王様「ということで勇者男よ。捕われた姫の救出とりゅうおうの討伐を命じる」
男「ちょ……。いきなりなんですか。ここどこですか。なんで俺が勇者なんですか」
王様「黙るのじゃ。いいから魔王を退治してくるのじゃ」
男「嫌です。そもそも俺はただの高校生ですし。元の世界に帰りま」
王様「なら仕方ないのう。死刑じゃのう」
男「ま、待てこのヒゲ!」
王様「いきなり城に現われた貴様に人権があると思うのか! そんな貴様を勇者にしてやったんじゃ。有り難く思え」
男(グゥ)
王様「首尾よく姫を救出出来たら、婚姻も認めようぞ」
男「喜んでその任を受けましょう」
王様「期待はしてないがの。まぁ死んだら死んだでいいから」
男「……」
そんなこんなで俺の冒険が始まった。
男「とは言ってもなぁ。今の俺に魔王なんて倒せるのか?」
カガミ「ねぇアンタ」
男「とりあえず道具屋へ行って装備でも整えるか。冒険の基本だし」
カガミ「ねぇってば!」
男「王様の野郎、120Gしか渡さないとかふざけてるとしか思えない。仮にも俺、勇者な設定なのに……」
カガミ「人の話を聞けーっ!」
男「お?」
カガミ「やっと気付いたわね」
男「ラッキー。1G落ちてた!」
カガミ「オルァ!」
ドカッ!
男「げふっ!」
カガミ「初めまして、私はカガミ」
男「……」
カガミ「……あれ? 失神してる……」
男「ハッ」
カガミ「起きたわね」
男「……かがみ? 良かった。変な夢から覚めたんだな。次は何の授業だっけ?」
カガミ「は?」
男「あー。そうだった。お前、別のクラスだったなー。失敬失敬」
カガミ「……アンタ何言ってんの? 頭大丈夫? そんなに強く殴ったつもりはなかったんだけど」
男「……ちょっと待て。お前、その格好は?」
カガミ「格好って……別に普通よ」
男「普通じゃないだろ! 武道家チックな服着やがって! 学校でコスプレか!」
カガミ「ここは学校じゃなくて宿屋だってば」
男「ハハァン。そういう設定のつもりか。さては、これはこなたの悪ふざけだな?」
カガミ「こなた?」
男「しらばっくれやがって。それはいやーんであっはんな尋問をして欲しい、と受け取ることにする」
カガミ「すんなっ! つーかこなたって誰だ!」
男「え゙」
男「待て待て。話を整理しろ」
カガミ「なんで私に任せるんだ……。アンタが整理しろよ」
男「つまりお前はかがみそっくりだが、俺の知ってるかがみじゃないわけだな?」
カガミ「そうみたいね」
男「それにここは学校じゃなくて、まだドラクエ世界なわけだな?」
カガミ「銅鑼食えっていうのはわからないけど、確かにここは学校じゃないわ」
男「ナンテコナタイ」
カガミ「……まぁそっちの事情はさておき」
男「おかれた!? 俺のほぼ全ての過去がおかれた!?」
カガミ「五月蠅い。とにかくアンタは勇者なんでしょ?」
男「そうだよ」
カガミ「……私も連れていってくれない?」
男「お前を?」
カガミ「そう。理由は聞かないで」
男「じゃあ俺にキスしたら連れてってやる」
カガミ「な!?」
男「んー……」
カガミ「くっ! この――ッエロ勇者!」
グシャア!
男「ぶっ!」
カガミ「……で、アンタの名前は?」
男「男でず……」
カガミが仲間になった!
男「うぅ。街から出るのかよー。嫌だよー。なんか陰気な城が見えてるよー」
カガミ「あれがりゅうおうの城よ」
男「りゅうぐう城? 心ときめく城だな。ちょっと寄ってみよう」
カガミ「竜王の城よ!」
男「さぁぐずぐずしてないでさっさと帰ろう!」
カガミ「アンタ勇者のくせに……。まぁ大丈夫よ。今から行くのはガライの村だから」
男「ガライ?」
カガミ「そうよ。いきなり魔王と戦うのは無謀だしね」
男「何をぼーっとしてるんだノロマ! 付いてこい! ガライはすぐそこだぞ!」
カガミ「……」
スライムが現われた!
