悪魔のミカタ
みなさんは、『生徒会暦記』、通称『暦記』と呼ばれる資料をご存知でしょうか。
生徒会長になって最初の仕事は、この鍵を受け取り、この資料の存在を知ることです。
記録に残る限りでは、十三期目の生徒会から、自治のためにつくられ始めたと言うこの資料は、
――そうですね、みなさんも一度は日直として書いたことがあるでしょう、学級日誌の生徒会版のようなものでしょうか。
(中略)
その『暦記』に、……私は今日のこれをなんと記すべきでしょうか?
生徒会長、兼、体育祭? いやいやいや。先生方の前ですが、ごまかすのはやめましょう。
勝敗で会長を決めるという時点で、これは既に選挙ではなく、
会長の座を賭けている以上、健全たるべき体育祭の理念からも大きく外れてしまっています。
選挙はおろか体育祭ですらないのなら、こんなのは結局、ただのバカ騒ぎ。……ならばこれより、バ・カ・騒ぎましょう、みなさん。
私は『暦記』に記します。今日、日炉理坂高校でバカ騒ぎが起きたと。
バカが考えたバカな企画にバカが賛成し、バカ同士力を会わせて今日という日を迎えたと、私はそう書き記します。
堂々と、誰に憚ることなく、誇りを持って、……私の最後の仕事として。
今日このバカ騒ぎについて『暦記』に記し、私――僕たちの仕事は終わります。
悔いがない、と言ったら嘘になる。でも僕は、満足を持ってこの鍵を、次の会長――今日の勝者に渡せるでしょう。
自信を持って『暦記』に記し、次の代に託せるでしょう。
……このバカ騒ぎに、参加することが出来たから。
この騒を起こし、参加したことは、きっと僕たちにとって、何にも代え難い思い出となり、誇りとなるでしょうから。
そう、これはバカ騒ぎ。だからこそ、このようなバカな騒ぎに、本気になってここに集まっているのなら。
たかが運動会のために、これほどに燃えているのなら――
なら私たちは私たちの意思と力で、我が校の歴史に新たな一ページを、
かつてそして恐らくこれからもない、私達だけの一枚を記しましょう。
すいません、話が長くなってしまったようなので、最後にこれだけは言わせてください。
――全生徒総数八百七十五人! 照れはあっても恥じることなく!
バ・カ・騒げ!
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悪魔のミカタ
最終更新:2008年07月20日 19:00