「累加」とは

 同じ数をいくつか、足し合わせるような計算を、「累加」といいます。「同数累加」とも書かれます。
 3+3+3+3+3=15という式がその例です。これを「3が5つ」とみて、3×5=15というかけ算の式*1につなげていきます。
 足される数(かけ算だと、かけられる数)は小数や分数であっても、足す個数(かける数)が整数であれば、累加で計算できます。「6缶×4パック」も、6缶+6缶+6缶+6缶=24缶と書くことができます。

批判

 累加に基づいたかけ算の意味づけでは、かける数が1や0、また小数や分数になったとき、計算ができないことが指摘されています。
 これに対し、かける数が1や0のときは、次の2つの指導法が知られています。
  • 意味に基づく理解:かける数が1や0に場面をもとに、□×1=□、□×0=0を得ます。
  • 計算の決まりに基づく理解:「かけられる数を固定し、かける数を1増やせば、答えはかけられる数だけ増える」ことから「かけられる数を固定し、かける数を1減らせば、答えはかけられる数だけ減る」ことを確認し、具体的な数で例えば3×2=6、3×1=3、3×1=0とします。
 かける数が小数になるときは、割合の指導と合わせて、かけ算の意味の拡張を行います。
 かける数が0となるかけ算は3年*2で、小数のかけ算は5年、分数のかけ算は6年です。なお、現行の学習指導要領では、かけられる数が小数・かける数が整数となるかけ算は4年、かけられる数が分数・かける数が整数となるかけ算は5年となっています。

文献

  • 文献:算数解説2008では、「累加の簡潔な表現として乗法による表現が用いられることになる」(87頁)と書かれています。3×0の計算は107頁、小数の乗法は166頁で、それぞれ解説されています。
  • 文献:日数教2011 73-75頁で、「乗法・除法の意味づけ」と題した解説があり、「同数累加」を3つの立場のうちの一つとしています(残りは「量×量」「基準量×割合」です)。
  • 「6×4,4×6論争にひそむ意味」(文献:遠山1978)をはじめ、数学教育協議会では「1あたり」の考え方を推進しており、かけ算をたし算とは別の演算であると意味づけています。これにより、かける数が1や0、また小数や分数になったときでも支障がないという主張です。

外部リンク

最終更新:2012年12月07日 06:44

*1 海外、例えば英語では、"five threes"もしくは"five times three"と考え、5×3=15とします。

*2 指導者によっては、2年の九九で、0を含むかけ算も学習させるところがあります。