見解

 「かけ算の順序論争」について、現時点の見解は次のとおりです。
  • 小学校の2年で、かけ算を学習する際、例えば3×5と5×3は、「答え(積)は同じ」だけれど「意味は違う」と理解しています。
  • 「かけられる数とかける数の区別」を意識して、かけ算の意味づけを図ることには、算数教育、日常生活、数学(理論)の面で、つながりを得ることができます。
    • 先生も子どもたちも、かけられる数とかける数の区別に注意して、かけ算の式を書いたり、式と場面が対応しているかを判断したりしています。今年出版された書籍や雑誌だけでなく、昭和20年代に書かれたものからも、その指導例を知ることができます。
    • 数学教育学の分野では、「乗法の意味」に関する研究・検討や実践(授業)の成果が蓄積されています。累加は直積よりも、子どもたちにとって理解しやすいことが、国内外の研究者や教師らによる調査・観察により示されています。
    • 日常では、「20g×2袋」と書かれていると、その総量は「40g」であり、「40袋」でも「40g袋」でもないことの理解に役立ちます。
    • 数学的な検討に基づく「量の理論」でも、累加(基準量の整数倍)により定義し、~倍のところを有理数・負の数・実数へと拡張していくアプローチがあります。
  • ネット上では、順序不要の意見が大勢を占めており、また『かけ算には順序がないのか』という書籍も出版されていますが、歯切れがよくて威勢がいいものの、学術的な国内外の動向を十分に踏まえていないように感じます。主張はそれなりに明快なのですが、学校にその考えを普及させるための具体的・現実的な行動が見当たらない点も、残念に思います。(ここの項目は、http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8451.htmlの記述を一部使用しています。)
最終更新:2013年02月26日 06:40