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~長野県某所~ 京太郎「て、照さん?」 照「え……きょ、京ちゃん?」 京太郎「はい! 京太郎です。須賀京太郎! いや~お久しぶりです。3年ぶりくらいですか?」 照「うん、それくらいになる。久しぶり、須賀君」 京太郎「須賀君なんてよして下さいよ。昔みたいに『京ちゃん』でいいですって!」 照「そ、そう? ならそう呼ばせてもらう」 京太郎「でもどうしたんですかこんなところで? 今は東京にいる筈じゃ……」 照「実家の方にあるはずのものを取りに帰って来ただけ。すぐに向こうに戻るつもり」 京太郎「そうなんですか……それにしてもホントに偶然っすね」 照「うん、でも京ちゃんだってすぐに気付かなかった。昔は私より背が低かったのに、京ちゃん凄く背が高くなって。というかよく私だって気付いた(小さい頃の京ちゃんの写真見てても気付かなかったのに)」 京太郎「照さんよくテレビに映ってるじゃないですか」 照「あ、それもそうか。っていうか見てたの?」 京太郎「そりゃあ見ますよ! なんたってあの照さんが麻雀で全国一位なんですから! 雑誌とかも照さんの特集とかやってたら必ず買いますし、テレビも録画してでも見てます!」 照「そうなんだ……ありがとう」 京太郎「いや、別にお礼を言われるようなことじゃ」 照「それでも、知り合いに見てもらってるって知ったら俄然やる気が出るものだから」 京太郎「そうですか、じゃあこれからもずっと見ときますよ。そんで応援しますから」 照「うん、ありがとう」 照「京ちゃんはどうしてこんなところに? 家からちょっと離れてるけど」 京太郎「いやぁ、はは。普段なら土曜も麻雀部の部室にいるんですけど……」 照「京ちゃんも麻雀やるようになったの? どこの高校?」 京太郎「清澄です。清澄高校麻雀部。まぁでも弱いし、男子部員俺一人ですけどね」 照「そうなんだ。でも、どうして部活してないの?」 京太郎「女子が皆合宿に行っちゃって一人なんですよ。部室に一人だけでいても仕方ないんで」 照「……連れていってもらえなかったんだ」 京太郎「言い訳させてもらうと女子だけの四校合同合宿なんですよ。だから別に俺がはぶられてる訳じゃない……はず」 照「女子だけの合宿ということは今咲もいないんだ」 京太郎「咲も合宿に行ってますけど……やっぱりまだ」 照「うん。まだ、ね」 京太郎「そうですか……早く仲直りしてあげて下さいよ」 照「善処する」 京太郎「それしない時の常套句じゃ」 照「善処する」 照「あ、そうだ。これから時間ある? 折角だから一緒に食事でもしない?」 京太郎「え、いいんですか? ならご一緒させてもらいます! ちょっと行ったとこにおいしい店知ってるんですよ」 照「じゃあそこに行こう」 ~喫茶店~ 店員「いらっしゃいませ~何名様ですか?」 照「二人」 店員「こちらのお席へどうぞ」 照「好きな物を頼んでいい。私が払うから」 京太郎「いや、俺が奢りますよ」 照「私の方が年上なんだから私が払う」 京太郎「なら俺だって男です、女性に払わせるわけにはいきませんよ。ちょっとくらい格好つけさせてください」 照「……そう、じゃあお願いする」 照(京ちゃんたらすっかり男の子になっちゃって。それにこんな愛想のない私を女性としてみてくれてるんだ。嬉しいな) 店員「ご注文はお決まりでしょうか?」 京太郎「あ、はい。俺はこのBセットランチで」 照「私はAセットで」 店員「AセットとBセットが一つずつですね。かしこまりました」 京太郎「東京の方の生活はどうですか?」 照「ん、特に問題はない。最初は少し戸惑ったけど今はもう慣れたし」 京太郎「迷子になったりしませんでしたか? 照さんも咲もすぐ迷子になるから……あ、もしかして今でも迷子になったり」ハハッ 照「……」ギロ 京太郎「え、あの、まさかホントに……」 照「………………」 京太郎「あの、なんかすんませんでした」 照「はぁ、京ちゃんは変わらないな。そういったところは」 京太郎「そういう照さんは少し変わりましたね」 照「そう?」 京太郎「昔はもっと快活っていうか、もっと笑ってた印象があったんですけど」 照「……これでも白糸台の代表だから。このほうが威厳が出るかと思ってポーカーフェイスを心がけてたんだけど、いつの間にかこっちが地になって。やっぱり変?」 京太郎「いや、そんなことないっすよ!むしろクール系美人って感じでいいと思います!」 照「び、美人……」カアァ 京太郎「あ、す、すいません!そんなつもりじゃ……」 照「///」 店員「AセットとBセットお持ちしました」 「「は、はい!」」 店員「ご注文は以上でよろしいですか?」 京太郎「あ、大丈夫です、はい」 店員「では、ごゆっくりどうぞ」ニコ 京太郎「ビックリした~」 照「京ちゃんが変なこと言うから……」 京太郎「申し訳ない……」 照「……」 京太郎「? どうかしたんですか?」 照「いや、あの店員から見たら私達はカップルにでも見えたのかなって(妙にニコニコしてたし)」 京太郎「カ、カップル!?」 照「え、あ!? 何でもない! 今のは周りから見たらって話で……」 京太郎「そ、そうですよね。俺なんかじゃ照さんと釣り合いませんもんね……」ハァ 照「そんなことない!」ガタン 京太郎「えっ……」 照「い、いや、今のも何でもない! 何でもないの!!」ダッ 京太郎「え、あの! ちょっと! ……行っちゃった」 照「ハァ、ハァ……」 照(つい飛び出してきてしまった) 照(あ~もう絶対変な人って思われた……まだ京ちゃんともほとんど話せてなかったのに) 照(うん、今からでも戻って連絡先くらい聞いて……いや、駄目だ。今更恥ずかしくて会いに行けないよ) 照「ハァ……」 照「……また、会う機会もあるよね」スタスタ ~翌日:インタビュー会場控室~ 照「ふぅ」 照(昨日長野に帰って正解だったな) 照(咲は合宿でいなかったし、実家に置いてあった京ちゃんの写真はちゃんと回収できたし) 照(何より京ちゃん本人と会えた。途中で帰っちゃったし、連絡先も聞けなかったけど。京ちゃんが私のことを見てくれてるってわかったのは嬉しかった) 照「おい、照。そろそろインタビューが始まるぞ」 照「ん、わかった」 ~インタビュー会場~ 照(カメラがいっぱい……緊張するな) 照(でも、きっと京ちゃんも見てくれてるはず) 照(なら強張った無様な顔なんて見せられない) 記者「史上初の三連覇が見えてきましたが、何か意気ごみを!」 照「三連覇は私達の~~……」

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