帝都ペンドラゴンにある王宮で長い廊下を歩く1人の青年がいた。その容姿は誰もが振り返るほどの美男子だった。神聖ブリタニア帝国
第66王位継承者ライ・S・ブリタニア。年頃は18ぐらいと若い身でありながら頭脳はシュナイゼル殿下、武道にかしてはコーネリア殿下や
ラウンズに匹敵するほどの逸材、まさに文武両道であった。しかし、彼の母親はイレブンであったためこの地位である
しかし彼は人を魅了する何かを持っていたため彼の周りは帝国でもかなりの地位を持つ者たちが大勢いた。
そんな彼の住んでいるところにラウンズの4人が遊びに来ていた。4人のうち3人は親友で1人は恩人ともいえる存在。
そんな彼らと話の最中、ライは少し席を外した。4人はライがいなくなると部屋を見回した。その部屋は隅々まで綺麗に
掃除してあり窓から見える庭には綺麗な花がたくさん植えられていた。そんな中、モニカは部屋に飾ってあった
物に気がついた。
「あれって剣かしら?」
「あぁ、前にコーネリア殿下に資料で見せてもらった。エリア11に存在していた武器、確か名は刀だったかな?」
モニカの質問にノネットは思い出すように答えた。
「前に見たことがある。ライが腰に差していた」
「へぇー、エリア11の武器か。ちょっと抜いてみるか」
ジノが触ろうとするとアーニャが止めた。
「ジノ、それに触っちゃダメ」
「何で?ちょっとぐらいいいじゃんか」
「前に私が触ろうとしたらライが怒った」
「ライが怒った?それは珍しいな、なんで怒ったんだ」
「それは私から説明させてもらいます」
そう言ってきたのは部屋に入ってきたメイドだった。
「初めまして、この屋敷でメイドとして働いているディアドラと申します。以後お見知りおきを」
「どうも初めまして。それで、なんでこれに触れちゃいけないんだ?」
「ライ様の母君、命様がライ様に贈られたものだからです。ライ様は刀を信頼できる人にしか触れさせないんです。
刀に触れることを許されているのは命様と妹君である咲久耶様、そしてこの私を含めこの屋敷で働く桂香と穂乃香のメイド3人だけです
今のところこの屋敷に住んでいるものだけが許されています。他にもメイドはいますが彼らは住み込みではなく仕事時間が終わったら皆それぞれ家に
帰っていきます」
「そうなんだ、残念だな。なぁ、アーニャ・・ってどうしたんだよ!」
ジノの視線の先には携帯のボタンを強く押しているアーニャがいた。あまりにも強さに携帯がミシミシと音を立てている。
「何、何か言った?」
明らかに不機嫌なアーニャを止めるべくジノは残り2人に声をかけた。
「おい、モニカもノネットも見てないで止めろ・・・ってヒィィィー」
「あらあら、何でそんなに情けない声を出しているの?仮にも貴族でしょ、ヴァインベルグ卿」
「そうだぞ、貴族として騎士としてどうかと思うぞ。ジノ」
ジノが見たのはあきらかに私今怒っていますとオーラを出している同僚2人だった。原因はわかっていた
「(命様や咲久耶様はともかくメイドが触れるのを許して自分達は駄目か、女の嫉妬は怖いな)」
この三人はライに惚れているのを他のラウンズを始め周りの人は知っていた。しかし何故か、当の本人は
まったく気付いていなかった。故に一部ではライは天然の女殺しと言われていた。
「そ、そういえばライはどこにいったんだ?」
「ライ様はただ今、所用で席をはずしましたのでもう少々お待ちください。その間、私がお相手します」
そういって席に着いたディアドラは三人の厳しい視線を受けても余裕の表情だった。まるで
「(信頼されてない女たちが、ライ様を取ろうなんて100年早いんですよ)」と言っているみたいに。
「あれ、ディアドラここにいたの?探したよ、今夜のことで聞きたいことがあって」
何故か今の発言で3人の視線が痛いような気がするが気のせいかな?と思っているとジノがやってきて
「ライ、お前はもう少し発言を気をつけた方がいいぞ、じゃない・・・・おわっ」
「ライ様、それより聞きたいというのは今夜の・・・その、相手のことで」
「うん、予定を決めておかないと急に呼び出したら困るからね」
「わかりました、しかし桂香と穂乃香が今外出中ですのでまた後でお伺いします」
ディアドラと話していると突然モニカが詰め寄ってきた。
「ねぇ、ライ!私のことが信頼できないの!どうなの!」
「ど、どうしたんだよ。いきなり」
「あの刀に触れられるのは信頼できる人だけなんでしょ!」
モニカが示したのは飾ってあった刀だった。
「あれ?別に触ってもいいけど」
「「「いいの?」」」
なぜか三人が詰め寄ってきた。正直言って少し怖かった。そして何故かディアドラが少し笑っていた。
しばらく見ているとふと先のことを思い出した。
「そういえば、信頼してないってどういうこと?」
「だってこの刀に触れていいのは信頼している人だけなんでしょ?」
「それじゃないよ、それは飾り用に飾ってあるだけ」
「「「えっ!」」」
「大体そんな所に置いたらいろんな人が触るじゃないか、第一それは僕が作ったものだよ」
その言葉を聞いた瞬間、3人はディアドラに詰め寄った。
「「「どういうこと!」」」
「別にその刀とは一言も言ってません。あ、ライ様桂香と穂乃香が戻ってきましたのでさっそくお決めになりましょう」
「うん、そうだね。今夜は久しぶりに4人でするか」
「そうですか、ではそう伝えてきます。ライ様は夕食までお休みください」
そういって2人は出て行った。ちなみに3人は魂が抜けていた。
「言葉とは難しいものだな」
「「「黙ってろ!」」」
気を失う中、ジノは確信した。
「(皆、言葉は選ぼうな)」
最終更新:2011年03月03日 23:34