僕の名前はライ。記憶喪失の状態でアッシュフォード学園で倒れていたのを生徒会のメンバーであるミレイさんとルルーシュに発見されて助けてもらった。
その後、同じく生徒会のメンバーであるスザクの紹介で特別派遣響同技術部、通称特派でテストパイロットとして働くことになった。
僕はどこで身に付けたのか分からないが、卓越したナイトメアの操縦技術や戦略眼で数々の功績を上げ、スザクとともに「特派のダブルエース」と呼ばれるようになった。
今日はスザクと二人で僕が以前に行った「敵を倒せば倒すほど敵が出てくる」シュミレーションを行った。
しかし、スザクが膨大な体力を持ち、僕が効率の良い戦略を立て、二人のコンビネーションが良くとも無限の敵にはかなわなかった。
コーネリア総督の親衛隊のグロースター30機に囲まれ、満身創痍で突破したら、今度は40機が登場しミサイルや、アサルトライフルの一斉放射を食らった。
イジメに近いですよ。
シュミレーションを終えた僕らは床に倒れた、さすがのスザクも立つことも無理だったようだ。こんな時、いつもセシルさんが止めてくれるのだが、別の仕事が有ったようでこの場には居なかった。
シュミレーションを始める前に「絶対に無理はさせないでくださいね、ロイドさん」と言っていたがロイドさんがそんなことを守るわけが無かった。
そのロイドさんは、仕事を終えたセシルさんが僕とスザクの様子、シュミレーションの設定、その結果を見てはしゃいでいるロイドさんを見て、笑みを浮かべながら別室に連れて行かれた。この時は、ロイドさんを哀れには感じなかった。
それから一時間後、大部体力が回復したスザクとともに食事の買出しに行こうとした。しかし、
「待って、ライ君、スザク君。いい食材が手に入ってオニギリを作ってみたから食べてみなさい」
セシルさんが大きなお皿にオニギリをのせて、にこやかに言った。
僕とスザクは断ることが出来ず、全部食べることとなった。
翌日、非番である僕は授業を受けていたが、シュミレーションの疲労とセシルさんのオニギリで体調は最悪だったので授業の内容は何一つ覚えていない。
昼休み、僕はナナリーとの食事の約束で中庭に向かっていた。そこには、ナナリーと咲世子さんがすでに待っていた。
「こんにちは、ライさん。来てくださって、嬉しいです」
この、ナナリーの笑顔を見れただけでも今日は来てよかったと思える。
僕たちは中庭にシートを引き、ピクニックを行った。
一つ目のランチボックスには鳥の唐揚げ、卵焼き、タコさんウインナーなどが入っていた、そして、ナナリーが二つ目のランチボックスをあけた。
「咲世子さんみたいに、上手に作れませんでしたが、頑張って作ってみました」
そこには、少々形が悪いオニギリが入っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕の頭の中は昨日のセシルさんのオニギリで頭がいっぱいになった。
「ライさん・・・」
「ライ様・・・」
ナナリーが不安そうに、咲世子さんが不満げに僕を呼んだ。
「ごめん。・・・いただきます」
僕は覚悟を決めてオニギリの一つを食べた。
「これは・・・うまい」
僕が食べたのはオニギリの中身は、ジャムでも、チョコレートでもなかった。
「ありがとうございます。えーと、中身はなんて言いましたっけ?」
「おかかです、ナナリー様」
「そう、オカカです。この間咲世子さんに教えていただいたのです。オニギリの定番だそうです」
それから、僕はオニギリを全部食べた。
オニギリは全て、塩味がちょうど良く、中身とライスの相性も良かった。
「美味しかったよ、ナナリー。ナナリーはオニギリを作るのは上手だね」
「そんな・・・私なんてまだまだです」
ナナリーが照れくさそうに答えた。
「そんなこと無いよ。そうだ、ナナリーだったらジャムやチョコレートのオニギリも美味しく作れそうだね」
「ライさん・・・」
「ライ様・・・」
今度は何やら心配するような感じで言った。
それから、僕は二人の話を聞くとセシルさんのオニギリが異常だと初めて知った。
最終更新:2009年10月10日 20:45