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h6-6 - (2012/08/01 (水) 07:05:13) の1つ前との変更点
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ある夜に、俺こと、須賀京太郎は地区大会で見た染谷先輩のメガネ無しの顔がどうしても見たくなった。
初めて見た時に思ったこと、それは『可愛い』ということに他ならない。
普段大人びているというか、ちょっと達観してるというか…、そんな先輩は普段はどちらかといえば、綺麗という印象だったのだ。
が、メガネを外した染谷先輩は、そんな印象どこ吹く風、本当に可愛かった。
メガネとつけている時、外している時でこうも違うとは…、ギャップ萌えである。
あの時は、染谷先輩を見て思わず『ギザカワユス』とつぶやきそうになった。
というか、若干口に出してしまった気がする。
部長が怪訝そうな、というか変質者を見るかのような目で見ていたのを思い出す。
染谷先輩は優しい。
雑用ごとをやり終えた後、よく礼を言ってくるし、恩返しのつもりなのかはわからないけど、ジュースを奢ってくれることも。
麻雀について一番アドバイスを求めているのは、染谷先輩かもしれない。
咲は直感って感じだし
和は俺にどことなく距離を置いてるし
優希はからかってくるし
部長は雑用をさせようとしてくるからだ。
まぁ、雑用することに関してはなにも問題はないのだが、麻雀を聞こうと思った出端に雑用を任せてこられては困る。
そんなわけで、俺には染谷先輩が一番聞きやすい+わかりやすいような気がするのだ。
こういう優しさは先輩のいいところだと思う。
『あの人の髪ってワカメみたいじゃない? 緑だし』
そんなことを赤の他人から言われているのを聞いたときは、思わず殺意の波動に目覚めてしまったほどだ。
あの水につけると増えそうなところがいいんじゃないか!
まったく、本当に染谷先輩の魅力を何もわかっちゃいない。
それにあの若干ウェ~ブが掛かってる髪。
今はショートカットだから、世間一般にはいまいちと思われてしまうかもしれないが(もちろん俺は好きだけど)、もし髪を伸ばしたと考えてみてくれないか。
グッと大人っぽくなる。
大人な染谷先輩…………。
…ヤバイヤバイ、トリップしそうになった。
正直、今一番気になってる女子かもしれない。
これって…、恋かしら?
とまぁ、そんなわけで冒頭のような考えに至った俺は、染谷先輩に大事な話があると呼び出したところ、優しい先輩はホイホイ俺に会ってくれることになったのだ。
……………
………
京太郎「夜遅くにすみません、染谷先輩…。 わざわざ呼び出してしまって。」
まこ「構わんわ。 それで、なんじゃ京太郎、大事な話って…?」
京太郎「その…、俺、どうしても染谷先輩にお願いしたいことがあるんです」
まこ「ほう、お願い? 内容にもよるが、可愛い後輩のお願いじゃ聞かんわけにはいかんな」
京太郎「ありがとうございます!」
まこ「ほれ、言ってみぃ」
京太郎「あー…、でも恥ずかしいなぁ…」
まこ「なにを恥ずかしがっとるんじゃ」
京太郎「もしかしたら引かれるかもしれませんし…」
まこ(ふむ。 夜な夜な呼び出されて、お願いごとがあるという。)
まこ(その上、言うのが恥ずかしくて、聞かれたら引かれるようなこと…?)
まこ「…ッッ!! まさか…、エ…エッチなお願い…なのか…?」
京太郎「…は?」
まこ「きょ、京太郎! それは流石にデリカシーがなさすぎると思うんじゃが!」
まこ「わし…、そういう経験があるわけじゃないしのぅ…」ゴニョゴニョ
京太郎「あの~…」
まこ「だから、スマン! わしは、ぬしのお願いごとは聞けそうにない!」
まこ「よくわからんが、そういうのは部長のほうが聞いてくれそうな気がするから、そっち当たってくれぃ!」
京太郎「なにか誤解されてますよね」
まこ「ひょ?」
京太郎「俺、別にそういうお願いごとをするつもりではないですよ」
まこ「なんと!?」
京太郎「流石に、そんなこと言ってたら俺ヤバイ人じゃないですか…」
まこ「いつも和の胸を見て妄想しているヤツがよく言うの…」
京太郎「それはほっといてください」
京太郎「コホン…。 とにかく俺がお願いしたいのはそういうことじゃないので、安心してください」
まこ「…!! じゃあわしの勘違い!?」
まこ「うぅ…、は…恥ずかしいのぅ…」
京太郎「ギザカ…」(ギザカワユス)
まこ「なんか言ったか?」
京太郎「い!いえ! なんでも!」
京太郎(あぶねー! やっぱ俺、思ったこと口に出しそうになるな…)
まこ「…で? 結局お願いってなんなのじゃ?」
まこ「わしだって恥ずかしい思いしたんじゃから、ぬしも恥ずかしがっとらんと言ってみぃ」
まこ「恥ずかしいのは一緒じゃ」
顔を若干赤らめている先輩!!
