久「というわけであなたには麻雀武者修行に出てもらうことになったわ!!」 京太郎「何がというわけだよッッッ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 京太郎「てな理由で来ました、須賀京太郎です」ペコッ 菫「おお、すまないな遠路はるばる……元部長の弘世だ」 京太郎「え、受験とかは大丈夫なんですか?」 菫「これでも推薦の来ている身だ、だからこうして大手を振って部活の様子を見に来れる」 京太郎「なるほどです、それで今回俺は何をすれば?」 菫「そちらの部長さんから……あー、あまりいい内容ではないが……君を鍛えてやってほしい、と言われているのでな。ひとまずはうちの2軍あたりで卓に入ると良い。私も様子を見よう」 京太郎「いえいえ。名門白糸台の2軍だなんて俺からすれば憧れですよ! じゃあ早速打ってきます!」 菫「ああ。……確か照の知り合いだったか、あいつもそろそろ来るが、やれやれ」 菫(白糸台で鍛えられる初心者なんて初耳だ。心が折れてしまわないか心配だが、やはり3軍4軍に入れるべきだったか?) 京太郎「ロン、8000」 女子「はぃ……」 菫(なにこれめっちゃつよい) 京太郎「さあ、まだまだ行きますよ」ゴゥッ 菫「な、なぁ、対局中にすまないが、君、初心者じゃなかったのか? 少なくともそう連絡を受けているんだが……」 京太郎「? ええ、それでお恥ずかしい話、部内で全然みんなの相手になれなくて。少しでも腕を上げるために武者修行に出されたんですよー」アハハ 菫(初心者? これが? うちの2軍ハコらせてるのに? いやいやいや……清澄はどうなってるんだ、猫だと思ってたら猛虎だったぞ) 京太郎「仕方ないでしょう? いつも勝てない、いつも負ける。俺はそれぐらい""弱い""んですから」 照「負け犬根性の染み付いた京ちゃんのオーラがした」バン! 菫「照!? お前いつの間に、あと言ってることひどくないか?」 照「残念だけどここじゃ京ちゃんの相手はできない。今度こそ咲より私がいいって言わせてみせる、虎姫の部屋においで」ゴッ 菫「今ので大体人間関係把握できたんだがそれを麻雀で決めるのはおかしくないかオイ」 京太郎「俺如きが虎姫の部屋になんて恐れ多いですよ……でも、照さんとは久々に打ってみたいですね、多分ボコられますが」 照「前より強くなったね。でも、負けてあげないから」 菫「私とて負けるつもりはないが……いやこれ初心者じゃないだろ……どうなってるんだ……」 っていう清澄とかいう魔物の巣窟の中で麻雀力の価値観が完全崩壊した京ちゃんください -------------------------------------------------- 淡「ねーねー、なに読んでんのー?」 京太郎「教本だよ教本。いつまでも初心者じゃいられないからな」 淡「ふーん、つまんないの」 京太郎「わかったら向こういってろ。しっしっ」 淡「むぅ、私より麻雀弱いくせにー!」 京太郎「あだだっ! 噛みつくな!」 淡「ふんっ、もう帰る!」 京太郎「いてて……なんだよあいつ」 尭深「大丈夫?」 京太郎「見てくださいよ、この歯型」 尭深「腕にくっきり……すごい痛そう」 京太郎「制服越しでこの威力……やつの顎の力は化け物並ですよ」 尭深「さすがにそれは言い過ぎだよ。淡ちゃんも女の子なんだから」 京太郎「いーや、あいつは宮永姉妹とかと同じカテゴリーですよ」 尭深「宮永先輩だって女の子だと思うんだけど……(姉妹……?)」 京太郎「やつらは常識を超越したポンコツたちですよ? でなければ、毎回迷子になって捜索隊が組まれるなんてことはありえません」 尭深「あ……わ、私ちょっとお茶淹れてくるねっ」 京太郎「先輩? って行っちゃったか……さて、俺も少し休憩に――」 照「京ちゃん……左手と右手、どっちがいい?」 京太郎「照さん!?」 照「私としては左手の方を使いたい。最近なまってきたから」 京太郎「それってまさか、どっちのコークスクリューを喰らいたいかって話……じゃあないですよね? ははは……」 照「うんわかった。じゃあ左にするね」 京太郎「なにがわかったのか俺にはさっぱりわからないんですが!?」 照「ツモッ!!」 京太郎「ぐふっ、それただの腹パン……がくっ」 照「ふぅ、悪は滅びた……私は断じてポンコツじゃない。あと私に妹はいない」 照「……」 照「どうしよう。京ちゃんにお菓子買ってきてもらおうと思ったのに」 『照っ、どこにいる!?』 照「やばい、菫が来た。逃げなきゃっ」 菫「ここにもいないか……まったく、あいつはまたミーティングを抜け出して!」 菫「淡も淡だ! 言うこと聞かないわ練習サボるわ……そしてあの二人は須賀に迷惑をかけすぎだ!」 京太郎「うぅ……」 菫「……誰かいるのか?」 菫「須賀? 気を失っているのか」 菫「ふむ、とりあえずは保健室だな。