体育倉庫。
男「おい、こなた……」
(=ω=.*)「なーに?」
男「なんで体育倉庫なんだよ……」
(=ω=.*)「みんなのいるところではマズい。そう言ったのは男じゃん」
男「だからなんでわざわざこの場所を選ぶんだよ……」
(=ω=.*)「他意はないよ」
男「他意……クソぅ。こなた、じゃあもう一つ教えろ」
(=ω=.*)「なーに?」
男「なんで体操着にブルマなんだ……」
(=ω=.*)「この場所に来るとそうなるのは、絶対の法則だから」
男「……なら、仕方ないな」
(=ω=.*)「……うん。仕方ないんだ」
男「ま。そんなことより、アレを」
(=ω=.*)「はいはーい」
コトッ。
男「うーん」
(=ω=.)「うーん」
男「見かけは……ただの香水だよな」
(=ω=.)「だね……」
男「うーん」
(=ω=.)「うーん」
男「どうするよ?」
(=ω=.)「……」
(=ω=.*)「……シュってやってみる?」
男「な……!? マジで言ってんのか!?」
(=ω=.)「マジマジ」
男「駄目だ! そんなことしたら……もしかしたらあいつみたいに……ッ!」
(=ω=.;)「最近の男たん、固いなぁ。初期よりやたら熱血だし」
男「ちょ。心配してるのに……」
(=ω=.;)「シリアスなムードで、プロテインって言ってたあの人はどこに行っちまったんだろう」
男「ちんちん!」
(=ω=.;)「それもつかさのパクりだし」
男「……」
(=ω=.*)「冗談だよ。心配してくれてるの、わかってるから大丈夫」
男「……」
(=ω=.*)「スネないでよー。大好きだよー」
男「なら許す」
(=ω=.*)「あは。抱き抱き。……ね、男」
男「なんだ?」
(=ω=.*)「きっとこれ、シュってしても大丈夫」
男「は? なんでそう思うんだ?」
(=ω=.)「かがみんがつかさに使ったときは、私をザックリしろって言ったんだよね?」
男「ザックリだな」
(=ω=.)「そのときのつかさは、とろーんとしてたって言ってたよね?」
男「とろーんだな」
(=ω=.)「じゃあ、きっとこれは、催眠術をかけるための香水なんじゃない?」
男「エフッ」
(=ω=.#)「なんで笑う」
男「エフッ。エフッ。……だ、だってさ、催眠術って……エフッ」
(=ω=.#)「その笑い方、いらいらするからやめて」
男「だってさぁ、こなた。そんなもんがこの世にあるはずないじゃないか。迷信、迷信」
(=ω=.)「催眠術は迷信じゃないよ?」
男「うっそだーい! テレビでたまにやってるけど、どうせお約束のコントだろー」
(=ω=.)「テレビの事実なんか知らない知りたくないけど、催眠術は心理学の応用みたいなものだよ」
男「……え」
(=ω=.)「催眠療法もその範疇みたいなものかもかも。まぁ一種の恍惚感?」
男「……えー」
(=ω=.#)「本当なんだよ! それを突き詰めると記憶を消したりも出来るんだよ?」
男「はいはい、信じた信じた。じゃあ俺にかけてみそ。……あ、そ、その香水はなしで!」
(=ω=.)「無理」
男「ほれみろー! やーいやーい!」
(=ω=.#)「信じてない人には効果が薄いんだよ! それに、私には話術もなにもないし!」
男「話術?」
(=ω=.)「催眠状態にするには、話術と信頼が必要だからね。…………でも」
男「ん?」
(=ω=.)「この香水なら……それなしで出来ちゃうのかもね」
男「こ、怖いこと言うなよ。大体なんでそんなこと知ってんだ」
(=ω=.*)「男もやりなよ、あの鬼畜ゲーム『催眠」
男「やりたくない」
(=ω=.*)「まだまだ守備範囲が狭いねー」
男「ストライクゾーンは広いがな!」
(=ω=.*)「それじゃ三冠王は狙えないねー」
男「……」
(=ω=.)「まぁ、そこまで男が嫌がるなら、いいよ」
男「思いとどまってくれたか……」
(=ω=.)「私だけで試す」
男「なんッ!」
(=ω=.#)「私のエロゲ知識に間違いなどない! それを証明してみせる!」
男「……わかった、わかった! 手伝う! 手伝うよ! やるなら俺にやれ!」
(=ω=.*)「男……」