男「なんだこいつ」
カガミ「あぁ。弱小モンスターのスライムよ。滅多なことじゃやられはしないわね」
ベキッ! ドゴッ! バシッ!
男はしんでしまった!
カガミ「……こいつ、本当に勇者なのか?」
男「色々(死亡回数25回)あったが、ガライに着いたな」
カガミ「……ねぇ男」
男「ん?」
カガミ「途中に洞窟があったけど、行かなくてよかったの?」
男「ふっ。愚問だな。あんなとこにはどうせ石盤とかしかない。無意味なことしてないで早く姫を助けるぞ」
カガミ「……りゅうおうは?」
男はくちぶえをふいた。
カガミ「こいつ……」ミユキ「あのー」
男「わっ! みゆきさん!?」
ミユキ「あれ? 確かに私はミユキですが、どうして私の名を?」
男(あー。カガミと同じで、みゆきさんだけどみゆきさんじゃないのか)
カガミ「気にしないで。こいつときどき変なこと言うのよ。変態とでも思ってくれていいわ」
男「えっ」
ミユキ「わかりました」
男「えっ」
カガミ「で、何の用?」
ミユキ「盗み聞きをしたようで心苦しいのですが、貴方達は勇者なのですか?」
男「俺が、勇者男だ」
ミユキ「お願いします! 私をメルキドの街に連れていって下さい!」
男「メルキドに行きたいかー!」
ミユキ「お、おー?」
男「わかりました。貴方の熱意がばしばしきました。報酬は貴方のから……」
ボコッ!
カガミ「もちろんよ」
男「……」
ミユキが仲間になった!
カガミ「さて。これからマイラの村に向かおうと思うんだけど……ミユキって、レベルいくつ?」
ミユキ「5ですよ」
カガミ「私と同じか。男は?」
男「2」
カガミ「戦力外か。このままマイラに行くのはキツいな。どこかでレベルをあげなきゃ……」
ミユキ「そういうことでしたら、この街の南に洞窟があるらしいですよ。レベル的にも丁度いいかと思います」
カガミ「さすがミユキ! 決まり! 男もそれでいいわね?」
男「嫌」
カガミ「じゃあ洞窟に……ってちょっと待て勇者お前コラ。今なんつった?」
男「嫌」
カガミ「……(目の前の男が理解出来ず自分を静めるために今日の夕食のことを考えている)」
ミユキ「ど、どうしてですか?」
男「レベルあげなんか嫌だ! 長いし読んでる方も飽きる!」
カガミ「よ、読んでって何を――」
男「さっさとマイラに行くぞ!」
男「着いたな。ここがマイラの村だ」
カガミ「……」
ミユキ「……」
男「どうしたんだい二人とも。なんかお疲れの様子だね。チッチ。いけないなぁ仮にも勇者の一行なのに」
カガミ「そりゃあアンタは元気よね……。ガライから出るなり死んで、棺桶の中で寝てたんだから……」
ミユキ「あぁ……。少し……疲れました。私、もう休みますね……」
カガミ「私も……」
そして男はひとりになった!
