044-046 証拠隠滅 @名無し

放課後で生徒会室には、僕と二ーナの二人っきり。
窓から差し込む夕日が、二人のシルエットを紅く照らし出している。
「でも……いいんですか?」
遠慮がちのニーナの声。
だけど、その遠慮がちの表情の中にちろちろと見えるのは欲望。
そう、人は欲望を持っている。
それは、どんな人でも変わりはしない。
もちろん、ニーナもだ。
絶対に例外はいない。
「かまわないさ」
僕がそう言うと彼女が手を伸ばす。
そして、口元に近づけるとちょろちょろと舌を動かして垂れてくる液体を慌てて舐め上げる。
遠慮がちな表情が少しずつよろこびの表情へと変わっていく。
「おいしい……」
無意識のうちにそう呟いて、頬を紅く染めて微笑む姿はとてもかわいいんじゃないかと思う。
しかし、女の子の舌の動きってとても卑猥に見えるよなぁ。
ふと、そんなことを考えてしまう。
どうのこうの言いつつも、僕だって健全な男の子だ。
それに、最近は、リヴァルがいろいろと無理やり貸してくれるおかげですっかりそっち方面の知識も豊富になりつつある。
もっとも……多分、だけど……。
ともかく、そんなことを思っていたら、ニーナに声をかけられた。
「ライさん、すごくおいしいです」
眼鏡の奥のよく動く大きな瞳が、遠慮がちに僕を見上げている。
「それはよかった。喜んでもらえて、僕も嬉しいよ。よかったら、どうぞ」
僕がそう言って微笑むと、ニーナの顔が少し曇る。
「でも……、いいんですか?」
すまなさそうな表情が揺れ動き、言葉が途切れ途切れになる。
本当に、相変わらずだな……。
ふとそう思ってしまう。
ニーナはいつもそうだ。
周りを気にしすぎる。
二人だけのときぐらい、もっとわがまま言ってもいいんだけどな――――そう思ったものの、口には出さない。
だから、僕は彼女に理由を付けてあげることにした。
「仕方ないさ、ミレイさんも、カレンもいないんだもの。だから、気にしないで召し上がれ」
その言葉にほっとしたのだろう。
ニーナの手が再び伸びる。

そして、ニコニコして2個目のアイスバーを食べ始めたのだった。
しかし、なんでアイス買ってきたときに限って誰もいないんだろう。
でも、まぁいいか。
普段では見れないかわいいニーナの仕草とか表情とか見れたことだし……。
そんな事を思いつつ、僕も2本目のアイスバーに手を伸ばしたのだった。


なお、翌日、ゴミ箱に残っていたアイスバーの袋と棒から、ニーナと二人で食べたことがばれてしまい、またアイスバーを買いに行くハメになってしまいましたとさ。

教訓………証拠隠滅は徹底的に。

ちゃんちゃん。


最終更新:2010年02月11日 22:58
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。