新高校一年生を迎え、前学級委員長やら校長やらの、いかにもなスピーチ。
これでこそ新学期。
長い校長のスピーチが終わると、すぐさま教室にとんぼ返り。
「今日から新学期や。来週の頭には委員会決めるさかい、各自希望を決めとくように!ほな解散!」
これからの行事の予定のプリントや保健だよりなど数枚のプリントをすかすかの鞄に突っ込みすぐに席を立った。
さっきから携帯にバイト先から電話が掛かりっぱなしだ。シフト表今日出すって言ってたのに。
学校を出てすぐにリダイヤルで掛け直す。
「もしもし」
「ああ、男君ゴメンネ今空いてるかな?」
「えっと、今学校終わったんで四十分くらい待ってくれるなら行けます」
携帯の向こうから店長が困った顔を浮かべてるのが分かる。
「近藤さんがさ、二時間経っても来ないんだよ。悪いけど入ってくれるかな?」
あのチャラ男今度絶対殴る。何が愛のバイブスだ。何が「チカは今まで会った女の中でも極上の女」だ。あの腐れ童貞め。
「分かりました。店長シフト表は明日でも大丈夫ですか?」
「うん。構わないよ」
「はい、では失礼します」
近藤への怒り堪え、バスに揺られ、電車に揺られ、駅から十分歩いた所のコンビニの裏口から入る。
「あ」
「あ」
白い顔面にこけた頬。似合わない金髪にヒョロ長の背丈。極め付けにこのムカつく細目。
腐れ童貞の近藤だ。
「おお、男今日お前も入ってたっけwwwwww」
無駄に草生やすな、鞭打してやろうか?
「.....近藤さんが来てないから入ってくれって言われて来たんです」
「マジでwwwwwwサーセンwwwwwwwwww」
ウゼェwwwwwwマジウゼェwwwwwwwwww
次の給料日に辞めよう。俺はそう心に決めた。
義理分は働いて、すぐに家路に着いた。
今日だけで脳内で十二回も近藤のしりこ玉を抜いてしまった。
自重、自重。
家に戻ると、親父からの留守電が待っていた。
「男、俺だ。今日も帰れそうに無い。必要な資料はまとめて冷蔵庫に貼り出しといてくれ」
親父。アンタはあんな糞ビッチのせいで完全な社畜になってしまった。
少し前の話になる。頼むからゆとり乙とか厨二設定ワロスとか言わないで欲しい。
本当にいきなりだが、俺には消してやりたいと本気で悩んだ人間が三人いる。
一人はさっきの近藤。もう一人は近藤の側近、チカちゃん。
そして最後の一人であり、ぶっちぎりの一位に輝いているのが俺の母親だ。
アイツに関して言えば、いい思い出どころかトラウマしかない。
タバコの煙も甲高い笑い声もケバイ化粧もあいつのせいで見るだけで拳を作ってしまう。
親父は昔から仕事一筋でたまに日曜にも出勤していた。
俺はそれでも親父の事は好きだった。
玄関で革靴を履いて俺に預けていた鞄を受け取ると、くしゃくしゃに頭を撫でて家では見せない笑顔を見せて出勤する。
俺は親父のデカくて暖かい手が、その後ろ姿が大好きだった。
それとは逆に俺はあいつが嫌いだった。
癇癪持ちで、小学生の俺にブチ切れ、気絶するまで殴られた時は本当に死ぬかと思った。
多分何回か秘孔を押されたのだろう、やっと解放された俺が血を拭うためシャワーを浴びると高熱が出て寝込んだ。
そんな事が中学まで続き、ある朝事件が起きた。
忘れもしない中一の七月の朝。
俺はアイツの甲高い声で飛び起きた。急いで玄関に出るとそこには血溜まりの中で蹲る親父と、震える手で包丁を握る糞ババァがいた。
僅か一秒で俺は状況を把握した俺は速攻で糞ババァに殴りかかった。