男「……」
男「……」
男「ふ……」
男「ふふ……ははは……!」
男「ハーハッハッハ! 上手くあいつらを出し抜いたぞ!」
男「そう。俺はマイラに来たかったんだ。……あのときから……」
~ここから回想~
男「だからして、壺の中身は勇者様のものなのだ。わかったかガライの村人」
村人「……」
男「RPGの掟なのだ。文句があるなら、ラダトームの王様に言うのだ」
村人「へえ……」
男「それはそうと、何か情報をくれ。村人の務めだろう?」
村人「……じゃあ、マイラの村の話ですが」
男「ふむ」
村人「マイラの村には、温泉があるらしいですよ。あと……」
男「あと?」
村人「ぱふぱふの店も……」
ぱふぱふの店も……ぱふぱふの店も……ぱふぱふの店も……(エコー)
~回想終了~
男「マイラ……マイラ……マィラァ! よーし、待ってろよ! ぱふぱふっ!」
次の日。
カガミ「あら? 男、今来たの? もう宿屋チェックアウトしちゃったわよ」
男「……」
ミユキ「な、なんかげっそりしてませんか?」
男「……」
カガミ「どうしたっていうのよ?」
男「たくましい……」
カガミ「ん?」
男「ガチムチの……胸板が……」
カガミ「……何言ってんの?」
男「ぱふ……ぱふ……」
カガミ「まぁいいわ。いつものことだし」
男「……」
カガミ「じゃあこれから、沼地の洞窟に向かいます」
ミユキ「……本当に行くんですか?」
カガミ「どうして?」ミユキ「沼地の洞窟には、ドラゴンが住み着いているという噂です。私達の力じゃ……」
カガミ「……やられる、かな?」
ミユキ「恐らく」
カガミ「……」
男「……行こう」
ミユキ「えっ」
カガミ「男!?」
男「俺達の使命はりゅうおうを倒すことなんだ。ドラゴンなんかに怯えてられない!」
カガミ「男……アンタ……」
ミユキ「カッコいいです……」
カガミ「……まさか、こんなヘタレ勇者に喝を入れられるなんてね!」
ミユキ「確かに、この村で止まっているわけにはいきません。私は、どうしてもメルキドへ行かなくてはならないんですから!」
男「よーし! そうと決まったら早くこんな村から脱出――」
バニー「あ。昨日のカレじゃない」
男「ひぃ! き、きた!」
バニー「私のパパがねぇ。アンタのこと気に入っちゃってさぁ」
男「やめろおおおおおおおお服を引っ張るなあああああああああああああああああ!」
バニー「あんっ。どこ行くのよぉ」
男「洞窟だ! 早くこの村から逃げるんだァーッ!」
カガミ「……あぁ。やっぱり」
ミユキ「そういうことですか……」
おおさそりが現われた!
おおさそりの攻撃!
男は素早く身を躱した!
カガミ「……」
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
男の攻撃!
おおさそりに1ポイントのダメージ!
ミユキ「……」
おおさそりの攻撃!
男は素早く身を躱した!
カガミ「……てやっ」
カガミの攻撃!
おおさそりに58ポイントのダメージ!
おおさそりを倒した!
男「ふぅ。よくやったカガミ」
カガミ「というかアンタ、いつの間にレベルあがったの?」
男「は? レベルなんぞあがっとらんぞ」
カガミ「え……。でも、モンスターの攻撃をひらひら躱してたじゃない」
男「うむ。よくわからんが、気付いたら躱せるようになってた」
カガミ「……」
男「でもレベル自体は低いから、ダメージは与えられん」
カガミ「で、デタラメだ。こいつ……」
男「そういや、洞窟に入って結構経つのに、ドラゴン出てこないな」
カガミ「そういえばそうね。ミユキ、ドラゴンがいるって本当にこの洞窟なの?」
ミユキ「そのように聞き及んでいたのですが。……やはり噂は噂だったのでしょうか?」
カガミ「噂ってどんな?」
ミユキ「沼地の洞窟にはドラゴンが潜む。そのドラゴンは、かれの主の命により、扉の奥であるものを守っている……」
カガミ「……」
ミユキ「そんな、噂です」
男「あれ? なんだ、この扉?」
カガミ「なぁっ!?」
男「宝の匂ひがするぜ。開けてみるか」
ミユキ「ま、待って下さい!」
カガミ「それはー!」
しかし扉には鍵が掛かっていた。
男「……」
カガミ「は、はは、は……助かった……」
ミユキ「どうやら鍵が無いと開かないみたいですね」
男「鍵を捻り込むようにインサート☆」
カガミ「えっ……」
男は魔法の鍵を使った!
カガミ「ななななななななななななななななななななな」
ミユキ「お、男さん! それをどこで!」
男「ガライの村人の家からパクった」
ミユキ「……あー。だから男さんは、おおさそりの攻撃を躱せたんですね」
男「どういうことだ?」
ミユキ「つまり、いつの間にか勇者から盗賊に転職してたってことですよ」
男「なるほどーなるほどー!」
カガミ「納得してる場合かぁぁぁぁぁーっ!」
扉が開いた!
ドラゴンが現われた!
ドラゴン「グォォォォー!」
男「なんじゃコイツァー!」
カガミ「アンタが呼び出したんだろがい!」
男「し、知らんかったんじゃ! わしは知らんかったんじゃ!」
カガミ「知らんかった♪……で済むかこのアホー!」
ミユキ「言い争ってる場合ではありません!――来ます!」
ドラゴンの攻撃!
