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いじめとかって、お互いの気持ちの問題なんだと思う。


あやのの時も、私の時も、それは抜け出せない長いトンネルに感じた。
でも、あやのはみさおに、私は男に、光をもらって出口を見つけることが出来た。


あやのにとってみさおは友達。これからもずっと友達でいられるだろう。

私にとって男は………ずっと一緒に居たい。


私は男を尊敬している。
男は私の理想。私の無いものをたくさん持ってる。
尊敬が愛に変わっちゃダメ?



答えのない自問自答を繰り返して、私はふと我に帰った。

『やばっ!テスト勉強してない!』

私は慌ててテスト勉強を始めた。

こなたが学校を休んでいる。

『あの子…大丈夫なのかな?』

今回は自分もピンチなのに、ついついこなたの心配をしてしまう。

私にとってこなたは…男がもし居なければ、一番大切な友達だ。

今回はゴールデンウイークの宿題も見てあげてないし、どの程度理解出来てるのか分からない。

…でも男が教えたみたいだし、何とかなるかな?


こなたは結局、今週は学校に来ないみたいだ…心配だな…でも男に来たメール見るとお見舞いは迷惑かもしれない。

みゆきがこなたの為にノートを作ってあげたみたい。
よかった。テストは何とかなるかも。みゆきは男と同じくらい信頼出来る。


みゆきのノートを届けた夕方、こなたからメールが来た。

[メールがあります。送信元:泉こなた]

『…珍しいな…こなたからメールなんて…』

【from】
泉こなた
【タイトル】
無題
【本文】
土曜なのにごめんね。どうしてもかがみんに相談したいことがあるんだ。今から会えるかな?

【to】
泉こなた
【タイトル】
Re:
【本文】
あんた風邪はもういいの?
会うのは大丈夫よ。今から行っていい?

【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:
【本文】
うん、もうだいぶいいよ。来てくれるとうれしいな。ありがとう。



