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俺は男。

陵桜学園に通う普通の一般生徒だ。

最近俺に春が訪れた。



「おーい、男ー!」



待ち合わせ場所にいる俺に向かって走ってくる少女がいた。

彼女は泉こなた。見た目は小学生ぐらいに見えるが、同じ陵桜学園に通う女子高生だ。

そして─────俺の恋人である。



「フタエノキワミ、アッー!」

っ!

わけの分からない呪文と共に、いきなり顔面パンチをされた。

「ダメだよ男ー。 そこは私にカウンターパンチしなきゃ」

意味が分からない。大体俺がお前を殴ったらいろいろと問題になる。

「まだまだダメだなー男は。 私の恋人だったらフタキワぐらい知ってなきゃダメだよ」

俺をお前みたいなオタクと一緒にするな!

黙ってれば可愛いのに─────背はともかく─────、
なかなかレベルの高いオタクなのが玉に瑕である。

「フタキワはヲタクじゃなくてただの吹き替えだよ」

俺にはお前の言う何かのセリフが全てオタクなセリフに聞こえるんだが。

「んー…どうやら男にはヲタクというものを1から全部叩き込まないといけないみたいだね」

全力でお断りだ。

なんとも不釣合いな2人だが、俺達は最近付き合い始めた。

「おっす、こなた、男」

「おはよー、こなちゃん、男君」

登校中、2人の女子生徒がこなたに声を掛けてきた。

「あ、かがみん、つかさ。おはよー」

柊かがみと柊つかさ。見ての通り双子の姉妹だ。

かがみは俺と同じクラス、つかさはこなたと同じクラスである。

「まったく、あんたらは朝から熱いわねー」

うるせー。

「なぁに、かがみん。 妬いてるの?」

「なっ!? そ、そんなわけないでしょ! なんで私が…!」

「まあまあ。 かがみんはかわいいなぁ」

「む、ムカつく…」

これが最近よく聞く「ツンデレ」ってやつか?

「ツンデレって言うな!」

「そだよー。ほんとは好きなのに恥ずかしくてついツンツンしちゃうんだよねー
かがみんは」

「だっ、誰がこんな奴のこと好きになるのよ!」

…ひどい言われようだな、おい。

「バルサミコ酢ー」


こんな感じで今日も登校し、俺達は学校についた。


2時限目にかがみが授業に出ていなかった。

一緒に登校してきたし、なにより1時限目はちゃんと授業を受けていた。

何かあったのだろうか。

少し気になりつつも、こなたと喋りにこなたの教室へ行こうとする。

途中、廊下の窓から女子生徒の姿が見て取れた。あれはもしや…



やっぱりかがみか。

「っ!? お、男!? なんでここに…」

窓から見えたんでな。 で、2時限目サボってここで何やってたんだ?

「…窓からこの子が見えて…」

そこにいたのは小さな子猫だった。よく見れば足を怪我していた。
それほど大きくないが、動くことに多少難をもたらすだろう。

「怪我してて、ずっとみゃーみゃー鳴いてて可哀想だったから…」

ずっとここで面倒見てたのか。

「うん…。 でも何もないから怪我の手当てもできなくて…」

怪我の手当てねえ。 俺の家で手当てするか。 俺の家結構近いし。

「な、何言ってるのよ! まだ授業が…」

2時限目サボってるんだから、今から行くのも気が引けるだろ?

「でもあんたが…」

別に1日ぐらい大丈夫だろ。 早くしないとこいつが可哀想だ。

「…そ。 あんたがいいなら別にいいけど…」


救急箱を取り出して中から消毒液と包帯を取り出す。

ちょっとしみるけど我慢しろよ。

ガーゼに消毒液を垂らし、猫の傷口に軽くトントンと叩いた。

みゃー!

案の定、暴れる。

「こ、こら! すぐ終わるから!」

かがみが必死におさえる。 ─────なんだか可愛く見えた。

さらに5,6分、猫と奮闘して包帯を巻いた。

これでよし。

「よかった…。 これでもう大丈夫よ」

かがみが猫に話しかけている。 普段は見れない、普通の可愛い女の子に見えた。

「…何? なんか付いてる?」

あっ…いや、別に…。

「? 変な男。 それより…学校、どうしよ」

今から行くのも気が引けるだろ。 俺の家なら親は夜まで帰ってこないし、いてもいいぞ。

「そうね…。 この格好で外で歩くのもあれだし」

だろ? お、そういあお前、格ゲーとかやったことあるんだよな! 
この前こなたに借りた、メルティーブラッドだっけ? やろうぜ!

「あら、いいわよ。 ま、男が私に勝つなんて10年早いけどね」

あまり俺をなめるなよ? KOFやストツーはガキの頃からけっこうやりこんでるんだぜ?