ドラゴンは尻尾を振り回した!
カガミ「あうっ!」
カガミに68ポイントのダメージ!
ミユキ「あぁっ!」
ミユキに76ポイントのダメージ!
男「アッー!」
男は素早く身をかわした!
男「アッー……アー……ー……ハッ! とりあえずやられるつもりだったのに、身体が勝手にかわしてしまった!」
カガミ「……」
ミユキ「……」
ドラゴン「グルルル!」
男「マジで? 超やべぇじゃん」
男「待て待て落ち着け俺。そうだこういうときは素数を数えるんだ13579……」
カガミ「そ、それは……奇数よ……」
男「カガミ! 嗚呼カガミ! 俺のカガミ! 生きていてくれたんだね!」
カガミ「誰が……アンタのよ……つーか……舐めんなっての……。この程度で私が……」
ドラゴン「グルォー!」
ドラゴンの攻撃!
カガミ「……ぐうっ!」
カガミに71ポイントのダメージ!
カガミ「うぁ……」
男「ば、馬鹿野郎! 無理すんな!」
カガミ「い、今わかった……」
男「は!?」
カガミ「あの娘はこの部屋の奥にいる……ふ、双子だからかな?……私にはわかるんだ」
男「双子……まさか……」
カガミ「私の妹……返して貰うわよ……」
ドラゴン「グォォォォ!」
男「カガミ! 危険があぶない!」
カガミ「どけぇぇぇぇぇぇっ!」
ピカッ!
男「こ、この光はっ!」
~CM~
――ヤンデレをお求めですか?――
――らき☆すたの二次創作が読みたいですか?――
「ヤンデレこなたスレ」
多種多様な物語がここにはある……。
たまにヤンデレ関係なかったりもするけれど……。
余りある感動はまるでスターダスト。
ヤンデレこなたスレ、絶賛現行中!
(=ω=.)「……死んじゃえ」
~CM終わり~
男「こ、この光はっ!」
カガミの攻撃!
カガミ「うわあああああああああああああああああああ!」
か い し ん の い ち げ き !
ドラゴンに1021ポイントのダメージ!
ドラゴン「グギャアアアアアアアッ!」
ドラゴンを倒した!
カガミ「……はぁ……はぁ……」
男「えっ。何すか今の力」
カガミ「……」
男「あっ。カガミ!」
カガミ「……」
男「気を失ってる……」
カガミ「……」
男「……」
カガミ「……」
男「ま、いいや。姫! 勇者男が今行きますぞ!」
ツカサ「だ、誰っ?」
男「……やっぱりつかさか。薄々そうじゃないかと思ってたが、お前がさらわれたお姫様だったんだな」
ツカサ「私のことを知ってる……貴方は一体?」
男「超絶無敵盗賊鬼畜戦士王兼魔人強靱無敵勇者男様だ」
ツカサ「長いよぅ……無敵って二回言ったよぅ……」
男「勇者男様だ」
ツカサ「勇者男様……貴方がドラゴンを倒してくれたの?」
男「……」
ツカサ「……」
男「もちろん、俺が倒した」
ツカサ「男様……」
男「しかも一人で」
ツカサ「素敵……」
男「向こうには俺のおっぱいと、ツンデレいる。役には立たなかったが」
ツカサ「……おっぱ……ツンデレ?」
男「ミユキとカガミがいる」
ツカサ「お姉ちゃんが!?」
男「うむ。付いてきたまえ」
ツカサ「はーい」
ツカサ「お姉ちゃん!」
カガミ「ツカサ……よかった……」
男「よう、カガミ。大丈夫か?」
カガミ「身体中が痛い。……ねえ男、ドラゴンは?」
男「覚えてないのか?」
カガミ「何を?」
男(ヒャアッホウこれは好都合)
ツカサ「ドラゴンなら、男様が倒してくれたんだって!」
カガミ「……さすが勇者ってわけね。悔しいけど、見直した」
男(で、出来る! 新世界!)