男「ほら! 吹き掛けて見ろよ!」
(=ω=.*)「私を心配してくれたんだね……」
男「……まぁな」
(=ω=.*)「ありがとう」
男「こな」
(=ω=.)「そしてさようなら」
シュ。
男「アッー!」
男「……甘い…………」
(=ω=.)「気分はどうかね?」
男「なんか……眠く…………なっ……て……」
カクンッ。
男「……」
(=ω=.)「……」
男「……」
(=ω=.)「さっきはよくもいじめてくれたな」
男「……」
(=ω=.*)「ふふふ」
男「……」
(=ω=.*)「首輪と手錠でもつけて、おーもちかえりぃしたいな」
男「……」
(=ω=.)「……ねぇ男」
男「ん……」
(=ω=.)「目を覚ましたら、私に百万回キスしてね」
男「ん……」
(=ω=.*)「……」
パンッ。
男「んあ……?」
(=ω=.*)「おはよー」
男「こなた……俺……」
(=ω=.*)「なに」
男「こなたーっ!」
(=ω=.*)「きたぁーっ。成功だーっ」
ガバッ。
(=ω=.*)「ん……ん……」
男「……」
(=ω=.*)「ん…………んふ……」
男「……」
(=ω=.;)「……う……」
男「……」
(=ω=.#)「ちょ……ちょっ! やめ……ぷあ……」
男「……」
(=ω=.;)「唇がっ! いたたたたっ! そんなに乱暴に……っ! うわっ!」
男「……」
(=ω=.;)「助けてくれーっ!」
男「……」
(=ω=.#)「ひりひり」
男「こ、こなたが悪いんだぞ!? 大体百万回なんて無理に決まってるだろ!」
(=ω=.#)「隙を見て、もう一度香水を吹き掛けなかったら、どうなっていたことか……」
男「たらこなただな」
(=ω=.#)「……」
男「……」
(=ω=.)「……でも、これで信じたよね?」
男「……ん」
(=ω=.#)「 催 眠 術 は 存 在 す る ッ 」
男「わかったっての!……でもさ……」
(=ω=.#)「まだなにか!?」
男「いや、こんなに自由自在に催眠術なんかかけられる香水ってさ……」
男「…………相当ヤバいもんなんじゃないか?」
(=ω=.)「……」
男「……」
(=ω=.;)「ヤバい……ねぇ……」
男「ヤバい……だろ……」
(=ω=.;)「かがみん……誰からこんなの貰ったんだろう……」
男「誰だろうな……」
(=ω=.;)「……」
男「……」
キーンコーンカーンコーン……。
(=ω=.;)「う、うお!? しまった! 話に夢中になりすぎた!」
男「は、早く教室に――」
わいわい……がやがや……。
(=ω=.;)「……ま、まずっ! 体育の奴等が来る!」
男「隠れるぞ!」
(=ω=.;)「授業は!」
男「授業より名誉!」
(=ω=.*)「了解した!」
ガラッ。
みなみ「ほら、ゆたか……。誰もいない」
ゆたか「あれー? ほんとだ……なんか中で声がした気がしたんだけどなぁ」
(=ω=.;)(ゆ、ゆーちゃんとみなみちゃんだ……)
男(うぐぐ……暴れるなよ、こなた……)
(=ω=.;)(暴れてないよ! ただ跳び箱の中っていうのは無理があったかなぁ……)
みなみ「えーと……ライン引きは……」
ゆたか「あ! 跳び箱……」
(=ω=.;)(げ!)
男(ば、バレたか!?)
ゆたか「うーん。私、跳び箱って飛べた試しがないんだよね……。よいしょっ」
みなみ「なにしてるの……?」
ゆたか「えへへ。登っちゃった。こんなに背があったら便利だろうなぁー」
(=ω=.#)(お姉ちゃんはそんなゆーちゃん、認めない!)
男(ば、馬鹿! おちけつ!)
ゆたか「ん? これ、今、動いたような……」
(=ω=.;)(お、男! しー! しー!)
男(お前のせいだろが!)
ゆたか「そんなはずないかぁ」
みなみ「ゆたか……行こ」
ゆたか「うんっ」
(=ω=.;)(ほっ……)
男(ふぅ……危なかったな、こなた……)
(=ω=.*)(死ぬ思いをした。……まぁ、男とぴたぴたしてられるのは嬉しいけど)
男(こなた……)
(=ω=.*)(あ! ちょっと! こ、こんなところで……)
男(……)
みなみ「…………あ……」
(=ω=.;)&男(ビクビクッ!)