そして俺達はゲームに没頭した。


かがみとゲームをしてると、俺のケータイに電話がかかってきた。

丁度よかった。 かがみに格ゲーでボッコボコにされてた俺に天の恵みが…。



ケータイを見ると、こなたからだった。

そういえば学校サボってたんだった。

時刻は午後一時前。 ちょうど昼休みあたりだ。



もしもし?

『…………』

? もしもし? こなた?

『……男。 イマどこにいるの?」

─────一瞬、寒気がした。 いつものこなたの声なのに、何か、そう、黒かった。

い…家だよ。

『そう。 何故かね、かがみも今学校にいないんだ。 なんでかな?』

怖い。 そうとしか表現できない。 声はこなたなのに、死神か何かと話してる気分だ。

そこへ─────

「男? どうしたの?」

今、一番発せられてはいけない声が発せられた。

『……』

プツン…ツー…ツー…

「男…?」


気の…せいだよな…。

「ちょっと、男? どうしたのよ?」

いや…なんでもない。 うん、なんでもないんだ。

「? あんた最近本当に変ね」

気のせいだ。 ちゃんとこなたの声だった。 なんでもない。

ああ、だからゲームの続きを─────

ピンポーン

一回、インターホンが鳴った。

「誰かきたわよ?」

あ、ああ。

俺は出ようと玄関へ向かおうとした。

ピンポーン

二回目、また鳴った。

ピンポーン

三回目、こんどはすぐに鳴った。

ピンポーン

四回目、こんどは更にすぐに。

ピンポピンポーン

五回目、いや六回目? 二回鳴った。

ピンポピンピンポーン

こんどはまた三回連続で

ピンポピンピンピピンポーピンポピンピピピピピピpppppppppppppppppp─────


「な…何……?」

かがみが怖がっている。 そりゃそうだ。 俺だって怖い。

とりあえず、窓から確認してみることにする。
慎重に、向こうからなるべく見えないように窓の外を─────



見てしまった。

そこには俺のよく知る少女がいた。

小柄でロングヘアーで左目下に黒子があって。

右手に包丁?のようなモノをもっている。

そして何よりも。

目が合ってしまった。



逃げるぞ!かがみ!

「はぁ!?」

俺はかがみの手を引っ張って一階へ行く。裏口から逃げれバなんとかなル…!

…ついた!裏口のドアノブに手をかけ、扉をあけr

「やっぱり、こっちから来たね」

─────


「こ、こなたっ…! あんた、何もって…!」

「……なんで、男と手なんか握ってるの?」

手。 かがみをつれて逃げるために握った手。 だから、これは不可抗力。

「男。 私達、付き合ってるんだよね?」

あ、ああ。

「じゃあなんでッ!? 学校までサボってかがみと家にいるのッ!?」

「ち、違うわよこなた! これはちゃんと理由があtt



「うるさいっ!!」



こなたのサけぶ声が響いた。まるで、他の音が無音になったかのように。

「やっぱり、男の家にきて正解だったよ。 
かがみと男、2人とも学校からいなくなるなんておかしいと思った」

俺達は後ろへ後ずさる。 するとこなたが前に来る。 1歩下がれば、1歩進む。

「こ、こなた…落ち着いて…ね…?」

かがみの声が震えている。 今朝まで親友だったこなたに震えている。

「そっか。 かがみがいけないんだね。 かがみが男を…」

ち、違う! かがみは何もしていない!

「かがみがいけないんだ。 かがみが…私の男を…」

1人呟きながら、こなたはかがみに1歩ずつ近づいていく。

「ち、違う……私、そんなつもりは……」

よせ! お前、自分がなにしようとしてるのかわかってるのか!?

「……どうして男がかばうの?」

かばうとかじゃないだろ! もし刺したりしたらお前、どうなるかわかってるのか!?

「あは。男はずいぶん簡単なこと聞くんだね」



「邪魔者がいなくなるんだよ」


「ひっ…!」

恐怖ゆえか声をあげるかがみ。

「男、どいて。 そいつ*せない」

っ…! させない! そんなこと…絶対にさせるものか!

「男…私のこと、嫌いになったの?」

違う。 そういうわけじゃない。

「じゃあなんで? 好きなら私の言う通りにしてよ」

この…馬鹿ッ…!

好きだからできないんだよ!

「…意味わかんない。 かがみに洗脳でもされたの? 
もういいよ。どかないならこのまま刺すから」



コイツ、今なんて言った?

このまま、刺ス?

つまりそれは─────



ドンッ



「洗脳された男なんて男じゃない。 男は私だけのモノ。
 動かなくなったけど、これからずっと、2人きりだよ」

「い、いやああああああああああああああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




fin

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最終更新:2009年03月08日 17:19