ミユキ「え? 違いますよ?」
男「……み、ミユキ!?」
カガミ「どういうこと?」
ミユキ「私、動けなかったけど、見てたんです。ドラゴンは、カガミさんが倒したんですよ。ね、男さん?」
男「あわわ」
ツカサ「え? でも、私には『俺が倒した』って……」
男「あわわ」
カガミ「……」
ツカサ「しかも一人で」
男「あわわ」
カガミ「……男、ちょっとお話ししよっか?」
男「笑顔が怖イィーッ!」
こうして、俺達はラダトーム(最初の街)に戻ってきた。
その移動中、俺はずっと棺桶の中だった……。
王様「よくやった、勇者……勇者……勇者はどこじゃ?」
ミユキ「棺桶の中です」
王様「ほう。似合いの場じゃな。それで、そなたは誰じゃ」
ミユキ「旅の賢者、ミユキです」
王様「勇者の仲間か。そちも褒めてつかわす。そしてその隣りにおる……」
棺桶「……」
王様「いや、棺桶の方ではなく、そちらの……」
カガミ「……」
王様「む! よく見ればそなたは……カガミか!? 心配していたのじゃぞ! どこへ行っておったのじゃ!」
棺桶「そうか。ツカサが姫ってことは、カガミも姫なのか」
カガミ「ごめんなさい、父上……」
ツカサ「お姉ちゃんが、私を助けてくれたのー!」
王様「なんと! カガミが!……なら勇者は何をしていたのじゃ?」
ミユキ「特に何も……」
王様「我が娘ツカサを戻せなかった挙げ句、カガミまで危険な目に合わせ何もしていなかったじゃと!?」
棺桶「ちょっ、まっ」
王様「ゆ、ゆるさん! 衛兵! この棺桶を牢屋に打ち込め!」
棺桶「やめろおおおおおおおおおおおおおおおここから出せええええええええええええ」
ミユキ「……哀れです」
ツカサ「……哀れだね」
カガミ「ふ、ふん。ツカサに良い格好しようとしたんだから、自業自得よ」
女兵士「ほい、今日の昼飯だよ」
男「……なあ」
女兵士「んー?」
男「あれから二か月経ちましたよ。俺、いつまでここにいればいいんでしょう? みんなはなんで助けに来ないですか?」
女兵士「双子の柊姫は、魔法使いのミユキと一緒にメルキドに向かったみたいだぜー。ずっと前に」
男「あいつら俺を見捨てやがったー!」
女兵士「いや、見捨てたんじゃなくて忘れたんじゃないか? もしくは足手まといとか」
男「いずれにしても同じことだー!」
女兵士「五月蠅いなぁ。黙ってご飯食べろよー」
男「そうだ。脱獄しよう」
女兵士「あはは! そんなの無理に決まってるってヴぁ!」
男「何故に」
女兵士「まず第一に、鍵掛かってるし」
男「……」
女兵士「第二に、私というユウシューなソルジャーがいるからだ――」
男「隙ありっ」
男は牢屋の鍵を奪い取った!
女兵士「あーっ!」
男は扉の鍵を開けた!
扉が開いた!
女兵士「あーあー! だ、だっそうぷっ――」
男「第二の難関破れたり。ドラゴンを倒した(現場にいた)男の経験値を舐めるなよ」
女兵士「むー……」
男「出口はどっちだ」
女兵士「む(あっち)」
男「よし。一緒に行くぞ。お前は人質だ」
女兵士「みゅー!(やーめーろーよー!)」
男「黙って従わねえと痛ぇ目にあうぜ!」
女兵士「むー!(助けてアヤノー!)」
女兵士を仲間にした!
男「上手く街の外に出られたな」
女兵士「この鬼畜っ」
男「はーはっは」
女兵士「もういいだろ? 私は帰るからな!」
男「つーか……参ったな。順番が相当狂っちまった……これじゃあ間に合わないかも……いや……いくらなんでもそれは……」
女兵士「は? 何をブツブツ言ってんの?」
男「システム的な話だよ!」
女兵士「し、しす?」
男「よし、決めた!」
女兵士「なんだよ? わ、私の身体はだめだぞ! あげないからな!」
男「お望みなら貰ってやるが、俺は急いでいる!」
女兵士「何をだよ?」
男「今からりゅうおうを倒す!」
女兵士「ふぁ!?」
男「そして真の勇者となり、力でこの世を支配する……」
女兵士「そ、それは勇者という名の魔王だ!」
男「はーはっはっは! 俺はもう誰にも止められん!」
女兵士「ぽかーん」
男「たとえばこの、りゅうおうの城とラダトーム城を分かつ海でさえ!」
女兵士「あっ……」
男「俺は止められない!」
ザンッザンッ!
