803 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:14:20.62 発信元:221.30.151.167

連載第4回目。


あらすじ:
('A`)ドクオは書類の手違いにより、シベリア村の資源・観光開発のプレゼンを行うために
イギリスはロンドンに行くことになった。
不安な彼は恩師(=゚Д゚)シベリアタイガー先生のもとに行くが、先生は何かきな臭い秘密を隠している
ようであった。ともかく、自分と恩師の不安を抱えながら、ロンドンへ向かった。


ロンドンで仕事が出来ずふさぎこんでいたところ(及び最悪のメシマズに悩まされていたところ)に、
ζ(゚ー゚*ζリタ・デレノフスカヤ=通称デレーニャと出会い、ロンドンを一緒に散策する運びになった。

ドクオのロンドン滞在はいかに。
恩師の運命やいかに。




804 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:19:35.19 発信元:221.30.151.167

2人は外に出た。
ロンドンらしくまだらの空模様であった。


レンタカーを返して、地下鉄と徒歩でロンドンを散策することになった。
(ドクオは人混みが嫌いなので車で行きたがったが、デレーニャの勧めに従った)。


ζ(゚ー゚*ζ「さ、いこ」


額にサングラスを乗せて、黄色いカーディガンを羽織り、細身のジーンズを
履いたデレーニャは颯爽と地下鉄の駅へと降りていった。


('A`)(活発な娘だなあ)




テムズ川沿いを中心に、ビッグベン、タワーブリッジなどをデレーニャは熟練の
ガイドよろしく要領よく案内して回った。

そして、地元の人間しか知らないようなトリビアを織りまぜるのであった。




805 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:20:56.50 発信元:221.30.151.167

ζ(゚ー゚*ζ「・・・・・で、この出っ張っている石の部分が、地元の人からチャーチルズ・ポイントと
       言われてるの。1980年の道路拡張の時に撤去の話があったんだけど、そのまま
       保存することになったの」


('A`)「なんでチャーチルの名前がついてんの?」


ζ(゚ー゚*ζ「ドイツが降伏したとき、チャーチルが歓びのあまりここで立ちションしたって話
       嘘かホントかわからないけど。

       あとね、グリニッジ天文台とビッグベンを結んだ直線の、
       ちょうど真ん中がこのポイントらしいよ」


('A`)「なんと」


('A`)「んじゃ小生もチャーチルにあやかりまして・・・・」




806 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:23:47.96 発信元:221.30.151.167
  _, ,_
ζ(゚、゜*ζ「ちょっと、やめなさいよ」


デレーニャが目を上げると、道路の向こうにパブが見えた。


ζ(゚ー゚*ζ「あ、あそこで何か食べよう、それまで我慢して」


2人は車を避けながら道路を横断して、パブ(居酒屋兼軽食屋みたいなもの)の扉を開けた。

「Queen's Banquet」は名前のわりに庶民的な店であり、往来の喧騒を避けるように
薄暗い店内に人々がくつろいでいた。


ドクオが用を足すと、デレーニャがカウンターでメニューを見ていた。

ζ(゚ー゚*ζ「何食べる?」

('A`)「えーと、この、スモークドチキンのサンドイッチで」



807 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:25:37.89 発信元:221.30.151.167

ζ(゚ー゚*ζ「そんなんどこでも食べられるよ、

     鰻のゼリー寄せと臓物パイ、これ地元の料理よ」


('A`)「なんかゲテモノっぽいな」

ζ(゚ー゚*ζ「名物なんてそんなもんよ、これとこれ2つ、マッシュつけて、後ギネス・・・・」


ゼリーの中に鰻のブツ切りが入ったもの、
茶色い中身がどろりと出ている切り分けられたパイ、
そしてマッシュポテトがてんこ盛りの皿が出てきた。

ドクオは奇異の目でそれを見ていた。
その間に、デレーニャは会計を済ませていた。


('A`)「ちょ」

('A`)「ここは、俺が払うよ、世話になってばかりで申し訳ないもの・・・・」



808 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:27:39.39 発信元:221.30.151.167

ζ(゚ー゚*ζ「いいわこのくらい。また今度おごって」


('A`)(また・・・今度?)

