「……そう、死んだの」
「……ええ。自殺、ということになっています」
「……ふん。あの化け物には相応しい死に方だわ」
「…………。
では、息子さんの亡骸はこの先に。
ご案内いたしま、」
「結構よ」
「……は?」
「だから結構よ。
それとあんなモノ。わたしの息子だなんて言わないでちょうだい」
「……そうですか。
では、書類手続きだけ―――カウンターの方で、お済ませください」
それに、彼女はふん、と不機嫌そうに鼻をならすと、高いヒールをツカツカ鳴らしながら部屋から去っていった。
「……ふう。
相変わらずね。あの親は」
まったく酷い親だ。
高貴な家の出だかなんだか知らないが、息子をああも他人扱いするなんて。
……まあ、確かに。
変わった症状の少年だったけど。
「男くん……か。
私には、普通のいい子に見えたけど」
主治医として長く一緒にいたから、情が沸いたのかもしれない。
……まあ、でも、あの安からな顔を見たら、あの子には、後悔はなかったのだろうけど。
「あなたには―――後悔が、あったのかしら」
そう、誰もいない中空に、私は一人、呟いた。
最終更新:2009年09月06日 14:47