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乱<うやむや>

―――某国。
秘密裏に開発されていたミサイルが突如外部からの干渉で発射体勢へと入った。
始め、管理者達は何とかミサイルの発射を食い止めようとしたが……全て失敗に終わった。
必死に道を模索する管理者達。と、その時、
“別に止める必要性は無いのではないか”
そう一人の研究者が発言した。
言葉を発した男へ部屋中の視線が集中する。
研究者の男はそれを確認した上で、
“別に悪いのは我々じゃない。外部から干渉した奴だ。そうだろう?”
言い放った。
周囲の人間が反論を浴びせる前に、男は割り込むように続ける。
“これは「チャンス」だ。誤作動という大義名分を手に入れて使う他はあるまい”
どこに向けて撃つと言うんだ、と男を取り巻く数人の一人が喚く。
それ待っていた、と言わんばかりに。男はすかさず、自分の目的を言葉に載せた。
“あの近くにある、邪魔臭いにも程がある黄色い猿達の国だ”
室内の空気が止まる。止まった空気は狂気のように室内を侵食する。
“猿の分際で騒ぎおって……一撃浴びれば大人しくなるだろうに、な”
空気は動き出す。それには少なからず「同意」が含まれていた。
愉快そうに笑う男は止めを刺すように、発言を締めくくった。
“―――五発。これだけ喰らえば黙る……いや、消えてくれるかもしれん”
室内の空気が最悪の方向へ『統一』された。
管理者達は発射中止の操作をやめ、軌道修正の作業にかかろうとした。

直後、窓の強化ガラスをぶち破り自転車が突っ込んできた。

「!?」
一同騒然とする。
銃弾も防ぐ強化ガラスが破られただけでなく、侵入してきたのは自転車。
しかも―――自転車に乗っているのはファンシーな衣装に包まれた少女。
手に魔法の杖?を持ち、まるで魔法少女か何かといった出で立ちである。
全員、理解が追いつかない。追いつく方がおかしい。
そんな彼らに追い討ちをかけるが如く、
「あーもう!いつもいつも無茶するんだからサマーちゃんは!」
自転車の籠にいる、子犬大のカマキリが少女へ抗議の声を上げる。
何故、カマキリ? 何故、喋る? 何故、瞼がある?
管理者達の疑問には全く答えずに、少女は口を開く。
「えー、でもちゃんとバリアーも張ったし怪我は無かったでしょ?」
「前もってそうすることを言ってくれればこっちも抗議しなくて済んだよ!」
「それとティス、こういう場合は別の事を言うべきらしいよ?」
「犯人に向けて怒りを表す以外に何を言えっていうのさ!」
「えっとね、『不幸だ―――!』って言えばいいんだって」
「それって魔術棟に侵入禁止喰らうような奴の口癖!? 一体誰に吹き込まれたんだよ!
 そもそもこの事態は不幸でも何でもなく確定でサマーちゃんが原因でしょ!」
「あ、この決めセリフは佐山さんから教えてもら―――」
「あんな変態に近づくなよ! もう少し自分が他人に影響されやすいって自覚しろ!」
管理者達は呆然とカマキリと少女の漫才を見ていたが、
「そもそもここに来たのはちゃんと目的があるでしょ!」
「あ」
「『あ』!?もしかして、もしかして忘れてたの!?」
「やだなぁティス、忘れるわけないでしょ?
 確かメリヒムさん秘蔵のマティルダ人形を撲―――」
「完全に忘れてるじゃないか!僕たちはここのミサイルを止めに来たんでしょ!?」
それを聞いて。音も無く、管理者達の間の空気が変わる。
それに気づかずカマキリは愚痴を漏らす。
「だいたい前からサマーちゃんは……ブツブツ」
「ねぇティス」
「何さ?」
「これってもしかして、『ぴんち』って状態かな?」
「あ―――え? あれ? ってええ!?」
少女とカマキリは。
銃を構えた管理者達に包囲されていた。
「―――動くな。いや、動いても構わん。どちらにしろ消えてもらう」
研究者は淡々と告げる。
「ど、どうしよう」
「だから言ったでしょ! もっとしっかり計画立てなくちゃって!」
「うう、動けないから自己紹介が出来ないよぅ……」
「そっちかよ! 少しは状況を考えてよ!」
そうこう漫才が進みつつ、管理者達の包囲も徐々に狭まる。
「うーん―――えっと……そうだ!」
少女は少し考えてから、

「バリアー!!」

杖を高々と掲げ、宣言。
そして包囲していた者達も、少女の動きに反応して。
一斉に、引き金を引き絞った。
銃声。 硝煙。 そして―――

少女は、無傷だった。

「!?」
彼らは、ありえないモノを見た。
少女の周囲で、発射された銃弾が空中で静止している。
「それじゃーみんな!」
明らかな疑問を断ち切るが如く、少女が呼びかける。
空中に、マンガか何かで見かける丸い爆弾が現れ。
バヂバヂと、音を立てて導火線が爆弾に吸い込まれ―――

「死なない程度に、吹き飛んじゃえー!」

研究所の一室で、壁が吹き飛ばない程度の爆発が発生した。
それはミサイルの制御コンピュータ中枢を破壊し、発射命令をキャンセルさせた。


某国ニュース。
『―――本日未明、科学工場の一室でガス爆発事故が発生しました。
 室内にいた研究員7名は皆一様に気絶しており、重傷者はいません。
 ガス爆発の原因は不明。現在制御コンピュータの破損により作業復帰が遅れて―――』



CAST

  • 世界の中心、針山さん
銀島サマー
ティス

  • 終わりのクロニクル
佐山御言

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最終更新:2006年07月10日 16:41
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