('A`)(俺に・・・また会うつもりなのか?)

('A`)(何のメリットがあって?)


皮肉でなくドクオはそう思った。


ζ(゚ー゚*ζ「ここ、座ろう」

デレーニャは通りに面したテーブルに席をとった。
ドクオも席についた。


料理はまずくは無いが、変わった味がした。

不思議な料理を、不思議な女の子と食べている。
ドクオはそんなシュチュエーションになんとも言えぬ不思議さを感じるのであった。

そもそもこのロンドンに駐在していること自体、現実感が無かった。
(事の経緯を考えれば、それも当然である)。



809 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:30:40.12 発信元:221.30.151.167

そこへ来て、昨日知り合ったばかりの女の子とロンドンをぶらついている。

('A`)(・・・・・・・・・)

ドクオは壁際にある鏡に写ったデレーニャを見ていた。
デレーニャは窓越しに通りを見ていたが、ふと視線を移動した。
鏡の中でドクオと目が合った。


('A`;)「あ」

ζ(゚ー゚*ζ「ん?どうかした?」
デレーニャは正面から見据えた。


('A`)「なんとなく・・・不思議だなあ・・・と思って」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、これ面白い食べ物でしょ」

('A`)「いや、そうじゃなくて・・・・」


('A`)「なんで、こんなに親切にしてくれるのかな、 って」
俺みたいな冴えない男に、とは言わなかった。


ζ(゚ー゚*ζ「久々にロシア語が聞けて、嬉しかった、ママと出身地も近かったし」

それだけでは無いような気がした。実際、彼女は続けて言った。



810 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:33:31.20 発信元:221.30.151.167

ζ(゚ー^*ζ「あーこれ、言っちゃおうかな、どうしよ」


('A`)


ζ(゚ー゚*ζ「やっぱ、今はやめとく。うん、いつか言う」


('A`)

ドクオは当然釈然としなかった。
でも、彼女が善意の人であることを信じようとも思った。


二人は店を出て、夕刻になるまで雑貨屋などを物色した。

*



811 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:36:26.80 発信元:221.30.151.167

地下鉄でイーストエンドに戻り、息せききって二人は走った。

着いたのは、ライブハウス「イーストエンド・ソーシャル・クラブ」。
200人収容の小規模なハコである。


入場料とドリンク代を支払い、ドアを開ける。
もう観客は一杯で、熱気とひといきれでムンムンとしていた。

壁にもたれかかって二人は安堵の息をついた。


ζ(゚ー゚;*ζ「間に合って良かった」


('A`)「こういうとこ初めてだ」


あまりの騒々しさに若干ドクオは引いていた。


見渡すと、自分よりもちょっと若いくらいの白人のハイティーンが多かった。

彼らは酒を飲み、奇声を上げたり肩を組んだりどつきあったりしていた。
すでに異様なテンションだった。


その間にポツポツと、レゲエファッションの黒人がいた。
彼らはホワイトハイティーンへの苛立ちを呑み込むように立ち尽くしていた。



812 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:38:48.19 発信元:221.30.151.167

('A`)「面白い人に会えるって、バンドの事?」


ζ(゚ー゚*ζ「そう。でも今日は対バンで、出てくるのは後ね

       最初は、別のグループ。ここにいる子たちは、ほとんどそれ目当て」


そういってるうちに、照明が落とされ、緊張は一気に高まった。

ライトが明滅し、爆音で演奏が始まった。


たちまち、場内は熱気の渦に巻き込まれた。




813 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:41:39.32 発信元:221.30.151.167

発せられる音は、ドクオの脳髄を揺さぶった。

('A`;)(な・・・・・)

疾走するビート、リズムを無視して跳ね回るシンセベース、

('A`;)(なんだなんだ、この音は?)

