043-610    @シスター

「ここか・・・」
僕が目覚めたのは、ルルーシュが結末を迎えてすぐの事だった。
同時に、彼女が行方不明であることを知った。
流れ流れてようやく捜し当てる事ができた。
風の便りに聞いた、彼女の居場所。
彼女からすれば、僕に宛てた便りを出すつもりなど無いのだろうけれど
彼女と、ルルーシュと、僕と。
悲しみと共に思い出す懐かしい日々。
祈りを込めて、僕はその扉を開いた。

岬の先の小さな教会に、私は腰を落ち着けた。
ルルーシュがいなくなった世界は、
数え切れない人の胸を軋ませながら、
再び秩序を取り戻そうとしていた。
真似事ではあるが、神父も、近づく者すらない此処は酷く静かだった。
まるで永遠であるかのように。
「それもいいかもしれんな・・・」
ぽつりと呟いた言葉に苦笑する。
魔女が教会で暮らすなど、笑い話にもならない。
彼女が苦笑を深めた時、
入口の扉が音を立てて開いた。

久方ぶりに会った彼女を見て、僕は思い知る。
自分が思っていたよりずっと、彼女が美しい事を。
「ライ、か・・・?」
信じられない物を見たと言うかのように、
彼女が問い掛けて来る。
「久しぶりだな、C.C.」
そんな彼女の様子が何よりも愛しかった。
「しかし何だ、その格好は?
似合わんな、全く」
彼女はニヤリと笑って言った。
「フン、魔女が普通の格好では面白く無いだろう」
互いに顔を見合わせて笑い合った。
あの頃、顔を合わせれば軽口を叩いていた。
別れのその時も、泣かないために。

教会の裏手にある花畑で、
ライは白い花を摘み海へ投げた。
「弔いの花だ。遅くなったけれど」
そして、私にこう言った。
「僕らは共犯だ、今もこれからも。
C.C.、僕は君と共に有りたい」
「私は死なない。お前もそれは知っているはずだ。
私の生にお前を縛りたくない・・・」
そう言って背を向け立ち去ろうとした私を、
ライは抱きしめ離さなかった。
「それでもだ。
ライが命ずる-!!」
通じないギアスに、私は・・・。

とある岬の先、白い花の咲く小さな教会がある。
長い間無人であったそこは、
今や多くの人が訪れる場所となった。
厳かな鐘の音が響くそこは、
今日も笑顔が絶えない。
その中心たる銀髪の神父と、美しいシスターの祈りと共に。


最終更新:2010年01月14日 02:39
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