女兵士「ば、バタフライで泳いで行っちまった……」
それは歴史に残るほどの勇者バタフライだったといいます。
男「色々(逃げる106回)あったが、りゅうおうの玉座まで辿り着いたぞ」
男「わーわー(セルフ歓声)」
男「……」
男「なのに……」
男「何故りゅうおうがいないんだ!」
男「むきぃー! ここまで来て手詰まりかよ! つーかモンスターいすぎで帰れねーよ!」
男「……」
男「……」
男「……」
男「どっこいしょ」
男はとりあえず玉座に座った!
男「ふぅ……」
カガミ「りゅうおう、覚悟!」
男「え」
カガミ「うりゃー!」
カガミの攻撃!
男「ぐふっ」
男に205ポイントのダメージ!
男はしんでしまった!
カガミ「……ってアレ? りゅうおうよわっ」
ミユキ「あ、あのー、カガミさん。それ、もしかして……男さんじゃないですか?」
ツカサ「あ! 本当だ! ラダトームに幽閉されていたはずの偽勇者様だ!」
ミユキ「完ぺきに忘れてましたね」
カガミ「ちょっとアンタ、なんでこんなところにいんのよ?」
返事はない。
ただの屍のようだ……。
カガミ「……空気が重いな」
ミユキ「なんて邪気……。りゅうおうはすぐ近くです」
ツカサ「うぅ。確かになんか息苦しい。私はどうしてここにいるのかなぁ」
男「そうかぁ? 大したことないじゃないか。むしろかがみんの方が邪悪」
カガミ「誰が邪悪かがみんだ!」
男「なんと!」
カガミ「何を驚いてるんだこのヘタレ勇者!」
男「そろそろ泣くぞ……」
カガミ「勝手に泣いてろ」
男「わーん! ツカサぁ! お前の姉がいじめるー!」
ツカサ「わあ困る……」
男「……」
男はひっそりと泣いた!
カガミ「あっ!」
ミユキ「これは……!」
男「で、でかい!」
ミユキ「ど、どこ見てるんですか! そうじゃなくて!」
男「ち、小さい!」
カガミ「し、失礼な! 私は標準よ!」
男「じゃあなんだよ?」
ツカサ「……息苦しさが、消えちゃった」
男「……へ?」
ミユキ「それに、向こうの部屋から強い力の波動を感じました!」
カガミ「いってみるわよ!」
ツカサ「うん!」
男「……」
(=ω=.*)「やー! 遅かったねー!」
男「こなた!?」
カガミ「……りゅうおうが……しんでる……」
(=ω=.*)「うん。残念ながら、ラスボスはとっくに私が倒しちゃったよ。さすが私!」
ミユキ「そんな……一人きりでりゅうおうを……?」
(=ω=.)「私はロトの血を引く勇者……って設定だったからねー」
ツカサ「……設定?」
(=ω=.)「……こいつを倒したら全部思い出したよ。私は勇者じゃなかったんだ」
カガミ「何言ってんのよ? りゅうおうを倒したなら、勇者に決まってるじゃない」
(=ω=.)「じゃあかがみんは誰?」
カガミ「私? 私はラダトームの姫で、剣士……ってなんで私の名前を知ってるんだ」
(=ω=.)「ふむ。まだ思い出せないのかな?」
カガミ「え……何を……」
(=ω=.)「私達がただの学生だってことを、だよ」
……。
カガミ「な、何を……」
(=ω=.)「やっぱり思い出してないんだね」
ミユキ「私達が……」
ツカサ「学生……?」
(=ω=.)「そ。ただの学生! ここは現実じゃアーリマセン!」
カガミ「あ、アンタばかぁ!? 男じゃないんだから、そんなわけのわからない話――」(=ω=.)「男?」
カガミ「そうだ! ねえ、男! アンタも確かそんな話してたわね?」
男「……」
カガミ「私達が学生で同級生がどうのって! あれってまさか……本当のこと……?」
男「……」
カガミ「男? なんで黙ってるのよ? アンタらしくもない」
男「……」
男「……」
(=ω=.)「男……」
男「……」
(=ω=.)「……」
男「……」
