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送<いってらっしゃい>

 同刻、保健室にて
 何処か物足りなさそうな表情でカルテを書き綴る保険医、紅慰清明の手がピタリと止まった。

紅慰「式森君、唐突だが拙いことになってしまった」
和樹「………なんでしょうか?」
紅慰「うむ。全世界から各国保有の核兵器が一斉発射されたのだよ。このままでは世界は終わりだ」
和樹「!! まさか、僕の魔力の………!?」
紅慰「いや、今回は君の魔力は全く関係ない。第一もしそれが原因なら核なんて回りくどいやり方はせず、今頃
   君もろとも世界が終わっているだろう。原因はもっと下らないものだ」

 和樹は頭を抱えた。
 何処の誰の所行かは知らないが頼むからこれ以上厄介事を増やさないで欲しい。自分の好きな言葉は平穏無事
…なのだ。それは間違っても今のような状況ではない。

和樹「……何か手は打ってあるんですか?」
紅慰「うむ。とりあえずここに地図がある」
和樹「……世界地図じゃないんですか? それ」

 広げられたものはまごう事なき世界地図だ。ただし所々に渦巻きの様な模様が刻んである分けの分からない一品
であるが。
 何だか異様なオーラを放っているのは気のせいだと思いたい。
紅慰「そうだが……君は伊能忠敬という人物を知っているかな?」
和樹「……日本地図を作った人ですけど、それがどうしたんですか?」
紅慰「彼は君の御先祖に勝るとも劣らずの優秀な魔術師だったんだ。天才と言うやつだよ。“偶像の理論”を扱う
   ことに関しては私など足元にも及ばなかった」
和樹「何で実際会ってきた見たいに言うんですか?」
紅慰「これは彼の地より呼び寄せた彼の霊魂と共に私や同志達が創り上げたものでね。非常にデリケートで情報更
   新をし続けなければ使い物にならないが、それを補ってあまりある効果を持っているんだ」
和樹「無視しないで下さいよ! ここかなり重要ですよ!? ていうか僕さっきから疑問ばっかりじゃないですか!!」
紅慰「突然だが君にはこれからこれから核に対する抑止力として向かってもらう。なに、特別なことはしなくても
   良い。ただ、ストレスを発散させるイメージを持って核の嵐と相対すれば勝手に魔力が暴走するだろう。念
   のために堂島君か上条君辺りを送っておいた方が良いかもしれないが……」
和樹「何で僕なんですか!? 僕は平凡な高校生ですよ!!」
紅慰「目には目を、歯には歯を、世界を亡ぼす力には世界を滅ぼす力を…だよ式森君。安心したまえ、今更核兵器
   ぐらいで死ぬ体でもあるまい」

 後ろで和樹の言葉に耳を一切傾けず、紅慰は懐から『危険 乱用するな』と柄に彫られた万年筆を取り出した。
 そのまま二、三秒照準し、地図のある点に○を書き込む。するとどういう訳か、保健室の床に幾何学的な模様が
走り、それが凝縮され極彩色の渦が生まれた。
 渦の中からは何故か聞いたことのある人々の声が聞こえる。それに和樹の意識が向くと同時、トン……という優
しくこちらを突き飛ばすような音が和樹の背中から響いた。

紅慰「ちなみにこのマジックアイテムの名前は『我学の結晶番外0004-世界の縮図』という。では、行ってき
   たまえ皆が待っているぞ」
和樹「へ? あれ? えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


CAST

  • まぶらほ
式森和樹
紅慰清明

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最終更新:2006年07月10日 16:43
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