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「はあ……フラれちゃったな……」

 私は男にフラれた。

 男は私を選んではくれなかった。

 旧校舎裏から、私は逃げるように家路に着いた……

「自信……ちょっとはあったのにな……」

「こんなことなら、もっと男におしとやかな感じで接しとくんだったな~」

「こんなことなら、もっとダイエット頑張っておくんだったな~」

「こんなことなら、昨日キスまでで止めるんじゃなかったな~」

「こんなこと……なら……うう……」

 ………

 どうして?

 どうして、こうなっちゃったの?

 どうして、男が転入してきたのがうちのクラスじゃないの?

 どうして、どうしてこなたや、つかさや……みゆきのクラスなの?

 どうして、私じゃないの?

 どうして……、みゆきなのッ!?

 ………

 あの後、男とみゆきは一緒に帰ったんだろうな……

 手なんかつないじゃったりしたんだろうか?

 まさか、キスなんかも、もう!?

 って、それはないか。みゆきだし。

 ふふん!私はしたことあるけどね。

 私は……したこと、ある……けど……

 でも、私は、男の彼女にはなれなかった……

 ………

 ………

 ………

 校舎裏で帰り際、男と別れるときは、カラ元気出しちゃったけど、

「……ダメね、私……涙が……止まらないよぉ……」





 家の前に着いたとき、あたりはすでに暗くなりかけていた。

 涙を拭かなきゃ。

 弱い私は、ここで終わり。

 この家の門をくぐったら、いつもの私に戻るの。

 つかさや、他のみんなに心配かけちゃうものね。

 ………

 ……よし、

「ただいま~!」

「あ、おかえり、お姉ちゃん。遅かったね~」

「う~ん、委員会が長引いちゃってね」

「そうなんだ?お疲れ様~」

「うん、もうお腹ぺこぺこよ」

「もうすぐご飯だよ~」

「そっか、助かるわ」

「……あれ?お姉ちゃん、なんだか、目が赤くない?」

「!?ちょ、ちょっと、目が疲れちゃったみたいでさ。委員会でプリントがたくさん配られて……」

「そっか~、ホントお姉ちゃん大変だね……あ、目が疲れたときはブルーベリーがいいってゆきちゃんが言ってたよ!」

「あ、ああ……そう……」

 みゆき、か……

 って、いかんいかん!

 さっき決めたじゃない!家の門をくぐったら気持ちを切り替えるって。

 つかさに心配かけちゃいけないでしょ!

「ねえ、つかさ……あんた、みゆきのこと好き?」

「え、ゆきちゃん?うん、好きだけど……?どうして?」

「ううん、別に意味はないわ。聞いてみただけ」

「ふ~ん……あ、好きだけど、たまにキャラがかぶっててイラッとするときあるかな~」

「……!?つ、つかさ!?」

「っていう、冗談をこの前こなちゃんに教わったの~えへへ」

「……こなたのやつ」

「もちろん、それは冗談だよ!ゆきちゃんは大切なお友達だもん」

「男のことは?……って、この前、聞いたっけ?」

「うん。何かそれ、この前聞いた気がするよ?」

「お兄ちゃんみたいな感じ……だっけ?」

「そうだよ。えへへ~」

「あんた、みんなといて楽しい?」

「うん!でも、なんでそんなこと聞くの?」

「う……えっと、ほら、最近読んだラノベのテーマがそんな感じだったのよ。友情とか」

 もちろん嘘だ。

「ほえ~今度私も読んでみようかな~」

「あんた、集中力が3ページくらいしか持たないじゃない……?」

「んもう!お姉ちゃん!ホントのことだけど……」

「あはは、ごめんごめん。じゃ、私、部屋行ってるわ。ご飯になったら呼んで」

「あ、うん。わかった」





「はあ……」

 私はぼんやりと自室の机に向かった。



『でも、やっぱり仲良し4人組はそのままであってほしい。みゆきにも言っとくから……』



『あんた、みんなといて楽しい?』
『うん!』



 男の言葉。つかさの言葉。

 ………

 ………

「今まで通り……できるかな?」

 みゆきと……すぐ今まで通りというわけにもいかないし、

 男ともしばらくギクシャクしちゃうだろうな……

 何より、自分の気持ちに整理をつけられるか……

「でも……男と約束したしね」

『わかった……私も一応努力はするわ』って。

 ………

「努力……できるかしら」


 ガチャ!

「お姉ちゃん、ご飯だよ」

「ッ!!つかさ、あんた、ノックくらいしなさいよ!」

「え……?したんだけど……ごめん、聞こえなかった?」

「あ、いや、悪い。考え事してたから聞こえなかったのかも……」

「……お姉ちゃん、何か悩んでるの?」

 つかさの困った顔を見て、私は男の言葉を思い出していた。




『でも、やっぱり仲良し4人組はそのままであってほしい。みゆきにも言っとくから……じゃないとこなたやつかさちゃんに悪いし……』




 つかさやこなたに悪いし、か…

 ……うん!

「ううん、大丈夫!さ、ご飯食べよ!もう飢え死にしちゃいそうよ」

「うん、今日はすき焼きだよ!」

「おお~、今日は豪華ね!楽しみだわ~」

 気持ちを切り替えよう。

 そう、無理やりにでも。

 明日は久々にこなたとゲマズでも行こうかしら?

 お昼は久々に日下部や峰岸と一緒に食べよ!

 みゆきとは……なるようになるさ!

 男には……最高の笑顔で接してやる!





 気持ちを切り替える。

 ムリヤリニデモ……

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最終更新:2008年07月19日 01:07