気持ちの良い微睡み。
空は白く、地面に雲が沈んでいて、それは夢なのだと知る。
「カレン」
夢の中の彼は私だけを見つめるのだ。
優しい色の籠った眼で。
「カレン?」
「綺麗な顔よね。嫉妬しちゃう」
普段は言わない事も夢なら言える。
臆病な私、意地っ張りな私。
なんで夢でしか言えないのかしら…
「カレン………」
少し困った顔をしている彼に、私は言った。
「でも好きよ、好き。私は貴方の総てが好き」
「そ、そうか………」
「大好きなんだから」
多分私の顔は真っ赤だろう。
けど知ったことじゃない。
夢なのよ、何を言ったって良いじゃない。
彼が躊躇いがちに私の肩を叩いた。
触れられた箇所から熱を感じる。
なんて幸せ。
「いや、な。その気持ちは嬉しいし、もっと言ってほしかったりもするんだが……………」
そこで彼は私から顔を背ける。
なにか言いづらい事でも有るのかしら?
私は優しいから、彼を促してあげる。
「なぁにぃ?」
「…………えぇい、ままよ!今は会議中なんだよカレン」
「はい?」
「今は会議中なんだ!!」
そこで私の意識は覚醒する。
起き上がって前面を見れば、そこには特区の重役達がいた。
ユーフェミアやスザクはあいも変わらずニコニコしているし、玉城はニヤニヤ。
扇さんは唖然としていて、その肩に南さんが手を置いていた。
呆然とする私の後ろから、バンバン!!という音が鳴っていて、見ればCCが涙目になりながら壁を叩いている。
普段のキャラが崩壊しているその反応をみて、私は悟った。
これは夢じゃないんだということを…
そして、恥ずかしい事を言っちゃったということを………
「ああ、あ、あ………あたあたあた、あたし………あのそのえと」
「あぁうん。だだ漏れだったよ」
スザクはにこやかに言った。
朝比奈さんが軽く手を上げ、肩を震わせつつ言う。
「こ、紅月。失敗は、だ、誰にもあるから………気にする事はないさっっ」
「…………くっ」
堪える朝比奈さんの言葉に、堪えきれなかったのか藤堂さんが盛大に吹く。
それを契機に、私と彼を抜いた全員が爆笑した。
「「「「「ふははははははははははは」」」」」
ゼロが乗り移ったのではないかと思われる笑いの後に残ったのは、苦笑を浮かべるライと、顔を髪と同じ色に染めたカレンだけだった……………
最終更新:2010年10月30日 23:36