045-063   @カナリア

気持ちの良い微睡み。
空は白く、地面に雲が沈んでいて、それは夢なのだと知る。

「カレン」
夢の中の彼は私だけを見つめるのだ。
優しい色の籠った眼で。
「カレン?」
「綺麗な顔よね。嫉妬しちゃう」
普段は言わない事も夢なら言える。

臆病な私、意地っ張りな私。
なんで夢でしか言えないのかしら…

「カレン………」
少し困った顔をしている彼に、私は言った。

「でも好きよ、好き。私は貴方の総てが好き」
「そ、そうか………」
「大好きなんだから」
多分私の顔は真っ赤だろう。

けど知ったことじゃない。

夢なのよ、何を言ったって良いじゃない。


彼が躊躇いがちに私の肩を叩いた。

触れられた箇所から熱を感じる。

なんて幸せ。


「いや、な。その気持ちは嬉しいし、もっと言ってほしかったりもするんだが……………」
そこで彼は私から顔を背ける。

なにか言いづらい事でも有るのかしら?
私は優しいから、彼を促してあげる。
「なぁにぃ?」
「…………えぇい、ままよ!今は会議中なんだよカレン」
「はい?」
「今は会議中なんだ!!」

そこで私の意識は覚醒する。



起き上がって前面を見れば、そこには特区の重役達がいた。

ユーフェミアやスザクはあいも変わらずニコニコしているし、玉城はニヤニヤ。
扇さんは唖然としていて、その肩に南さんが手を置いていた。



呆然とする私の後ろから、バンバン!!という音が鳴っていて、見ればCCが涙目になりながら壁を叩いている。

普段のキャラが崩壊しているその反応をみて、私は悟った。

これは夢じゃないんだということを…

そして、恥ずかしい事を言っちゃったということを………


「ああ、あ、あ………あたあたあた、あたし………あのそのえと」
「あぁうん。だだ漏れだったよ」
スザクはにこやかに言った。

朝比奈さんが軽く手を上げ、肩を震わせつつ言う。
「こ、紅月。失敗は、だ、誰にもあるから………気にする事はないさっっ」
「…………くっ」
堪える朝比奈さんの言葉に、堪えきれなかったのか藤堂さんが盛大に吹く。

それを契機に、私と彼を抜いた全員が爆笑した。

「「「「「ふははははははははははは」」」」」








ゼロが乗り移ったのではないかと思われる笑いの後に残ったのは、苦笑を浮かべるライと、顔を髪と同じ色に染めたカレンだけだった……………


最終更新:2010年10月30日 23:36
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