すみません……(ハモリ)」
クラスのみんなの前で説教を食らってしまった。
ふと、高良さんと目が合う。
俺は黒井先生の肩越しに見える高良さんに目で挨拶した。
高良さんは少し不安そうな様子を見せながらも笑顔で返してくれた。
俺も笑顔で返――
「おとこ~、うちの説教はそんなにつまらんか~?」
「ハッ!?い、いえ、そんなことは……」
バシッ!!
「ぐあッ!?」
「愛のムチや。噛み締めや~」
「ぷぷぷ」
「ああ、そうや、ついでに泉も」
「え、ちょ!?ついでって!?」
バシッ!
「へっ、人が叩かれてるの見て笑ってるからだよ」
「むうう……」
「あほう!どっちもどっちや!」
バシッ!
席に戻る時、自然と高良さんの方へ視線がいった。
こちらに気づくとにっこり微笑む高良さん。
けれど俺は、高良さんがこちらに笑顔をむける前にひどく不機嫌そうな顔をしていたのを見てしまった……
……その後、授業が始まり、休み時間のたびに高良さんとかがみの視線が痛いくらいに降り注がれる。
……まさに徹底マーク。
だいたい、かがみのやつ、うちのクラスに来すぎだろ……
こなたやつかさちゃんは気づいてないようだが、事情を知っている俺の目から見ると、高良さんとかがみがお互いを意識しまっくっているのが丸わかりだ。
その中心に俺がいる。
……まさに、針のむしろ
……ハリノ=ムシーロ (1876~1918)
俺は二人を別々に呼び出して話をするつもりだったが、二人からのマークを振り切れなかった俺は、午前中の段階でそれを諦めた。
そして、放課後――
「じゃあ、私は委員会があるからこなたとつかさは先に帰ってて」
「あ、わたしも委員会なので、ここで。お二人ともお気をつけて」
「そっか~、じゃ、つかさ一緒に帰ろ。あ、男も一緒に帰る?」
「……いや。悪い、今日ちょっと用事あるんだわ」
――そして、三人の役者が揃った。
舞台は旧校舎裏。
「なあ……一応聞くけど、何も二人一緒じゃなくてもいいんじゃないかな?」
「かまわないわ」
「かまいません」
「でも……」
「心の準備はできてるわ!」
「心の準備はできてます!」
「そっか……わかった」
「で、男!結論は?」
「そうです。答えを聞かせてください……」
「私とみゆきの――」
「私とかがみさんの――」
「――どっちと付き合うの!?」
「――どちらとお付き合いされるのですか!?」
二人の真摯な眼。
……つか、発言がかぶりすぎ。
いやいや、余計なツッコミはいらねーぞ!
……覚悟を決めろ。
かくして、役者は舞台に上がり、場面はまさに最高潮へ。
俺の決断は……
俺の出した答えは……
最終更新:2008年07月10日 20:24