時折雷鳴のように轟くギター、悪夢の海鳴りのようなボーカル。

('A`;)(頭がおかしくなりそうだ!!!)

バンドは曲の間を置かずに一気に5曲くらい演奏し、
そこでぴたっと静寂に身を委ねた。


会場は怒号に近い歓声に包まれた。




ドクオはそこで我に帰った。
音そのものは不快だったが、脳の普段働いていない部位が覚醒するような感覚。

('A゜;)(これが・・・fuckin' great ってやつか・・・?)



814 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:44:26.38 発信元:221.30.151.167

一方のデレーニャは、平然そのものでステージを見つめていた。

ζ(゚- ゜*ζ

ステージを見ると、観客と変わらないくらいの年齢の、あどけない若者4人がいた。
彼らは、聴衆に向かって威勢よく呼びかけた。


「Good Evening East End Social Club!!We're Sonicnerd」
(イーストエンド・ソーシャル・クラブの皆、こんばんわ!ソニックナードです!)


「Let's get down to third summer of love!」
(第三のSummer of love に突入だ!)


「We're Gonna make groove tonight , the next number is "Make Happyend"!!!!」
(グルーブすっぞ、次の曲はMake Happyend!)

その、"Make Happyend"という言葉を聞くや否や、会場は狂わんばかりになった。




815 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:47:30.38 発信元:221.30.151.167

そして、観客の青年たちは次々に口に手をあてて何かを放り込むしぐさをした。

床に放り出された黄色い粒をドクオは見た。


('A`)(・・・・ド・・・・ドラッグ?)


先ほどを上回る爆音で再び演奏が始まり、観客の狂乱は燃え盛る炎のごとくになった。


♪Wannna Make Happyend , Wanna Make Happyend・・・・・・


リフレインが執拗なまでに繰り返される。

ドラッグらしきものを見て、ドクオは醒めてしまった。

もはや音楽に幻惑されるよりも、キチガイじみた観客をあっけに取られて見ていた。

('A`)(・・・・・・・・・・・)




816 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/05(月) 23:55:40.75 発信元:221.30.151.167

ζ(゚- ゜*ζ「長い」

('A`)「え?」


あまりにも騒々しいので聞こえなかった。
それでデレーニャはドクオに耳打ちした。


ζ(゚o ゜*ζ「もうかれこれおんなじ曲を3回も演奏してるわ・・・・完全に食ってるわ、次のバンドを」


それでも演奏はやまなかった。

観客は狂乱から次第に退廃へと朽ちていくようだった。
男も女も構わず互いに抱き合い、キスしあう。

ドクオは再びあっけに取られていた。


('A`)(・・・・・・・・・)


突如、後ろのドアが勢い良く開いた。




817 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:01:04.96 発信元:221.30.151.167

ガタイのいいレゲエファッションの黒人男性7人ほどが、楽器を抱えていた。

そして、極めていまいましげにステージに向かって中指を突き立て、
ありとあらゆる呪詛の言葉を吐いていた。

バンドの名前はMarleyGrooveというレゲエ/スカバンドだった。
どうやら次出演するつもりだったが、時間の圧迫と観客の層に腹を立て、
このままフケてしまおう、というのだろう。

その中にあの男もいた。

(’e’#)「Hello」

ζ(゚o ゜*ζ「Hello、St.Jones」

ドクオにあの殺人ボルシチを食わせたジャマイカ兄貴こと、
セントジョーンズが首からサックスをぶら下げて立っている。

('A`)「あっ、あの時の」

デレーニャの言ってた、「面白い人」とはこの男だったのか。


(’e’#)「Hello, Friend」

怒りで息を荒げるのをなだめながら、ドクオに挨拶した。




818 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:03:46.86 発信元:221.30.151.167

('A`)「バンドが本職か・・・・そりゃコックとしてはいまいちだもんな」


(’e’#)「See the kids going crazy、You took fucking new drug too?」
(狂ったガキどもめ・・・・君もこいつらみたいに新しいドラッグをやったのか?)