いや、正直暗くてあんまりハッキリとは見えないんだが、そんな感じな気がする!
なんぞ…、なんぞこりゃああああ!!!!
まこ「おい?」
京太郎「はっ!」
まこ「言いたくないならそれでもいいんじゃが…」
まこ「でも、どうしても聞いて欲しいお願い事があったから呼び出したんじゃないのか?」
まこ「さっきも言ったが、可愛い後輩の頼みじゃ。 話くらい引かずに聞いたる」
まこ「話してみぃ」
京太郎「わかりました…」
京太郎「こんなこといって、変なふうに思われるかもしれませんが、ハッキリ言います」
まこ(随分重々しい感じじゃの)
まこ「………」
京太郎「…その、メガネを外した顔を俺に見せてくれませんか!?」
まこ「は?」
まこ「……は?」
まこ(聞き間違いか?)
まこ「もう一回言ってくれ」
京太郎「メガネを外した染谷先輩が見たいんです! お願いします!」
まこ「別にいいけども…」
まこ「そんなことを言うか言わないか迷ってたんか?」
まこ(はぁ…、なんか気ぃ抜けたわ…)
まこ(京太郎のこと心配したのがアホみたいじゃの)
京太郎「そそそ、そんなこと!!??」
まこ「いや、だって、メガネを外すだけじゃろ?」
まこ「そんなん、大したことじゃないしの」
京太郎「本当にいいんですか?」
まこ「構わんわい」
スッ…
まこ「どうじゃ? ヒヒッ、可愛いかのぅ? メロメロか~?」
まこ「ほれほれほれ~」
神よ、感謝します…
この可愛い女の人が俺だけを見てくれている。
そう考えるだけで涙が自然と溢れてくる。
まこ(うわっ、なんじゃコイツ…、泣いとる)
可愛いか?メロメロか?
そんなの決まってるじゃないか…。
京太郎「ハラショーーーーーー!!!!」
まこ「!?」
京太郎「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
まこ「は…はぁ?」
京太郎「これで今夜はぐっすり眠れそうです!!」
まこ「そりゃよかったの…?」
京太郎「ハイ!!」
京太郎「あ、一緒に写メ撮ってもらっていいですか?」
まこ「いや、遠慮しとく…」
京太郎「わかりました! ありがとうございます!」
まこ「おーい、落ち着きんしゃい…」
まこ「深呼吸ー」
まこ「吸って~」
京太郎「スー」
まこ「吐いて~」
京太郎「ハー」
まこ「落ち着いたか?」
京太郎「はい…、取り乱してすみません」
まこ「一体なんだったんじゃ?」
京太郎「あぁ、いえ、そのー…」
まこ「なんか、からかわれてるようで嫌なんじゃが…」
京太郎「い、いえ! そういうつもりじゃ!!」
まこ「じゃあどういうつもりだったんじゃ…?」
京太郎(どうすんべ)
京太郎(こんなもん、正直に言っても引かれること間違いなし)
京太郎(でも、このままごまかしても染谷先輩に悪いことをしているような気がする)
京太郎(……正直にいう他ないか。 それで引かれることになっても)
京太郎「染谷先輩が可愛いから、だからメガネを取った姿を見たかったんです」
まこ「え?」
京太郎「初めて見たのは、地区大会の時だったんですけど、その…ひと目惚れっていうか」
まこ「は?」
京太郎「いえ、誤解しないで欲しいのは、メガネを取った姿だけが魅力的だとかじゃないんですよ」
まこ「んん!?」
京太郎「メガネをかけてる姿も、とてもお綺麗ですし、最近は和よりも染谷先輩をよく見ていますし…」
まこ「ちょ!! ちょっと待て!!」
まこ(ど、どういうことなんじゃこれは…)
まこ(いまいちよくわからん。 コイツはわしのことが好きなのか?)
まこ(え? え? 可愛いって? 綺麗って??)
まこ(わしが?)
まこ(咲や和や優希や部長じゃなく?)
まこ(……こんなこと言われたの初めてじゃ)
まこ「か…! からかうのはやめい!」
まこ「わしゃ年上じゃぞ!? 先輩なんじゃぞ!?」
京太郎「からかってなんかいません!! 染谷先輩はとても素敵な方ですよ!」
まこ(あ…、あう…)
まこ(頭がこんがらがってきた)
まこ(ほっぺが赤くなってる気がする)
まこ(心臓の鼓動が速くなってる)
まこ(体が熱い)
まこ(あぅぅぅ…!!!)