ゆたか「どうしたの?」
みなみ「なにか、落ちてる……」
男(お……おい! 落ちてるって……まさか!)
(=ω=.;)(え!? 男が持ってるんじゃ……)
男(持ってない!)
ゆたか「わー。とっても綺麗なビンだね」
みなみ「……香水かな」
ゆたか「へー! お洒落だねー。私、こういうの一つも持ってないよ。どんな香りがするのかな?」
(=ω=.;)(と、止めなきゃ!)
男(だな!)
(=ω=.;)(あぁっ! でもちょっと待って! こ、ここで外に出ると姉としての威厳がーっ!)
男(馬鹿なのかお前は! いい姉のつもりなら、ここで助けないと!)
(=ω=.;)(は、半裸で!?)
男(なんで半裸なんだよ!)
(=ω=.#)(あんたがしたんだよ!)
みなみ「……ちょっと試してみる?」
ゆたか「んー。でも、嫌な匂いだったら困るな……。気分悪くなりそう……」
男(じゃ、お前は下に隠れてろ! 俺が助けてやる!)
(=ω=*)(なんていい男! かっこいいよ、男! 大好きだよ、男!)
男(ふふん)
(=ω=.*)(お兄ちゃんと呼ばれるゴールドステータスを捨ててまで、私を守ってくれるんだね!)
男(うわぁぁぁぁぁ! それだけは、それだけはーっ!)
(=ω=.;)(やっぱ無理か……)
みなみ「……じゃあまず、私の腕に吹き掛けてみるね」
ゆたか「だ、駄目だよ! みなみちゃんだけにそんな……」
みなみ「私は平気。……でも、ありがとう、ゆたか」
ゆたか「みなみちゃん……。ううん、私こそ、ありがとう……」
男(よし! じゃあ作戦はこうだ!)
(=ω=.;)(なんだ!)
男(お前はやはり下に隠れている!)
(=ω=.*)(……ということは、男……やっぱり……)
男(そして俺が、跳び箱の一番上の段をマスクのようにして被って立ち上がり、あいつらを止める!)
(=ω=.;)(姑息……)
みなみ「じゃ、行くよ?」
ゆたか「うんっ。どきどきするねー」
ガタガタ!
男「ま゛っ!」
男(た、立てねー! こなた、絡み過ぎ邪魔!)
(=ω=.#)(だからそれも男がしたんじゃん!)
男(ああそうさ俺だよ! どうせなにもかも俺のせいだよ!)
(=ω=.#)(そんなことどうでもいいから――)
シュ……。
(=ω=.;)&男「あ゛」
みなみ「……」
ゆたか「……」
(=ω=.;)(……喧嘩してる場合じゃない!)
男(止めよう! なにか突飛な催眠に掛かる前に!)
(=ω=.)(よし! じゃあ無理矢理行くよ!)
男(おう!)
ズ……ズ……。
みなみ「ん……」
ゆたか「ふあ……」
(=ω=.#)(もうちょっとだ! 動くぞ、こいつ!)
男(ぬぬぬ……!)
(=ω=.#)(いっそ突き飛ばそう! 押し倒そう! 最悪の事態になるよりいいよ!)
ズズズズ……ズズッ!
ゆたか「みなみちゃん……これ……」
みなみ「……ん……」
ズズ……ズザザザッ!男「動いた!」
(=ω=.;)「駄目! ゆーちゃ」
ゆたか「とってもいい香りだねー!」
みなみ「……そう、だね」
(=ω=.;)「あれぇっ!?」
男「な、なんで効かない!?」
(=ω=.;)「わかんないけど止まれない!」
……ズザザザザザザザ!
ゆたか「き……きゃああああぁぁっ!」
みなみ「……っ!」
ゆたか「とと、跳び箱が迫ってくるうぅっ!」
みなみ「……ゆたか! 逃げよう!」
ゆたか「みなみちゃ……あっ!」
ズザザザザザザザ!
みなみ「ゆたか! つかまって!」
ゆたか「あ、ありがとう!」
たったった……。
(=ω=.;)「……」
男「……」
その後、走る跳び箱の噂は、妖怪『タタリ箱』として、学校七不思議となるのだった。
最終更新:2009年08月20日 14:42