「ナナリーは可愛いな」
珍しく女生徒が居ない生徒会室でフラグ建築士が突然口にした言葉に、空気が硬直した。
一番早く硬直が融けたルルーシュが額を押さえる。
「色々とツッコミ所が有るが………なぁライ」
「なんだい?」
「ナナリーが可愛いのは分かっている。だが何故、いきなりそんな事を言った?」
「なんとなく………だけど?」
ライのとぼけ顔にルルーシュが言った。
「だけど?………じゃないだろ。俺はもう二人の事に口を差し挟むのは辞めた。だがイチャイチャしたりピンクの雰囲気を醸し出すのならTPOを考えろ。ここは生徒会室だから良いが、公共の場ではそんな空気を出すな」
「僕がピンクな空気を出した?」
「うん出してたよ。立派なピンクの空気だ」
ライの問いに答えたのは復活したスザクである。
ライは首をかしげて考え込む。
ルルーシュは思いついた事を尋ねる。
「ひょっとして、お前はデート中もナチュラルにピンク色を出していないか?」
「分からないよ」
その答えにルルーシュは確信した。
――こいつ………絶対ピンク色を振り撒いている。――
ライさんとデートに行くと、なぜか不良の様な人に絡まれる事が結構あるんです。
そうナナリーから聞いた事があるが、ピンクを醸し出している優男を見たら、絡まない不良は居ない。
ルルーシュは最初に話を聞いた時、最低な奴等が居るものだと憤慨したが、考えたら絡まれるのは当たり前だろう…………
――待てよ?――
ルルーシュはふと思った。
ライがピンクを纏っているのを、場の空気に対して敏感なナナリーも分からなかった様だ。
分からない理由。
それはナナリー自身もピンクを纏っているからに他ならない。
ルルーシュは苦悩する。
――俺は見落としていたのか、ナナリーを包むピンクを!?カレンとゼロ稼業にうつつを抜かした俺はナナリーを見ていなかったと言うのか!?
最愛の妹がピンク色に染まっていく間も、カレンの事を考えていたから?これはその事に対する罰か?しかしカレンの事を考えないなど、今の俺に出来るか?いや出来まい。カレンは俺の………――
悩む親友をみてスザクは思った。
――君も桃色を出しているよルルーシュ。ライもルルーシュも自覚が無いから怖いね。顔が良い人間がそんなオーラを出していると、逆にうざったいな。
………それに比べて僕はシャーリーの事を考えてばかりじゃない。仕事休みの合間に時々思い出す位だ。あ……そういえば来週の土曜日ライブに誘われてたな……何を着ていこう?
軍服で行くわけにも行かないし、かといって僕のセンスはたかが知れてるし…………まぁ為せば成る、為さねば成らぬなんとやらって言うし、適当に見繕えば良いよね?
でもシャーリーとのデートを適当にこなすなんてあり得ない。セシルさんに頼んで一緒に服を買うか?けどバレて誤解されるのも嫌だなぁ、説明するのが面倒だし、なによりシャーリーが傷付く――
スザクは真面目に考え始めた。
「なんだかんだと言いながら、結局三人ともピンクな青春を送っているんだよな………」
本当の空気になっているリヴァルが呟いた……………
最終更新:2010年01月05日 01:18