(=ω=.)「……誰?」
男「な……」
(=ω=.)「……」
男「何を言ってるんだ? 俺だよ! 男だよ! 性別も名前も男!」
(=ω=.)「かがみん、つかさ、みゆきさん……そいつから離れて」
カガミ「え……」
ミユキ「あ……」
ツカサ「どうなってるの?」
男「おいおい、何を言ってるんだよ! こなた、お前思い出したんだろ? だったら俺のことも……」
(=ω=.)「確かに思い出したよ。学校のこと、友達のこと、コミケのこと」
男「……」
(=ω=.)「だけど、そこには『男』なんて人はいない」
男「……」
(=ω=.)「……」
男「……」
(=ω=.)「……どうして、私の名前を知っているの?」
男「は……」
カガミ「……っ!」
男「あはははははははははははははははははははははははは!」
男「――はぁ。なんだよ。完璧に思い出してるのか」
(=ω=.)「……」
男「そうだ。お前の言う通り、俺は学生なんかじゃない。お前らの知り合いでもない」
(=ω=.)「……」
男「残念だ。全部上手くいってたのに」
(=ω=.)「どういうこと?」
男「簡単に言うと、お前が欲しかったんだ」
カガミ&(=ω=.;)「にゃ、にゃにぃっ!?」
男「それだけで理由は十分。ドラクエ世界を利用して、まずは俺がりゅうおうになるつもりだった」
カガミ「利用っ!?」
男「りゅうおうになった後は、こなたが勇者としてここに来るのを待てばいい」
ミユキ「で、でもそれじゃあ敵同士に……」
男「おいおい。ドラクエやったことないのか? 戦いの前にりゅうおうは、勇者にこう尋ねるんだ」
ツカサ「なんて……」
男「俺の部下になれ。そうすれば世界の半分をやろう」
男「『はい』か『いいえ』を選べるんだが、ゲームだとどちらにしても戦いになる」
(=ω=.)「……」
男「だがそこでこなたが『はい』を選んだら、俺は本当に世界をはんぶんこにするつもりだった」
(=ω=.)「……確かに、私なら『はい』を選ぶかもね」
男「だろ? そしたらお前もヤンデレの仲間入り」
カガミ「……」
男「つまりこれは、完璧な『こなたヤンデレ化計画』だったんだぜ?」
ミユキ「そんなこと……!」
男「なのに、お前がここに来るのが早すぎてさあ」
(=ω=.)「……あなたは誰なの? どうして私達を知ってるの?」
男「誰と言われてもな。ヤンデレなお前を望む人間の思念、としか言えん」
(=ω=.;)「は?」
男「そう。『お前』のことだ」
(=ω=.;)「わ、私!? わけが……」
男「いや、こなたじゃなくて、『お前』だ」
(=ω=.;)「……誰と話してるの?」
男「わはは。まあ気にするな。……どうせ忘れることだ」
(=ω=.)「っ!?」
ミユキ「ものすごい邪気です! さっきのものとは比べ物にならないくらい……!」
ツカサ「こ、怖いよお」
男「勇者が死んだらゲームオーバー。お前らはまた最初からだ。セーブなんてないからな」
カガミ「やめて……」
男「悪いがリセットさせてもらう。なぁに、何度でもチャンスはある」
カガミ「嘘だぁーっ!」
男が現れた!
男「先に言っとくが俺を倒しても無駄だぞ? いくらでも、世界は創られるんだ」
(=ω=.#)「わけのわからないことを!」
こなたの攻撃!
男にダメージを与えられない!
(=ω=.;)「うわっ。なんだこれ! 負けバトル!?」
男「そうだよー。俺がルールだよー」
男の攻撃!
男「特技にはイオナズンとありますが」
男はイオナズンを放った!
男「はい。イオナズンです」
こなたに126ポイントのダメージ!
(=ω=.;)「ぐっ!」
カガミに123ポイントのダメージ!
カガミ「うっ!」
ミユキに111ポイントのダメージ!
ミユキ「きゃあっ!」
ツカサに106ポイントのダメージ!
