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俺はつかさを止めるために、つかさに歩み寄った。
男「つかさ落ち着くんだ!」
つかさ「男君、ジャマだよ。」
ザク
男「え?」
シャツに血がゆっくり滲んできた。
男「つかさ…」
男は膝を突いて崩れ落ちた。
つかさは何事もなかったように、眠っているこなたに歩み寄る。
男「つかさ…止めるんだ…今したことも全部許す…だからこなたは…」
つかさは眠っているこなたの横にしゃがむと、こなたの頬にキスをした。
男「………え?」
つかさ「えへへ…男君と間接キスしちゃった///」
つかさはそう言うとにっこり笑い、ナイフを振り上げた。
男「止めろォォォォォォォォォ!!!!!!!」
つかさは、相変わらず笑顔のまま何度も何度もこなたの胸や腹にめがけてナイフを振り下ろした。
ナイフが往復する度、こなたの体は小さく揺れ、小さな嗚咽が漏れた。
やがて小さな声も聞こえなくなると、つかさはナイフをこなたに刺し入れたままにし立ち上がった。
つかさはゆっくりと男に近付くと、今度は男の唇にキスをした。
つかさ「えへへ///」
男「…あ…う……」
つかさ「じゃあ私、お掃除してくるね。」
つかさが静かに部屋を出ていった。
男は下半身に力が入らず、立ち上がることができなかった。
引きずるようにして腕の力だけでこなただけでこなたのそばに這っていく。
血だまりの中のこなたは眠っているように穏やかな表情だった。
男「うっ…うっ…こなた…こなた…」
こなたの顔に男の涙が落ちる。
男「ごめん…守ってやれなくて…ごめん…ごめん…」
男の声は、もうこなたには届かなかった。
こなたは静かに目を閉じていた。
男の腕の中で寝息も立てずに眠るこなたの体が、緩やかに温もりを失っていくことが、それを示していた。
やがて男も、こなたを抱きしめたまま血だまりに倒れ込んだ。
血だまりは二人の血が混じり合って、もうそれぞれがどれくらい流したのか分からなくなった。
男は、こなたを抱いている手足の感覚を失って、もううまく喋ることもままならなくなったけれど、せめて最後の瞬間までこなたを見守っていようと思い、目を見開いていた。
…そしてしばらくして男にも闇が訪れた。
三日が過ぎた。
窓の外のルリビタキのさえずりが、初夏の朝を告げていた。
男は二昼夜の間、深い闇の中でさまよっていた。
闇の中に光が見えた気がした。
誰かが男を呼ぶ声。
闇の中から細くて小さい腕が伸びてきて、男を引き上げた。
男「…あれ?」
男は柔らかいベッドの上で眠っていたみたいだった。
男「たしか…俺は…」
記憶がはっきりしない。
余りに衝撃的な出来事に、男は一時的な記憶の錯乱に陥っていたようだった。
腹部が鈍く痛む。
それになぜか足には力が入らない。
しかし確かに男は生きていた。
男「…俺は…」
ふと気づくと、男は何かを抱きしめて眠っていたらしい。掛け布団の下で、確かに何かを抱いている。
そしてそれは暖かく、穏やかに呼吸している。
温もりが、男の記憶を緩やかに起こしていった。
男「そ…うだった…」
布団の中の温もりは、しっかりと男を抱き締めている。
懐かしい温もり。
男はさっきまでの悪夢が静かに掻き消えていく気がした。
男「俺は…生きてる…こなたも…」
男が、その温もりを抱きしめる腕に力を入れると、その体がピクッと動いた。
男「……こなた!」
掛け布団を少し剥いで、少女が現れた。
少女は眠そうな目を擦ると、目を大きく開いて男を見つめた。
少女の目には男しか映っていなかった。
つかさ「すきだよ。」
【 BADEND フタリノセカイ 】
最終更新:2008年08月26日 21:09