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「あ、おはようございます、黒井先生。あの……すみませんが、ちょっと風邪をひいたみたいで。今日、学校を休みたいんですけど……」

「おう、おはよう、男。なんや~、風邪やって?」

「はい、ちょっと熱っぽくて、あと喉も痛くて……」

「……お前も泉みたいにネトゲのやり過ぎで寝てなくて、サボろうしてんちゃうやろな?」

 ……つかさちゃんなら「一緒かよ~ッ!?」って言うところだな、ここ。

「いやいや、僕はまだその域には達していませんよ。本当に風邪なんです」

「あ~、いやいや、それならええんや。お大事にな!ただしネトゲやるなら、うちみたいに節度持ってやれよ!ほなな、ちゃんと寝えよ!」

 いや、あの人、最後まで俺のこと疑ってなかったか……?

 ってか、先生もネトゲやってんのかよ!?

「……まあ、ぶっちゃけ、仮病なんだけど」

 俺は学校に行ける状態ではなかった。

 いや、学校には行ける。

 でも、あの二人に会える状態ではなかった。



『それでも、私は……男が好きッ!』

『わたくし高良みゆきは、男さんのことが――好きです!』



 かがみと高良さん。二人のセリフが蘇る。

 リピート再生されている。

 ヘビーローテーションってやつだ。

 土曜日、かがみに告白されたのはもちろん驚いたが……

 それ以上に高良さんからも告白されたことに驚いた。

 まさかの大逆転。予想GUY……


 で、結局、昨日高良さんへした回答は、「返事はちょっと待って」だった。

 ニヤニヤ

 高良さんと駅で別れて家に帰ってくるまでの間、俺はニヤニヤしっぱなしだった。

 バスの窓に映る自分の顔を見て、初めて気づいたんだけど。

『うわ、きもっ!』って感じで。

 でも、そりゃそうだろう。

 二人の女の子から、ほぼ同時に告白されるなんて。

 ニヤニヤが止まらないぜ!

 なんというギャルゲ展開。

 こなたが聞いたら、テンションが上がりすぎて倒れるかもな。



 ――余裕かまして、そんなことを考えていたのは家に帰るまでだった。

 部屋で一人、生まれてこのかた最大のモテ期の幸福感に浸っていたわけだが……

 徐々に、複雑な気持ちになってきた。

 そう……

 やはり、ここはどちらか一方を選ぶべきなのだろう。

 男として、人として。

 こなたの好きなゲームの展開ならば「ハーレムエンド」なる選択肢もあるらしいが……

 ここは現実。
 そう、リアル。

 二股なんかして、『誠』みたいになるのは嫌だしな。

 あれはなんだったっけ?

  こなたに薦められたNice boat.ってゲームだったかな?



「かがみに高良さん……つまり、挟み撃ちの形になるな」



 恋愛経験が皆無ではないと言え、サッカーばっかやってたから、正直こういうのは疎いしな~、俺……

 結局、昨日一晩考えても答えが出なかった。

 そう言えば、高良さんにはかがみに告白されたことを言ってなかったな。

 別に秘密にするつもりはないんだけど、昨日はなんとなく言い出せなかった。


 ………



 容姿、スタイルともに完璧。こなた曰く『歩く萌え要素』。ちょっと影のあるところが逆に良い。そしてなにより、ほっとけない。自分をつい重ねてしまう高良さん――



 一緒にいると楽しいし、会話もテンポよく進む。普段のキツい所と、たまに見せるかわいらしくもしおらしい姿はまさにツンデレの王道、かがみ――



 ……

 よし――、





「ひとまず、寝るか」

 昨日徹夜で考えたんだ。

 とりあえず少し寝よう――

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最終更新:2008年07月05日 18:43