まこ「そ!!!そうか!! ありがろううう! じゃあの~~~!!!」
まこ(噛んだぁぁぁ!!)
ダダダダダダ
京太郎「あぁぁ~~~!!! 染谷先輩いずこへ~~!!!!!!」
その次の日、学校で顔を赤くしながらギクシャクする2人だった。
咲「あやしい」
和「あやしいですね」
優希「あやしいじぇ」
久「あやしいわねぇ…」
京太郎「なんでもないです!」
まこ 「なんでもないわい!」
久「あなたたち、息ぴったりね」
終わり
ちょっとした続き
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ヒソヒソ
久「ねぇ、あれ、どう思う?」
咲「なんかドギマギしてるというか、普段とはやっぱり違いますよね」
優希「お互いが意識しているようにみえるじょ」
和「私にもそう見えます」
久「まこにもようやく春が来た…かな?」
咲「そういえば、私達ってそういう話がほとんどないですよね」
優希「む? そういう話とな?」
咲「恋愛というか~…、なんか、そういう甘酸っぱい話だよぉ」
和「確かにそうですね。 実はお付き合いしてたりする、なんて人はいないんですか?」
久「私はないかな」
優希「右に同じだじぇ」
咲「わ、私も…」
和「そういう私もそうです」
久「好きな人もいないの?」
優希「私とタコスは両想いだじぇ!」
和「あんまり異性を意識したことはないんですよね」
咲「わ、私も…。 というか、男の人とお話したりっていうのがあんまり」
久「そうねぇ…、私もいろいろと忙しいから…」
咲「恋愛小説のようにはいきませんね」
和「華の高校生なんですけどね」
優希「でも、それでも寂しくない辺り、それが余計に虚しいじぇ…」
久「私なんて今年卒業よ…」
久「はぁ…」
咲「はぁ…」
和「はぁ…」
優希「はぁ…」
久(でも、あえて言うなら須賀くんとか?)
久(うん、悪くないんじゃないかしら。 見た目も中身も…)
久(あれ? そう思うとなんだか…)
優希(んー、あんまりそういう恋愛的な面では意識してなかったけど)
優希(私のこと一番わかってくれてるのは京太郎かもしれないじぇ)
優希(なんだかんだ言っても、いつもワガママ聞いてくれるし…。 あれ? なんだか…)
和(男の人は正直苦手です。 いやらしい目で見られたりしますし…)
和(でも、須賀君とは普通に話せるんですよね…。 ん?これって…)
和(いやいやいや!! そんなオカルトありえません! ただ部活の仲間な…だけです…よ?)
咲(よく考えたら、私が家族以外の男の人と話すのって、本当に京ちゃんくらいかも)
咲(あっ、そう考えたら、京ちゃんってもしかしたら私にとっての白馬の王子様なのかも…♪)
咲(なんてね。 でも、もし本当に告白されたら、きっと私は…。 って、これって私京ちゃんを…?)
久(本当に魅力的に見えてきたわ)
優希(ま、まさか私が犬に対してそんな…)
和(そんなオカルトありえない…はず)
咲(あぅ、なんだかまともに京ちゃんの顔見れなくなってきたよぉ)
終わり
その後なんやかんやあって、無事結ばれた後のちょっとした話
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エイスリン「キョタロー! ナニ!? このcosplayは!!」
京太郎「それは俺がデザインした、天使のコスプレだ」
エイスリン「ウー…」
京太郎「…着てくれないのか?」
エイスリン「…バカ。 そんな目で、頼マレタラ、断レナイヨ…」
京太郎「エイスリーン!!! カワイイよ! 天使だよー!!!」
エイスリン「キャー! キョタロー!?」
終わり
……………
………
咲「ふーん、京ちゃん…。 ああいうのが好きなんだ…」
咲「じゃあ、私はお姫様になるよ…。 きっと…、迎えに来てくれるよね…?」
咲「フフフ…、アーーーーッハッハッハ!!!」
京太郎「こら」ペシ
咲「あう…。 きょ、京ちゃん!?」
京太郎「何いってんだお前は」
咲「最近流行りのヤンデレっていうのをやってみただけー!」
咲「はい、これお裾分け。 エイスリンさんと一緒に食べてね」
エイスリン「ワー! アリガトウ、咲チャン!」
咲「いえいえ」
咲(京ちゃんと私が結ばれなかったのは悲しいけど、でも、幸せそうな二人を見てるだけで暖かくなれる)
咲(むぅ…、でもエイスリンさん本当に羨ましいなぁ。)
咲(本当にお姫様のコスプレしちゃおうかな?)
咲(なんてね♪)
今度こそ終わり