「あ、あのね……、ラ、ライって、す、好きじゃなかった、そ、そうそう、き、気になる人って……いるの?」
真っ赤になりながら、カレンがそう聞いてきた。
「気になる人……?」
真っ赤なカレンとは正反対で、いつもどおりの表情、いや、すこしぽかんとした感じのライが聞き返す。
「そ、そうそう。今、ライがすごく気になる人だ」
かなり力が入っている口ぶり。
いや、実際に力が入っているのだろう。
カレンの握り締めた手がぷるぷると震えている。
「そうだなぁ……」
「うんうん」
「一番気になると言えば……」
「言えば?」
引き寄せられるかのように段々とカレンの顔がライに近づいていく。
「やっぱり……ゼロだよな……」
その言葉の瞬間、まるで風船が弾けたかのようにカレンの身体から力が抜け、肩透かしを喰らったかのようにコケかけてしまう。
だが、そんなカレンをますますきょとんとした顔でライは見ている。
なんでそうなったのかよくわからないって感じだ。
表情は影で見えないものの、「ゼロは仕方ないか」とカレンの呟きが漏れる。
そしてなんとか体制を建て直し、健気にもカレンは言葉を続けた。
「ほらっ、他にもいないの?他にもとても気になる人っ。いるでしょ?ほらほら……」
「ああ、もちろんだよ」
そのライの返事に、影がかかったように暗くなっていたカレンの表情が一気に明るくなる。
「そ、そうよ、そうよねぇ……。あはははは……」
最終更新:2010年04月18日 00:47