('A`)「え?」

代わりにデレーニャが答えた、


ζ(゚o ゜*ζ「Absolutely,No」


(’e’#)「Ok.You better take Herb. Herb sets you free , It's a gift from heaven・・・・」
(よし、やるならハーブをやれ。自由になれる、あれは天の恵み・・・)

セントジョーンズはハーブについて熱心に語り始めた。


('A`)「ハーブって何?」

ζ(゚- ゜*ζ「大麻」



819 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:06:43.12 発信元:221.30.151.167

('A`)「それもドラッグじゃん」

(’e’#)「No!No!No! Herb is not a drug!・・・・・」

ジャマイカ兄貴ことセントジョーンズはいかにハーブ(大麻)が安全で、
自分たちのようなレゲエミュージシャンにとって神聖なものであるかを滔々と語り始めた。

ドクオは話の内容はよく分からなかったが、デレーニャに聞いた。


('A`)「どうなの?こういうの。両方ともダメな気がするんだが」


ζ(゚- ゜*ζ「んー、捕まるとしたらこっちの方ね。大麻は取締対象だけど、
       彼らのニュー・ドラッグ、いわゆるHappy Endは
       まだ法律で規制されてないからね」


('A`)「それで"Make Happy End"って言ってたのか」


ζ(゚- ゜*ζ「そ。スラングでね、Make Happy End で、Happy Endをキメるってこと

       いずれにしても私麻薬取締官じゃないし、それに今日非番だし」




820 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:11:44.74 発信元:221.30.151.167

(’e’#)「The New drug is synthesized from Chatanoya , a kind of grass, But・・・・」

('A`)(チャタノイア?)

ドクオになんとなく心あたりのある言葉であった。

ζ(゚- ゜*ζ「チャタノイアっていう草から取れるんだって、その薬の成分。
       だけどハーブとは違うって強調してるみたい」


それからデレーニャはセントジョーンズに、もう演奏しないのと訊いた。

セントジョーンズは首を横に振った。


(’e’#)「Sorry Ann, Come a week later」


('A`)(アン・・・・・?)

彼女、デレーニャ、リタ・デレノフスカヤにはもう一つの呼び名があるのか。
いろいろな謎がドクオの胸中を去来した。



821 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:14:34.00 発信元:221.30.151.167

Sonicnerdの演奏はまだだらだらと続いていた。

しばらくすると2番目のバンド、MarleyGrooveを
目当てに来ていた黒人客が白人客に掴みかかった。

それが発端となって、場内はたちまち大変な押し合いとなった。
罵倒と、悲鳴が飛び交った。

MarleyGrooveのメンバーは黒人客に加担しようといきり立った。

デレーニャは彼らを静止した。


ζ(゚- ゜*ζ「こうなったらダメね」


そういって携帯を取り出し、どこかへ電話をかけた。
そして鼻をつまんで言った、


ζ(゚- ゜*ζ「A crowd of men fighting at East End Social Club ・・・・」


そう言って乱闘の方へ携帯をかざして、おもむろに切った。


ζ(゚ー゚*ζ「逃げよ。署の人に見つかるとヤバイもの

      セントジョーンズ、あんたたちもね」


匿名で警察に通報したのだった。

 *******



822 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:19:44.17 発信元:221.30.151.167