ツカサ「いたたあっ!」
男「俺だってこんなのは不本意なんだ。我慢してくれ」
カガミ「……アンタは……アンタは……ぁ!」
ツカサ「お姉ちゃん!」
ミユキ「カガミさんっ!」
カガミ「この……!」
カガミの攻撃!
男「だから負けバトルなんだから、攻撃は……」
カガミ「バカ野郎ーっ!」
ズガァン!
男に256ポイントのダメージ!
男「ヘブッ!」
(=ω=.*)「おおっ! ダメージが……通った!?」
カガミ「……アンタの動きなんてね、お見通しなんだから」
男「な、何故に……!」
カガミ「それはね!」
カガミの攻撃!
男「がふっ!」
男に361ポイントのダメージ!
カガミ「私がっ!」
カガミの攻撃!
男「ひぎぃっ!」
男に449ポイントのダメージ!
カガミ「一番っ!」
カガミの攻撃!
男「アッー!」
男に601ポイントのダメージ!
カガミ「アンタとっ!」
カガミの攻撃!
男「らっきー☆せぶん!」
男に777ポイントのダメージ!
カガミ「一緒に……一緒に……いたからだーっ!」
カガミの攻撃!
男「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO……ォゥッ!」
か い し ん の い ち げ き !
男に2098ポイントのダメージ!
男を倒した!
(=ω=.;)「……」
ミユキ「た……」
ツカサ「倒しちゃった……」
男「……」
カガミ「……本当に……バカ……」
男「……」
カガミ「現実っていうのがあるなら、わざわざこんなことしなくても良かったじゃない……!」
男「……」
カガミ「普通に私達と友達になって、こ、こなたと付き合えば良かったのよ!」
男「……」
カガミ「それなら……私だって……」
男「……あいにく、それは叶わない夢なんだ」
カガミ「え……」
男「お前にもわかるだろ。ラノベの登場人物は近いようで遠い……」
カガミ「……」
男「遥か頂きから見下ろし続ける……神様みたいなのもキツい仕事だよな」
カガミ「まさか……アンタ……」
男「ま、いいや。とにかくお前らはゲームクリア。戻してやるよ、現実に」
(=ω=.*)「やった! さすがに同人誌のない世界はちとキツい!」
ミユキ「えーと……現実世界での私はどんな私なんでしょう?」
ツカサ「ゆきちゃんは、案外不良じゃないかな?」
ミユキ「え……」
カガミ「……」
男「じゃあな」
カガミ「……ま、待って!」
男「……なんだ?」
カガミ「世界は……創られるって言ったわよね?」
男「あぁ」
カガミ「また……会えるの?」
男「……それは……『お前』次第だよ」
カガミ「……今の、私に言ったの?」
男「さぁな。とにかく……なんつーか……俺個人的には、その……お前のことは……」
カガミ「……」
男「……あー! もういい! どうせ覚えてねーんだ! かーえーれ! かーえーれ!」
カガミ「ま、待ってってば! 男! 男ーっ!」
(=ω=.)「ん……?」
みゆき「ふわ……」
つかさ「あふぅ……私達、何してたんだっけ?」
(=ω=.;)「なんだっけ? 変な夢を見てた気がするよ」
みゆき「あら? かがみさんは?」
かがみ「……」
(=ω=.;)「ベランダなんかで何してるんだろう? ま、まさか飛ぶ気!?」
みゆき「なっ!」
つかさ「だめー!」
かがみ「わっ。何よ、つかさ!」
つかさ「飛んじゃだめーっ!」
かがみ「……何を勘違いしてるんだ。飛ばないわよ」
つかさ「ほっ……」
かがみ「……ねえつかさ」
つかさ「ん?」
かがみ「空を、さ……」
つかさ「空?」
かがみ「見上げるのも、案外疲れるわよね?」
つかさ「首とかー?」
かがみ「……そうね」
(=ω=.)「おーい。二人ともー。何してんのさー?」
かがみ「なんでもないわよ!」
みゆき「泉さんと話してたんですが、どこかに遊びにいきませんかー?」
つかさ「だって。どうする? もうちょっとたそがれるー?」
かがみ「ううん。もう、大丈夫……。行こっか」
fin.
最終更新:2009年08月24日 13:38