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ラノベ学園の火薬庫

抜き足差し足忍び足。

そんなフレーズがよく似合う第三者から見たら怪しさ叩き売りの挙動で一歩一歩を慎重に慎重を重ね
て歩く男、上条当麻はそっと保健室のドアに手を掛けた。

先程体育の授業にてバレーボールの試合が行われたのだ。普通に考えたらそれがどうしたと言わんば
かりであるが、生憎とこの学校は普通ではない。

例えば野球をすればバットではなく巨大な鉄の棒や大剣をフルスイングする奴がいるし、サッカーを
したら音速を超えた速度で特殊素材のボールが文字通り火の玉になって迫ってくる。
気分転換にバスケをしようなんて言い出すと瞬く間に血の海が広がるほどの大惨事となる……といっ
た具合にこの学校における体育種目はそのどれもが人外大決戦の勝負方式となってしまうのだ。

そんな中のバレーボール。ボールがぶつかってしまうことなんて茶飯事なこの競技は恐らく球技の中
でも五指に入る凶悪さであろう事は明確である(ちなみに一位はぶっちぎりでドッヂボールだ)。

そして自他共に認める凡人、しかし人よりは動ける上条当麻は試合中スパイクを決めようとしたが不
幸にも一方通行のベクトル反射レシーブにより顔面をスパイクと同速度の一撃によって打ち抜かれて
しまったのだ。おかげで鼻血が止まらない。

とまぁこんな経緯で上条は保健室の前にいるのだが、中々入室の一歩が踏み出せなかった。
それもそのはず……この学校は生徒もヤバイが教師はもっとヤバイのだ。詳しい話は割愛するが保健
室だけを説明するならば、何の因果かここには教員内でも群を抜いて危険人物が集まっている。暴力
的ではなく変態的の意味で……だが。

上条「今の当番は誰だ……紅なら最悪、青ならセーフ、緑ならもれなくオマケ付き……くそっ! 時
   間が無いってのによ」
本日の体育は四時間目、もうすぐ昼休みで昼食……早めに帰らないと弁当が危険だ。修道女に喰われ
てしまう恐れがある。

上条「ええいくそっ! どうにでもなりやがれ!!」


保険医の手が動くたびにヒリヒリと消毒液が擦り傷に染みる。原始的な方法以外では治療手段がほとんど無い上条にとっては毎回通らねばならぬ道である。しかし相手はこんな事はよくあるぞと言って
いるように笑顔で作業を進める。普通に優秀なこの保険医さんに何故田村が青い果実というあだ名を付けたのかが未だに謎である。

青い果実「ん~骨は折れてないわねぇ。ラッキーだったじゃない。もしもポッキリ行ってたら今頃鉄
     の棒でゴリゴリ弄り回されてたわよ」
上条「……つまりその反動でこれから不幸なイベントが発生ということですか」
青い果実「むふふ。そしてまた彼女が増えるのね~スゴイじゃないこれで何股?」
上条「寂しくなるからそう言う冗談は勘弁して下さいと上条さんは頭を下げてみます」
青い果実「あれ、違った?」
上条「断じてちがいます。上条さんはいつでも清純潔白なんです普通に恋をしたい十七歳の少年なん
   ですていうか早く戻らないとその淡い恋が儚く散っちゃうんです」
青い果実「う~ん君は一度でいいから他の純情一直線世代を見習うべきべきね」

そう言われても困ると上条は思った。実の所友人に「俺の恋人はお前だけ」何て人物はほとんどいない。
青髪ピアスと土御門元春は役に立たない。他にあげるとすれば……。

上条「浅生、坂井、式森、田村……ろくなのがいねぇな」

全くである。第一にどうしてこう悪い例ばかりチョイスしてしまうのだろうか?
いや、上条自身は気付いていないがいるにはいるのだ。周りが思わず目を瞑りたくなるような眩しくて素晴らしい恋をしている男達が。
しかしそれらよりも先にステイル=マグヌスや佐山副会長みたいなベクトルのおかしいのが台頭してくるから出てこないだけなのだろう。

青い果実「あらら随分と濃ゆいメンバーだこと。それならいっそイザード先生でも参考にする? 恋
     愛体験談を話すといつも内容が決まってるぐらい誰かに打ち込んでるみたいだけど」
上条「アレを? 先生、あのロリコン錬金術師から学ぶ事なんてせいぜい○然て単語の使い方ぐらい
   だと思うのは俺の偏見ですか?」
青い果実「ロリコン?」

問いに上条は首を縦に振る。いたって目は真剣だった。

青い果実「そっかーロリコンだったんですねぇ。イザード先生」
???「泰然。勘違いしてもらっては困る。全くの事実無根だ」
???「んんー。同ー志はロォーリコンではなくたぁーだの修道女マニアでぇすからねぇ」
上条「…………え?」

振り向いた先には噂のロリコン事緑色の髪をした保険医アウレオルス=イザード、そしてそのオマケにしてその実こちらの方が質が悪い科学教師の探眈求究ダンタリオン-通称“教授”-が堂々とドアの前で仁王立ちしていた。
お昼時故かその右手にはコンビニ弁当が握られている。

上条「えーっと………つかぬ事をお聞きしますがあの変態コンビはいつからあそこに?」
青い果実「君が参考にする友人を選んでいたときだよ上条君」

ふぉっふぉっふぉとバルタンの真似をする青い果実に上条は一瞬本気で殺意を覚えた。
が、そんなことを考えている場合ではない。この二人に捕まったら最後だと上条は心得ている。恐らく未だ謎に包まれているこの右手を解き明かすために何やら怪しげ……否、妖しげな実験の材料にされる事間違いなし。強制バッドエンドは確実である。

上条「ねーさんピンチです。このままでは例えようもないグロいオブジェの完成の予感がします」
???「ふむ。ではそうなる前に私も思う存分研究させてもらおう」
ぎゃぁぁぁぁぁ、と悲鳴が上がる。発生源は勿論上条だ。そして絶叫の原因となった者の正体も既に本人には分かっていた。
ついに出てはいけない最後の一人が降臨し、変態コンビが無敵の変態三本柱へとクラスチェンジするときが来たのだ。間違いない。この気配を感じさせない登場をする者の正体は。

アウレオルス「同志、丁度良いところに来た」
教授「ぃいーまのような絶ぇー好の機会。同ー志が居なくてはまぁーたくぃ意ー味がぁありませんからねぇ」
紅慰晴明「いや良いポエムの文章が浮かんだので来てみれば……だよ。これも運命というやつかな」

可及的速やかに撤退しなければならないのに余りの恐怖のためか足が竦み、微動だにできない。

アウレオルス「完然。今日こそは」
教授「そぉーの不思議な右手の神秘ぃ」
紅慰「解き明かさせてもらおうか」
上条「やっぱり……不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!」


CAST

  • とある魔術の禁書目録
上条当麻
アウレオルス=イザード

  • わたしたちの田村くん
青い果実

  • 灼眼のシャナ
ダンタリオン教授

  • まぶらほ
紅慰晴明

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最終更新:2006年07月03日 19:37
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