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 ディスプレイに表示された『泉こなた』の文字に俺はちょっとだけほっとした。

 今のところ、こなたは蚊帳の外。

 俺の悩みの射程距離外にいる。

 ピッ!

「もしもし?どした?こなた」

「やーやー、男!早速CLANNADやってくれたかな?」

「……まだ、お前らが帰って30分くらいしかたってねえんだぜ?」

「部屋に入ったら、まずPCの電源を入れる。これ基本」

「……ごめん、今そんな気分じゃねーんだ」

「……男?どしたの?風邪がひどくなった?」

「風邪?……ああ、今そういう設定だったな……」

「設定って……ちょ!男!?」

「ああ、ごめん。今のは聞き流して。……それよりちょっと相談したいことが……」

 そこまで言って、俺は我に返る。

 つい、勢いで言っちゃったけど、こなたに相談して、大丈夫なのか!?

 あの四人の中では、俺が今抱えている問題から一番遠い存在だとはいえ、

 まったく無関係なわけでもない。

 一番関係が薄いのにもかかわらず、四人の関係が壊れてしまった時は被害を受けてしまう。

 そう、ある意味一番の被害者になりうる存在だ……

「なになに?相談って?前に貸したゲームの攻略?」

「あ……いや……えと……あ!そうそうゲームの話といえばゲームの話なんだけど……」

「何でも聞きたまえ!」

「……ハーレムエンドってリアルでもありうると思う?」

「はあ?なにそれ?」

「いや、だから……深い意味はないんだけど。ほら、ゲームでは一つはそういうエンディングになってたりするんだろ?女の子の目から見てそういうのありうるのかな?って思って……」

「いや、まあ、ゲームでは良くあるけどさ……あのスクールデイズにもハーレムエンドはあるし……」

 スクールデイズ?

 ……ああ、nice boat.のことか。

「……でも、リアルではさすがにダメでしょ?なんというか、人として軸がぶれてるよ、それ」

「……やっぱ、そうだよな」

「まあ、私にリアルのこと聞かれても、って感じだけどね~」

「……じゃあ、さ。ゲームでは、女の子が友達同士で同じ男、つまり主人公を好きになること多いじゃん?」

「うん。そだね」

「ゲームでは、その人間ドラマっつーか、ドロドロ感っつーか、そんなのが楽しいわけだけど。それもやっぱ、リアルだとキツいもんがあるよな?」

「まあ、リアルでも、見てる分には面白いんだけどね」

「……そーすか」

「でも、自分が当事者になったら大変かもね~
 例えばさ、ドジっ子ってさ、見てる分には萌えるじゃん?」

「ん?おお、そうだな」

「でも、リアルで実害を被ると案外イラッとくるものなんだよね~」

「ああ~そうかもな」

「だから、私もバイト先ではその辺に気をつけて真面目に働いてるわけよ」

「……ああ、こなたはバイトしてるんだっけか。コスプレ喫茶だったっけ?」

「そうだよ、ハルヒコスなら任せたまえ!まあ、それはともかく、私のドジっ子理論で考えると、ゲームでやってる分にはいいけどリアルだとキツいもんがあるかもね」

「だよな~」

 ハーレムエンドは無しだな。

 まあ、そんなことは、こなたに聞くまでも無いことだが。

「……でも、なんでそんなこと聞くの?」

「へ?」

「だから、なんでそんなこと聞くの?」

「い、いやなんつーのかな?オタク師匠であるこなた様はその辺の、ゲームとリアルとの間の越えられない壁についてどうお考えかなと思って。単なる興味本位です」

「………」

「……?こなた?」

「男……何か、私に隠してない?」

「!?い、いや……別に……」

「……嘘だよ」

「ど、どうして、俺が嘘なんかつかなきゃならないんだよ?嘘なんかついてな――」



「嘘だッ!!!!!!!」



「………ッ!?こ、こな……た……?」






 嫌な汗が背中を流れる……

 そのとき俺は、こなたにこの話を振ったことを……少し後悔した。

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最終更新:2008年07月05日 18:47