誰か呼んで来よう」 誠子「部長、どうかしたんですか?」 菫「ああ亦野、良いところに。須賀を運ぶのを手伝ってくれ」 誠子「……なにがあったんです、これ?」 菫「わからないが、放置するわけにはいかないだろ」 誠子「ですね」 ―――――― 京太郎「……なんで俺、寝てんだ?」 淡「知らなーい」 京太郎「そしてお前は帰ったんじゃなかったのかよ」 淡「帰ろうとしたら菫に見つかりそうになったの!」 京太郎「じゃあなんでここにいるんだよ」 淡「だってここに隠れたら入ってくるんだもん!」 京太郎「それで出るに出られずにいたと」 淡「別にキョウタローの寝顔なんて見てないんだからねっ」 京太郎「いや、それは聞いてない」 淡「とにかくもう菫も行ったし、私帰るから」 京太郎「待て、誰か来る」 『やっぱりお前の仕業だったか!』 『痛い。乱暴は良くない』 『自分のことを棚に上げるな!』 京太郎「部長と照さんだな」 淡「や、やばいよっ、どうしよう……!」 京太郎「どうしようったってな、俺は別に困らないし」 淡「どうにかしなさいよー、半分以上はキョウタローのせいなんだから!」 京太郎「つってもな……」 『普段迷惑をかけてる分も含めてきっちり謝るんだぞ』 淡「あわわ……入ってきちゃう……キョウタローなんとかしてっ」 京太郎「あーもう、お前ちょっとこっち来い!」 淡「あぅっ、引っ張らないでよっ」 ―――――― 菫「目が覚めたのか?」 京太郎「ぶ、部長、どうかしました?」 菫「お前を気絶させた犯人を連れてきたんだ」 照「お腹空いた」 京太郎「気絶、照さん……ああ、そういえば」 菫「ほら、照」 照「……私の左の調整に付き合ってくれてありがとう」 京太郎「あれって調整だったんすか」 菫「違うだろ!」 照「……ごめんなさい」 京太郎「まぁ、大したことないですよ」 照「なら一件落着」 菫「お前はちゃんと反省しろよ……ところで、やけにベッドが膨らんでいるが、なにかあったのか?」 『――っ』 京太郎「こ、これはなんというかですね、ははは……」 淡(どうするのよ、見つかっちゃうじゃない!) 京太郎(おい、動くなよ……!) 淡(狭いし暑いし、おまけになんか頭がくらくらするし最悪!) 菫「おい、そんなに暴れてまだどこか痛むのか?」 京太郎「これはあれですよ、どうしようもない男の生理現象とかきっとその類ですきっとそうです!」 菫「そ、そうか。すまない、男性のそういう事情にはあまり詳しくなくてな」 京太郎「まだちょっと調子悪いんでもうちょっと寝てます」 菫「わかった。今日はそのまま帰っても構わない。ゆっくり休むといい」 照「そんな、私のお菓子は……?」 菫「お前は説教だ!」 ―――――― 京太郎「ふぅ、やっと行ってくれたか……おい、もう出てきて大丈夫だぞ」 淡「……ふみゅ」 京太郎「どうしたんだよぼーっとして。なんか顔も赤いし……風邪?」 淡「……」 京太郎「おーい淡さーん?」 淡「――はっ……ち、違うんだからね!」 京太郎「はい?」 淡「べっ、別にキョウタローのにおいでクラクラなんかしてないんだからねっ」 京太郎「えーうん、まぁ……なら別に言わなくても良くね?」 淡「~~っ、責任! 責任とれー!」 京太郎「おわっ、暴れるんじゃない!」 淡「うっさいうっさい! いいから責任とれー!」 京太郎「責任つってもな、どうすりゃいいんだよ」 淡「そ、そんなの自分で考えてよねっ」 京太郎「はぁ?」 京太郎(いや、さっぱりわかんねぇよ。でもこのままだとまた暴れ出しそうだし……) 京太郎(……こいつも一応女の子、なんだよな) 京太郎(なら甘い物とか大好きなはずだ。時々照さんのお菓子わけてもらってるし) 京太郎「よし、じゃあお前ちょっと付き合えよ」 淡「……えっ、本当に!?」 京太郎「もちろんだって。俺もここらで誠意見せとかないとな」 淡「そ、そこまで言うんだったら、付き合ってあげなくもない……かな」 京太郎「なら行くか、ケーキバイキング」 淡「うんうん……って、ケーキバイキング?」 京太郎「ああ、ケーキ好きだろ?」 淡「それはそうだけど、なんで?」 京太郎「責任とるためにケーキでもおごろうかと」 淡「じゃあ付き合えっていうのは……」 京太郎「もちろんバイキングにだけど、それがどうかしたのか?」 淡「……あ、テルー? 今からケーキ食べに行くんだけど」 京太郎「おいっ、まさか照さんも呼ぶ気か!?」 淡「うん、全部キョウタローのおごり。ケーキに飽きたら他のものもオーケーだって」 京太郎「バイキングに留まらなさそうな気配がするんだけど!」 淡「じゃあ校門の前でねー」 京太郎「お前なんてことしてくれたんだよ!」 淡「知らなーい。誠意ってやつでなんとかしてみれば?」 京太郎「誠意で財布が膨らむわけないだろ!」 淡「ふんっ、全部ぜーんぶキョウタローが悪いんだからね!」 京太郎「意味わかんねー!」 カンッ