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『つかさと男が手をつないで歩いてた…!』

こなたは走った。
100mを12秒台の速度で走った。
家には何となく帰れなくて、行き着いた場所は柊家の神社だった。

人目に付かない社の裏側で、こなたは必死に考えた。

『男は…つかさと付き合ってるのかな…?』

『もう、全部遅かったのかな…?』

『私じゃダメなんだね…?』

辺りが暗くなっていた。

こなたは、夜の帳が降りてくるにつれ、自分の心がどんどん暗くなるのを感じた。

『男と、また昔みたいに一緒にいるって夢…』

『叶わない明日なんて…来なくていい…』

『もう…いいや…』

確信は無いけれど、明らかに自分が目にしたものが何度もフラッシュバックして、絶望的な感覚に襲われた。


女性の声「…こなたちゃん?」

こなたはびっくりして顔を上げた。

こなた「!!!…いのりさん?」

いのり「どうしたの?こんな時間に。」

こなた「ちょ…ちょっと休んでたら寝ちゃいましてー…」
『私、嘘下手すぎだな…\(=ω=.)/』


いのり「…あらあら、風邪引いちゃうわよー?」

こなた「あはははは…そーですね(この人つかさ以上だなー…)。」

いのり「じゃあ、途中まで一緒に帰りましょうかー?」

こなた「そーですねー。」
『しまった、流されてしまった…』



こなた家

そうじろう「遅いぞー!今日は一緒にXXやるって約束したじゃないかー!!」

こなた「…今日はパス。」

そうじろう「そっ…そんなぁ…」


自分の部屋のベッドに倒れ込む。

『全く…おとーさんは乙女心分かってないなー(=ω=.#)』

『おかーさんは、おとーさんのドコがよかったんだろ…?』

『おかーさん生きてたら、こんな時相談出来たのかな…?』

『おかーさん…何で死んじゃったんだろ?』

『おとーさんに聞いても、病気としか教えてくれないし…』

『明日学校行きたくないなー…』

『明日、つかさと男が手つないで学校来たらどうしよう…』

『…ずっと好きだったんだけどなー…』

『…おとこ…』


こなたが翌朝目が覚めると、頭がガンガンしてノドが痛かった。

『ちょいどいいや…今日は学校行かないで済むなぁ…』

こなたが次に目を覚ましたのは昼過ぎだった。

そうじろう「おっ!目、覚めたか?学校には連絡しといたから、ゆっくり寝てなさい。」

こなた「うん、ありがとう。」


少しまどろみかけた頃、男からメールが来た。

こなた「…大丈夫か?…今日みんなでお見舞い行こうか?…」

こなた「…いいよ…男と…つかさに会うのが…怖いよ…」

布団に横になって天井を見ていると悪い想像ばかりがよぎる。

泣いてる姿を誰かに見られたくなくて、こなたは掛け布団を顔まで被り目を閉じた。

次の日も、また次の日も、男からメールが来た。

こなたは男の優しさが痛かった。

『…つらいよ…』

『…一緒に居られないなら優しくしないでよ…』

『…もう…メールなんかしてこないでよ…』

男からメールが来る度、こなたは涙がぽろぽろ零れた。

金曜の夜、熱は下がったが、土曜日も学校に行く気にはなれなかった。

ベッドの中で丸まって、無理して目をつぶっていると、そうじろうの声がした。

そうじろう「おーい、こなた大丈夫か?」

こなた「…」

そうじろう「友達が郵便受けにノートを入れてってくれたみたいだぞ。」

こなた「…うん。」


こなたは引きずるようにベッドから出てノートを受け取った。


こなた「みゆきさんからだ…」

ノートを開くと、紙が一枚床に落ちた。

こなた「ん?」

拾い上げると、そこにはお手本のような整った字でこう書いてあった。

『こなたさん、風邪の方は大丈夫ですか?男さんへのメールを見る限り熱が高いとのことで心配です。栄養のあるものを食べて体を温かくしていてください。このノートは先生が重要と仰った所だけをまとめたので完全ではないかもしれませんが、もし体調が回復してきたら見るといいかと思います。わからない事があったら、私や、皆さんに聞いてください。最後に、もし悩んでいることがあるなら一人で抱え込まずに誰かに相談するといいと思いますよ。一人では出せない答えが、友達に話すと、意外とあっさり導ける時もあります。それではお大事に。』

こなた「はー…みゆきさんにまで迷惑かけちゃったなー…。」

こなた「…にしても、みゆきさんは鋭いなー…。」

こなた「…友達に相談か…」


こなたは、また少しベッドの中でまるまると、ゆっくりケータイを取り出してメールを打ち始めた。

【to】
かがみん
【タイトル】

【本文】
土曜なのにごめんね。どうしてもかがみんに相談したい事があるんだ。
今から会えないかな?


こなたは、かがみが来るまでの間目を閉じて、最初に何て言おうかと考えていた。


いろいろ考えたが、親友の顔を見て最初に出た言葉は、いつもと同じ
『やっ、かがみん。』
だった。

気がつくとこなたは、かがみに抱きついて泣いていた。
もうたくさん泣いたはずなのに、親友の優しい言葉と、親友の告げた事実で、泣き疲れたはずのこなたの目にまた涙が溢れていた。

こなた「かがみん、私…がんばるよ。」

決意を口にした。
かがみは何も言わず微笑んだ。

こなたの決意は、苦しんで、傷ついて、やっと辿り着いたものだった。

『私は男が好き…。私は…怖いけど…勇気を出して言う。』
『例え男が…私を選んでくれなくても…』
『…私の正直な気持ちをぶつける…。』
『ありがとう…みゆきさん、かがみん…。』


日曜日。
こなたは意を決して男にメールした。

十数分後、男が息を切らして家に来た。

『急いできてくれた…』
こなたは、なんだか久しぶりに見る愛しい人を見て、第一声は、その名前を呼ぶことしか出来なかった。

他愛ない会話が愛しい。
自分の病気を心配してくれる男が愛しい。

こなたは、今にも男に抱きついて泣いてしまいそうだった。
その気持ちをぐっと抑えた。

『男…テスト後に…好きって言うよ?』


男が帰った後、みゆきのノートを必死に覚えた。

テスト終了。

泣きじゃくるかがみんは、ちょっとかわいかった。

『かがみんも泣くんだなぁ…』

『もしかしたら…この間私が泣いたから、かがみんの事混乱させちゃったのかな…』

『だとしたらゴメンかがみん…。』


土曜日。
窓を開けて部屋の空気を入れ換えるこなた。

『…男と遊びたいなぁ…』

『男、今何してるのかなぁ…』

『…久しぶりにネトゲーするか…』

パソコンに向かって画面をじっと見つめる。

『おぅおぅ…こんな時に限ってレア情報ですか…』

『…新しい洞窟?』

気づいたら日曜日もずっとネトゲーをしていた。
テストはみゆきさんのおかげで何とかなった。
うん、やっぱりみゆきさんには頭が上がらないねー

かがみんは…まぁいつもよりは悪かったみたいだけど、補習はなさそう。よかった。

あーあ…
男に早く言わなきゃ…
それは分かってるんだけど最初の一歩が踏み出せないよ…
ダメだなー私…。


迷っているこなたの背中を押したのは、紛れもない男からのメールだった。

【from】

【タイトル】
突然なんだけどさ
【本文】
今からちょっと会わない?消化したゲーム返すから。


メールが終わった時、こなたは走った。
今度は100m11秒台は出ていただろう。

こなたは一回深呼吸して、男の家のチャイムを押した。

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最終更新:2008年06月30日 23:49