つかさです。
私、面白いことなんか言えんとです。
つかさです。
つかさです……
今日からゴールデンウィーク。
ホントはもっとウキウキしたいところなんだけど、実は私の心は今、複雑なの。
だって……お姉ちゃんの様子が……変なの……
あれは一昨日の学校帰り。
お姉ちゃんが線路に飛び込もうとしたの。
『ちょっと、考え事してて……』
だなんて、お姉ちゃんは言ってたけど……本当にただ考え事してただけなのかな?
……何かあったのかな?
大好きなお姉ちゃん……私、すごく心配。
こなちゃんも心配してた……
でも、私たちが何を聞いても、
『ううん、大丈夫よ』
『何か、ごめんね。心配させちゃったみたいで』
『ちょっと疲れてるのかも……ゴールデンウィークはゆっくりするわ』
結局、一昨日は何事もなく済んだんだけど、昨日もなんだか変だった。
学校には普通に行ってたけど……
なんだかボーっとしてて、ときどき魂が抜けちゃったみたいになっちゃって……
あんなのしっかり者のお姉ちゃんらしくないよ!
そんなキャラは私の役目だよ!
……そうだ!
お姉ちゃんと一緒にゴールデンウィークの宿題をしよう!
何となく、今はお姉ちゃんのそばに居てあげたほうがいい気がする。
コンコン!
ガチャ!
「あの……お姉ちゃん?良かったら一緒に宿題しない?私だけじゃ、やっぱりよくわからないところあってさ~」
「………」
「お姉ちゃん?」
お姉ちゃんは机に向かってこっちには背を向けてる。
私の声が聞こえてないのかな?
もしかして、また考え事!?
「ねえ!お姉ちゃんってば!」
私がお姉ちゃんの肩を叩いたその時、お姉ちゃんの肩越しに見えたものは……
「おおおお姉ちゃん!?」
ハサミ。
工作用のどこにでもあるハサミ。いつもはお姉ちゃんお机の鉛筆立てに入ってる。
お姉ちゃんは、
そのハサミをじぃぃぃぃぃぃっっと見つめてた。
「ねえ……な、何してるの?お姉……ちゃん……?」
「え?何って……」
「ハサミなんか、じっと見て……なんだか怖い……よ?
「ハサミじゃないわよ?」
「え……?」
「マインドレンデル。握り部分を半月輪状にした両刃式の和式ナイフを二振り,ネジで可動式に固定した大バサミよ」
「な。何を言ってるのか……さっぱりだよ……?」
「《自殺志願》って書いてマインドレンデル。うふふ、いい名前でしょ?」
「じ、自殺!?ちょっと、お姉ちゃん!?お願い!しっかりして!!」
私はお姉ちゃんの肩を必死にゆすったの。
こんなのお姉ちゃんじゃない!
まるで、何かに取り憑かれてるみたい……
「お姉ちゃんッ!!」
「………」
「ねえってば!」
「……あれ?
……つかさ?どうしたの?」
「お姉ちゃん……良かった……」
「ちょ、あんた、なに泣いてるの!?って、あれ?なんで私ハサミなんか……」
「覚えてないの!?お姉ちゃん、自殺がどうとか言ってたんだよ!?私、怖くって……うっうう……」
「自殺!?私が!?そんな、まさか……」
「ううう……」
「……もしかしたら、寝ぼけてたのかも。机に向かってて、ちょっとうたた寝してたみたいだし……心配かけてごめん」
「ううう……お姉ちゃぁん!」
「つかさ……」
その日の夜、私はこなちゃんに電話をかけた。
最終更新:2008年07月21日 23:03