今まで溜め込んでいた鬱憤、怒り、憎しみ、その他諸々を込めた拳を、多分鷹村さんもビックリなラッキーパンチを、俺は糞ッたれの顔面に叩き込んだ。
アイツはすぐ後ろのドアに叩きつけられた後、すぐその場に倒れこんで気絶した。
俺はすぐさま救急に電話を掛けて、親父の傷口にタオルを何枚も必死に押さえつけた。
救急が来て、警察も来ても頭の中は親父の事と、あの糞ッたれをどう懲らしめてやるかでいっぱいだった。
傷は肝臓まで届いていて、長い手術になった。
その間俺は駆けつけた親戚に励まされがら今頃別の病院でのうのうと治療を受けているアイツを、想像して何度も何度も頭の中でくしゃくしゃに丸めていた。
結論から言うと親父は助かったし、あの糞ババァも顎の骨を折っただけだった。
だけど親父は仕事を追われたし、あの家も売り払った。
俺も中二の夏まで家に引き篭っていた。
一日中ネットゲーム。
いつの間にか俺はネットの世界で神様になっていた。
レベルはカンストし、武器も防具もピカピカ仕様になっていた。
そんな、少し前の話。
休日が明けて、学校に登校するとすぐに白石に声を掛けた。
「おう、白石!レギュラー番組の収録どうだった?」
白石は溜息を吐いてから、「ハズレ引いちまった」と落ち込んで自分の席に塞ぎこんでしまった。
「一体どうしたんだ?あいつ」
「なんでも、もう片方の司会の性格が凄まじかったらしい」
「mjd」
「それもすぱすぱタバコを吸うらしい」
「うはwwwwwwビッチktkrwwwwwwww」
「おらー席付け!!」
今日も四時限授業だ。しかもシフト表を見ると近藤と今日も一緒だ。
今日の運勢オワタ\(^o^)/
「はい、おはよう。今日は委員会とか決めるで」
黒井が黒板に委員会を書き込んでいく。
「おし、まずは学級委員やりたい奴おらんかー?」
いるわけ無いだろ、ゆとりなめんなwwwwww
「しゃーない男、高良。前もやっとたし、今回も頼めるか?」
うはwwヤバすwwwwww高良さん上手く断ってくれ。
俺はそんな意味を込めた視線を高良さんに送る。
よし、目が合った。
(高良さん頼んだ!!)
(!男さん!分かりました!!)
高良さんが頷く。ふん、二回も同じ委員会をやるか、マヌケめ!
さぁ!高良さんやってやれ!
「分かりました」
ΩΩΩ<な、なんだってーーー!!?
「よっしゃ、男もええな?」
「.....」
うわ、高良さんがめちゃコッチ見てるよ。
「あ」
また、柊つかさと目があった。そんな目で見つめんなよ、照れるじゃん///
「はい、俺やります」
はい、今氏んだよ、一回おれ氏んだ。
俺は委員会の空きが全部埋まるまでずっと柊つかさの可愛らしいリボンを眺めていた。
「はい、じゃあ第一回集会を終わります」
手元の二枚の紙を二回折って鞄に突っ込む。
「おーい、みゆき、男」
「おう、柊」
「みゆきはともかく、男もまた学級委員になるなんてね」
「いえ、男さんがもう一回やろうって誘ってくれたんです」
くそ、違うって言いたい!言いたいのに!!
「いや、実は.....」
「おねーちゃん!」
はう!!この声は!!!
「おっ、つかさ!」
柊つかさタンキター!!!!11
「あ、男君」
「は、はじめまして!!ひ、柊さん!ぼくぁwwせdrftgyふじこlp!!!」
思いっきり噛んだ。唾も結構飛んだ。
「ヒッ!!」
ドン引きの柊姉妹。苦笑いの高良さん
俺の第一印象\(^o^)/オワタ
男の第一印象は唾と一緒に散ったが話はまだまだ続く。
続くったら続く。
最終更新:2009年05月25日 11:10