今日はつかさも家に居ない。たぶんどこかに勉強しに行ってるんだろう。
こなたの事は心配だったしお見舞いがてら行くことにした。



こなたの家。

そうじろう「やぁ、こなたの友達だね?お見舞いありがとう。」

かがみ「あ…お邪魔します。」

こなたの部屋。

こなた「やっ、かがみん。」

久しぶりに見るこなたの顔。いつも通りの顔だけど、何だか少しだけ元気が無く見えた。

かがみ「なんか元気ないわね。まぁ風邪だったんだから当然かな?」

こなた「…。」

こなたはなにも言わずに、少し笑っている。

かがみ「こなた…?」

こなた「…。」

かがみ「…。」

こなた「…かがみん。」

かがみ「うん。」

こなた「笑わないで、聞いてくれるかな…?」

かがみ「…うん。」

こなた「なにから話せばいいのかな?」


こなた「…あのさ…男の事なんだけどね…」


私の心臓が、その瞬間、見えない何かに掴まれた気がした。


こなた「誰にも言わないでほしいんだ…。」

こなた「あのね…男は私の幼なじみなんだよね…。」

かがみ「えっ?!」

こなた「たぶん…男は気づいてないんだ。忘れてるのかもしれない。」

こなた「私、中学に入る前に埼玉に引っ越してきたんだ。」

こなた「それまでは、すごく大切な友達だった。かがみんと同じくらい。」

こなた「ずっと…」

『ヤメテ…』

こなた「ずっと…」

『イヤ…』

こなた「好きだった…。」

こなた「あはは…変だよね?私がこんな事言うの。」


私は、心が破裂しそうだった。狭い部屋に入れられて、部屋ごと揺すられてるみたいだった。
…でもそれと同じくらい私の心を揺さぶるものがあった。

こなたが…涙を流している。
見たこと無い親友の顔。
こなたの『女の子』の部分。

『そっか…私にとって男は、こなたと同じくらい大切な人なんだ…。ただ単にこなたの性別が女の子で、男の性別が男の子だっただけ…。』

私は親友の頭を抱き寄せた。
私自身からも溢れそうな涙を抑えながら。


こなた「うぅっ…かがみん…かがみん…」


こなたは少し落ち着て、またゆっくりと喋り出した。

こなた「この間…見ちゃったんだ…」

かがみ「…何を?」

こなた「………つかさが…男と…手をつないで歩いてるとこ…。」

かがみ「えっ?!」

こなた「…つかさは…男と付き合ってるのかな…?」

かがみ「…」
私自身も予想外の情報に混乱しすぎて何も言えなかった。

こなた「…私ね…男が幸せなら…それでいいんだ…すごくつらいけど…。」

こなた「…だからね、男がつかさと付き合ってて、それで男が幸せなら、私男に昔の事とか言わないつもりなんだ…。」

かがみ「…あのねこなた。」

こなた「うん。」

かがみ「たぶん付き合ってないよ。」

こなた「…でも…」

かがみ「つかさの性格上、誰かと付き合うことになったら浮かれて私に報告すると思うわ。そうじゃなくても態度で分かるよ。」

こなた「うぐぅ…」

かがみ「…相手がつかさだからさ…応援はできないけど…」

こなた「うん…」

かがみ「…言わないで後悔するより、言って後悔した方がいいよ。」

こなた「…うっ…うっ…うわーん!!」


私の胸に抱き付いて泣きじゃくるこなたを、私はどうしたらいいんだろう…?
私の中に、こなたが、つかさが、渦巻いて、それでも男が輝いて…。



こなた「…かがみん、大好きだよ。男と同じくらい。私…がんばるよ。」

『私もそうだよ』
…心の中で呟いた。

家に着いた私は、いったいどんな顔してたんだろう?
運良く誰とも会わずに私は私の部屋に逃げ込んだ。

『明日は勉強教えて貰うつもりだった…』
『ありがとうって言うつもりだった…』
『でも、ダメね。』
『こんな気持ちで会えるわけ無いよ…』


私は男にメールをした。
涙が溢れてきた。
自分の言った言葉が、胸に刺さった。
「言わないで後悔するより、言って後悔した方がいいよ」




何も考えることも出来ずに日曜が過ぎ、私の前にある答案用紙は、授業の記憶をたぐり寄せた寄せ集めになった。

テストが終わった時、不甲斐ない自分がイヤで仕方なかった。

ふと目を上げると、飛び込んできたのはみんなの顔。
『大丈夫?』って言葉が刺さる。
みゆきの家で、私はみゆきに抱き付いて泣いてしまった。
あの時のこなたみたいに。

みんなはすごくいい友達。例え勝てそうもない試合のライバルでも。
代わる代わる慰めてくれる。

みゆきがみんなに聞こえないような小さな声で私を励ましてくれた。

みゆき「かがみさん、凄く辛いことも永遠ではないですよ。かがみさんが次に進もうとすれば、きっと道は開けます。」

家の前まで来た。

こなたは心配そうな顔で自分の家の方へ歩いて行った。

男もたくさん私に優しい言葉をかけて心配そうな顔で遠ざかる。

『かがみさんが次に進もうとすれば…』

かがみ「つかさ、ちょっと買い物してくるわ。」

つかさ「えっ?お姉ちゃん…大丈夫…?」

かがみ「大丈夫よ。散々泣いてすっきりしたわ。」

つかさ「うん…。無理しないでね?」

かがみ「ほんとに大丈夫よ。」


男の後ろ姿が近付いてきた。
ドキドキする。
走ってきたからじゃなく。


買い物の後、男の家で、男に抱き付いて泣けるだけ泣いた。
『私、ここのとこ泣きすぎだな…』
言いたい事、全部は言えなかった。
でも一つの決心が付いた。


『私も男に気持ちを伝える』

今はまだ無理かもしれない。
でも、必ず伝える。
でなきゃ私、心が壊れちゃいそうだから。

男の胸の感触が、甘く、痛く、まだ残っていた。

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最終更新:2008年06月30日 22:07