外に出た。
夜の冷気に火照った身を晒しながら歩く。


ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね。変なことに巻き込んで」


('A`)「ああ、大丈夫だよ」


ドクオにはそれより気がかりなことがあった。ひっかかる言葉、すなわち「チャタノイア」の事、
そして彼女の別の呼び名、アン、の事。

デレーニャは歩きながら、今ロンドンで起こり初めた薬物渦について話し始めた。

ζ(゚ー゚*ζ「Third Summer of Love って言ってたでしょ。

       一度目がヒッピー・ムーブメントの時、LSDの時代ね。

       二度目がMDMAが大流行した時、80年代後半くらいから。

       そして三度目が今、通称Happy-Endの大流行の兆しってわけ。
       まあ、今は冬だけど、来年の夏頃には一般的になるんじゃないかな

       音楽シーンもそれにシンクロしてるってわけ」


('A`)「ふー・・・・ん・・・・」


ζ(゚ー゚*ζ「もちろんあんなバンド見に行ったわけじゃないの。

       あのセントジョーンズがいるMarleyGroove、なかなかいいプレイするのよ」




823 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:24:34.92 発信元:221.30.151.167

('A`)「そのセントジョーンズは君の事アンって呼んでたね、君のもうひとつのあだ名?」


ζ(゚ー゚*ζ「あだ名というか・・・・・何というか・・・」


ζ(゚ー゚*ζ「また、いつか会ったら話すわ」


('A`)「いや、別にそんなこと・・・どうでも・・・」


デレーニャは何か言いたげだったが、足を止めてドクオを見た。


ζ(゚ー゚*ζ「うん、今日はどっちかというと、私があんたを無理やりつきあわせちゃったみたい

      ごめんね」


そう言うとデレーニャはポケットからレシートを取り出し、その裏側に自分のメールアドレスを書いた。
そしてドクオに渡した。


ζ(゚ー゚*ζ「暇なときがあったらこれに連絡して」



824 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:26:32.37 発信元:221.30.151.167

ドクオはそれをしばらく見ていたが、ポケットにしまい込んで言った、

('A`)「いや、俺の方こそ昨日から世話になりっぱなしでさ」


('∀`)「ありがとう、楽しかったよ

    今度は、俺がおごるよ」


デレーニャは手を差し出した。二人は握手した。



ζ(゚ー゚*ζ「じゃね」

そう言って彼女は地下鉄の駅に下っていった。


('A`)(・・・・・・・・)


ドクオはその手のぬくもりをしばらく感じながら立っていた。
それが消えぬようにポケットに手を突っ込み、自分のフラットに向かって歩き出した。

謎めいた女の子、デレーニャ。
交通取り締まりの婦人警官、だけども少し見えたもうひとりの彼女。

彼女の心の中を覗いてみたいけれど、それもなんだか怖い。
これが都会の孤独というものか。

ドクオはそんなこと考えていた。



825 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:28:53.79 発信元:221.30.151.167

急に何かが路上に現れた。ドクオの思考を遮った。


( ФωФ)ギラッ


('A`;)「うわっ」

('A`)「・・・・・・なんだ・・ネコか」

それは虎柄のネコであった。
ドクオを至近距離で凝視したのち、また闇の中に去っていった。


ドクオはまた再び歩き出した。


('A`)「虎柄・・・・」


('A`)「そういや、シベリアタイガー先生・・・・大丈夫かな・・・・」


(゜A゜)「あっ」


ドクオはシベリアタイガー先生の部屋にあった本の一節を思い出した。





826 :('A`)ロンドンより愛を込めて のようです:2011/12/06(火) 00:34:48.04 発信元:221.30.151.167



”チャタノイアは悪魔の草、そを制するのはウムリンカのみ。
 ウムリンカはロイルイ村の守り神なり”


チャタノイア!


チャタノイアはあのHappyEndという薬物成分の原料になる。
すなわち悪魔の草ー。

ここまでは符合する。

だが、そこから先の意味は全く分からない。
それでも恩師が面倒なことに巻き込まれつつある、と感じざるを得ない情報だった。


('A`;)(先生、もしかして・・・・)


ドクオはダッシュで部屋に戻り、恩師にすぐにmailを出した。


('A`;)(先生・・・・・・・)


ドクオは祈るような気持ちで夜通し返事を待ち続けた。
返信はなかった。







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最終更新:2013年01月05日 16:59