何も着ていない二人が絡み合うのを見た瞬間、彼女は何かが自分の中から込み上げてくる事を感じた。 それは京太郎への恋心。 姉への姉妹愛。 姉を彼に盗られたという嫉妬。 彼を姉に盗られたという嫉妬。 そんなもののような気がするし、ただの生理現象のような気もするもの。 喉の奥が少しツーンとして、喉が内側の皮膚から緩やかに焼かれるような感覚をおぼえてから、彼女は 元の形を失くした、昼に彼に作ってもらった昼食のパスタだったものを吐く。 心がグチャグチャで。 それでも吐いたとき特有の疲労感と、誰かが吐いたとき特有の生臭いような、酸っぱいような臭いは鮮明に感じ取れて。 もう一度二人の方を見ると、そんな自分には全く気付かずに続ける二人がいて。 いつの間にか自分が気づかない内に瞳から何かがこぼれていて。 欠片も思考が纏まらない状態で脳裏に思い浮かぶのは、小さい頃に京太郎と一緒に、姉をいじめる男子を姉に悟られない様に近づけないようにして。 姉が寒さから駆け足で家に帰ろうとしている後ろで、彼に手を引かれながら 「俺と一緒にこれからも二人で宥姉を守っていこうぜ。玄。」 そんな風に自分の方が年上なのに。いつも自分の事だけは呼び捨てで。一番距離の近かった小さい彼と小さい自分。